「カカフカカ ラグナロク」終演。
今回の芝居、残念だったのは仕事の都合で稽古への参加が少なくて、座組の皆さんとの交流が少なかったことだなぁ。
とはいえ小屋入りしてから満身創痍のみんなと接しながら、最終回にふさわしいメンバーが集まったと思ったね、ほんと。
そのメンバーについてつらつらと書いてみる。
(以下の文章は蛇口からレモンサワーを飲みながら書いてます)
【荒川さん】
デカくてクールなナイス髭。
本人も言っていたけど、たぶん一番早替えしてる。なのに楽屋ではいつ見ても平静としている。やるべきことをやるべきタイミングでやれば慌てることは何も無いのだ。
劇団を主宰してるからか、色んな小道具・衣装を持っていて「◯◯を探してます」と言うと
「あるよ」
と「HERO」の田中要次の如く返ってくる。舞台裏表問わず、頼もしさが半端無かった。
あと小屋入りしてから松本大洋先生が好きとわかり、それについてはもっと話したい。
【岡部】
直前に大病を患い、少しだけ出演するはずが、諸々の事情でいつもと変わらない量の出演をすることとなった。
前日にふられた役を
「知ってるコントなんで大丈夫ですよ」
と言って翌日に客前でできるこの男はカッコよすぎる。
そう、岡部はカッコいいんだ。今回、戦隊シリーズのレッドを演る岡部を見られてよかった。
【りゅうちゃん】
奥さんが
「あの人、すごい綺麗だったけど女優さん?」
と言ったので、みんな女優だよ! とツッコんだけど気持ちはわかる。
天中殺の妖艶さをあの説得力で演れるりゅうちゃんは凄い。
あと衣装をいれている風呂敷がどれも可愛いのがとても好き。
【千夏ちゃん】
スナック墓場から一貫して奥さんがお気に入りの役者。
まつりはハマり役だったなぁ。軽さを演じられるって貴重。
舞台裏でよく肉ちゃんに
「ちーなーつーッ!(あーさーくーらーッのイントネーション)」
と言われてるのもまた趣きがある。
【ラバー】
自分がカカフカカに紹介したので責任を感じてたけど、何の問題もなくカカフカカに馴染んだ人。
ジャッジの
「プライベートがなーいッ!」
で笑いが毎回起きててよかった。
あそこまでにジャッジが理解され愛されてないと起きない笑いだからなぁ。
あと「カーカッカッカッ」になっちゃうことを証明してくれてありがとう。
【佐竹】
永遠の10歳。
なんだけど今回のゴンとポケモンの少年役の違いを見て、同じ少年役でも求められるのが違うんだなぁ、と感心した。
佐竹ってトリッキーな役者だけど、だからこそ脚本家や演出家からすると凄い創作意欲が湧いてくる役者だと思うんだよなぁ。
【お塩ちゃん】
のほほんとしてるけど、実はザ・仕事人なイメージの方。
スパイシリーズの面白みのひとつである役が歳を取っていく様を一番上手く感じられたのは持羽田だと思う。
あと母親の「うぇーい」のシーンをどんな顔でやってたのかを見れてないので早く動画で見たい。
【肉ちゃん】
おいどんの主人格なんだけど、自分と入れ替わるから舞台上での絡みはほとんどなかったんだよなぁ。
というか肉ちゃんとガッツリ絡んだコントって今まであったっけ? スナック墓場、か?
