イン殺さんの過去記事②

※この文章は現在はなくなってしまったブログサイト「インターネット殺人事件」の過去記事です。
大好きなサイトだったので一部コピペでとっておいたものです。


タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫 SF 262)

作者: カート・ヴォネガット・ジュニア,浅倉久志

出版社/メーカー: 早川書房

発売日: 1977/10

メディア: 文庫

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「これは面白かった。カート・ヴォネガット・ジュニアは初読ですが、その独特の虚言スタイルに知見を得られたのはよい体験でした。つまり、

同じ話題を繰り返す。さっきも言いましたよね?というプレッシャーを聞き手に与え、大事なことだから何度も言うんですよオーラを漂わせる。

あらかじめ話の先を作中で予言する。読者に先を教えることで予断を持たせ、なおかつ嘘はつかずに微妙に予想と外れたものを出す。要するにメタ。

語り手がまず一般論を言いはじめる。すぐに物語に入るのではなく、これこれこういうものだという語りが入ってからゆっくりと本題にシフトする。嘘つきはみんなそうだ。

架空の書物から引用する。架空の書物の素晴らしさを褒めたてる。

というやり口。実に胡散臭い。それでいて語られることは一種独特の青臭い美意識に満ちていて、何か、口先八丁で己の信ずる美を世界に喧伝してやろうといった数寄者の心意気が感じられます。この客観を装いつつ、その実主観に貫かれたうそぶくような語り口。この後読んだ本がたまたま『坊ちゃん』であり、その野原に杭をぶっ立てるようなざくざくした文体と落差がありすぎてカルチャーショックを受けました。」

「ともあれヴォネガットの人は非常に嘘つきだということが分かったので、他の本も読んでその虚言術を学んでいこうと思います。あとgoogle:ヴォガネットで検索したら予想通りの結果が出たので「名前にネガが入るのがヴォネガット」という覚え方を提唱したい。」

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