カカフカカではパワーを求められ、そして十二分に応えがちだけど、繊細な芝居をする、それこそ映像作品での肉ちゃんを見てみたい気持ちもあるんよな。
【新城くん】
年に一回は鍵をなくし、糞をもらす昭和のハンサム。
そんなピンチもチャンスに変えるヒーローが本当によく似合っていた。
今回も体調不良のピンチをチャンスに変えようと頑張ってくれていた。倒れられない理由が泣ける。
【須藤さん】
千本木、ワイルドさん、ピートロ、と須藤さんの持ちキャラ大放出。
渋カッコいい、強面、ツッコミ、真顔ボケ、とカカフカカに欠かせない武器を大量に持つアタッカー。なのに役者自身はとてもかわいい。
「月氏はさぁ〜」で始まるセリフに碌なセリフがない。食生活には気を付けて長生きして欲しい。
【唱ちゃん】
2015年の「花月」への誘いがなければそこからの10年はなかった。ありがとう。
伝統のスピードキャラで終わるかと思ったら、まさか唱ちゃんの神陣寺が見られるとは。カッコよかった。
ガルドvsゴーストの如く、命を削りながら演り尽くす唱ちゃんはほんとカッコよかったわ。
【あいかちゃん】
「お兄様」って台詞がこんなにしっくりくる人いないよね。品がね、いいのよ。
美男美女兄妹で雰囲気バッチリなのに能力ポンコツという、カカフカカで魅せたいキャラを見事にやってくれたと思う。
あと自分とペアルックのブルマを着てくれてたのがよかった。
【中田くん】
役者・中田暁良のファンなので、舞台上の中田くんを十分に堪能できた。
色々なトラブルのあった今回の舞台で、中田くんの“献身的なリーダーシップ”には本当に助けられたと思う。隙がないな、この男。
色々な役をやってほしいし、世の演出家は中田くんをどんどん抉ってってほしいよね。
【なおやさん】
ナニワから滲み出るなおやさんの人の良さがとても好き。
すっかりカカフカカのおじいちゃんだけど、知り合う前に観た舞台での居丈高な特攻隊の上官役が印象に残ってるんだよなぁ。きっともっと色んな引き出しがある方なんだと思う。
【林さん】
Mr.ラスボス。侍女とのくだりがとても好き。
威厳があるのに可哀想な目に合うのが似合うんだよなぁ。体も喉も体力も全てを張ってる。毎回、楽屋に戻って来る様がリングを下りたレスラーの戻り方なんだよな、体から湯気が立っている。凄い。
【姫ちゃん】
鬼コーチの顔塗り担当。絆目といい、ピンチをチャンスにマンの彼女といい、愛の届かない報われない役がよく似合う。妖精の絶妙な“こいつ、うるせぇなぁ”感も最高だったな。
褒めれば褒めるほど褒めてない感じになってないか?
【あかねちゃん】
鬼コーチの体塗り担当。あかねちゃんの元気さと気遣いには救われた。トラブルが続き、フィジカル・メンタル共に限界な中、「やります!」と前向きなパワーを舞台上でも下でも発し続けてくれたのがどんだけ励みになったか。ありがとう!
ルイをなかなか持ち上げられず申し訳なかった・・・。
【森田くん】
無言で通り過ぎるだけで笑いが起こるんだから栗栖のコスパ最高。逆に岡平というコスパ最悪の役も全力で演っていて素敵だった。
森田くんの深い意味があるかのような佇まいがいいんだよね、栗栖にも「自殺の止め方」にも活かされてる気がする。
【米山さん】
春乃・まつりのシリーズは、会話のみでの面白さだから難しかっただろうなぁ。動きや見た目が目立つコントに挟まれて、それでもキッチリ二人で笑いを取っていったから流石だわ。
西東京FMのMCを演っていて、職場の最寄駅中にあるスタジオにいたりしてるそうで、世間は狭いよなぁ。
【銀平さん】
何度も言ってるが、自分が一緒に仕事・芝居をした人達の中で、唯一の天才だと思ってる。
役者としても脚本としても演出としても素晴らしいんだけど、やはりその天才性は羽生善治さんが言っていた
「私は才能は一瞬のひらめきだと思っていた。
しかし今は、10年とか20年、30年を同じ姿勢で、同じ情熱を傾けられることが才能だと思っている」
というのを体現しているところにあると思う。
コントへの情熱が本当に凄まじい。頭の中でずーーーっと舞台がシミュレートされ続けてるんだと思う。シャブやってるとしか思えないぐらいの過集中。ヤバい。
そのヤバい人が
「もうこれで終わってもいい だから ありったけを」
でやったのが「カカフカカ ラグナロク」。ヤバくないわけがない。
正直、様々な逆風(自分もその1つだったが)なしでの銀平さんの情熱のありったけを見たくはあった。
だけど、この情熱なくしてこの逆風は乗り切れなかった。天才の情熱が作り上げる世界の一端を担えた9年間は楽しかった。
今はアルカが必要なぐらいの灰になってるだろうけど、ゆっくり休んでほしい。本当にお疲れさまでした!
そして何にでも漫画でしかたとえられない自分が「カカフカカ ラグナロク」をたとえるなら、やはり「うしおととら」の最終決戦だろう。
それぞれの役回りを当てはめてみる。
蒼月潮=唱ちゃん
とら=肉ちゃん
獣の槍=たかけん
井上 真由子=須藤さん
中村 麻子=なおやさん
蒼月紫暮=林さん
蒼月 須磨子=お塩ちゃん
鏢=中田くん
ジエメイ=あいかちゃん
関守 日輪=佐竹
杜綱 悟=新城くん
杜綱 純=姫ちゃん
キリオ=荒川さん
九印=森田くん
かがり=りゅうちゃん
羽生 礼子=千夏ちゃん
鷹取 小夜=米山さん
徳野さん=岡部
さとり=ラバー
イズナ=あかねちゃん
凶羅=若月
富士鷹ジュビロ=銀平さん
色々、意味を込めたり込めなかったり。
いやぁ、ラグナロクに相応しい最終決戦な公演だった。
その最終決戦を生き延びたこのメンバーは最高だった。
ありがとう!
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