Valve Indexの知見
Valve Indexとは
伝説のおま国装備である。来たるべき来日に備えて、今から日本でできる心の準備であったり、アバター制作/開発側に必要な知見を共有します。
これを書いている人はWindows MR、Oculus Rift、Vive、Indexをなぜか持つことになってしまった、さんしゃいです。VRChatはチュートリアル3周目に入りそうです。
簡単なスペックまとめ
共通仕様
ベースステーション1.0、2.0に対応しています。
Index専用のベースステーションも出ていますが、Viveの2.0ベースステーションとほぼ同じです。
HMD(ヘッドマウントディスプレイ)
情報元: https://www.valvesoftware.com/ja/index/headset
ディスプレイ: 液晶タイプ 片目1440x1600ピクセル 最大144Hz駆動
視野: 最大130度、 IPD(瞳孔間距離)調整範囲は58~70mm
カメラ: コンピュータビジョン用らしいステレオカメラ(片目960px四方)。コンピュータビジョン用というだけあってなんとグローバルシャッターらしい。
ヘッドホン: オフイヤーと呼ばれる耳に触れないタイプのスピーカ 環境音が入る分、音量はかなり大きく設定できます(HMDに触れて振動がわかるほど)
備考: HMDフロントにはUSB 3.0 Type-Aポートのある拡張スロットがある
コントローラ
情報元: https://www.valvesoftware.com/ja/index/controllers
Oculus Touchにかなり近づきました。というかボタン配置もそのままで、Oculus Touchに手のトラッキングをつけたらこうなるだろうなという仕上がりです。
トラッキングできる指は親指を除く4本(アナログ値が取れる)。
小指から中指にかけては圧力センサもあり(アナログ値が取れる)。
USBポートはUSB Type-C
バッテリー持ちは公称7時間で、実際の使用でもそれぐらいでした
ベースステーション
情報元: https://www.valvesoftware.com/ja/index/base-stations
最大4つ設置可能、範囲は7mとありますがおそらく1つのステーションから見える最大距離かな? 視野は160ºx115ºあるそうな。
Viveのベースステーション1.0*1と比較すると、レーザー走査用の回転機構が1つになっているらしく、静音性が改善されたり、故障率がましになるかも?(https://www.reddit.com/r/Vive/comments/bkyqm4/index_base_stations_vs_vive_base_stations/)
使ってみて気づいたところ(主にVRChat)
悪いところ
ピースができない: 現状プレイヤー側でできる対策はないので、Cannyに投稿されている
親指が不自然になる: 親指のトラッキングがない分、やや不自然な親指になるアバターがあります。アバターごとに各指の変形量を調整する改善がCannyにてIn Progressらしい
フェイスクッションが十分ではない: 個人的に最も気になった部分。布張りの上質な感じになってはいますが、クッション量(あるいは接触面積)が十分ではなく、快適さを求めるならばサードパーティ製のものが必要でしょう。
指のキャリブレーション機能がない: 手の大きさは人それぞれですが、現状はセンサを3等分するような形で指を動かしています。手の小さい人は小指しか動かしていないのに、薬指も少し動く(赤と青の境界に小指があるとどちらも反応する)という症状が発生するでしょう。ただし、慣れで何とかならないことも無いです。
良いところ
ディスプレイが高解像度/高リフレッシュレート: 文字は明らかに読みやすくなりました。そんじょそこらのハイエンドゲーム以上の負荷を叩き出すVRChatにおいて144Hz~120Hzの維持はほぼ困難ですが、Beat saberのノーツはかなり見やすくなります。 以下はOculus Riftとの比較です。ぜひ拡大してみてほしいのですが、遠景におけるスクリーンドア効果が大幅に低減されています。線もかなりはっきりとしているのがわかると思います。写真では分かりづらいですが、人の目で見たときの色域やコントラストはOLEDのOculusのほうが優れていました。
コントローラを持っていても手が離せる: バンドで固定するタイプなので、手を完全に開くことができます。結構しっかり固定されるので、Beat saberをしていてもスッポ抜けるような感覚になりません。また、コントローラを放すことなく物理キーボードが打てます。
マイクの音質が非常に良い: Viveのマイクがはっきり言って<検閲済み>だったのでマイクストラップなんて作っていた私ですが、Indexについては不要のようです。Oculusのマイクもよく拾う方でしたが、Indexにはより改善されたマイクがあり、Windows側の設定では80%ぐらいの出力でVRChatではいい感じに聞こえるらしいです。
VRChaterが知りたそうなこと
アニメーションオーバーライドってどうなってるの?
アニメーションオーバーライドはハンドサインを自らの手ですることで発生します。つまり手のアニメーションオーバーライドは実質機能しなくなります。なにげにロックンロールが非常に疲れるので、頻出する表情はロックンロールには入れないほうが良いです。また、良いところとしては左スティックの押し込みで、このハンドサインによる表情変化の反映をON/OFFできます。よって、ハンドサインをしたあとに表情を固定して別の手の表情をする、といったことが可能です。
ものをどうやってつかむの?
小指から中指にかけて力を入れることでつかむことができます。かなり自然な動きなので非常に良いですね。しかし、力を入れ続けなければいけないので、長時間持つようなことはしんどいです。
なにかできることふえた?
手をわきわきできる、指切りげんまんができる、鼻をくすぐれる
指で叩きあって6カウント以上になったら死ぬあのゲームができる
開発者向け
アバター制作
アバター制作においては手の構造が重要になってきます。色々なアバターを試しましたが、キッシュちゃん、リンツちゃん、たぬちゃんは現状あまり違和感はありません。幽狐族のお姉様とルアちゃんはやや親指が開きすぎる状態になります。自分はアーマチュアやウェイトに詳しくないので、このあたりの考察は詳しい方に任せようと思います。 現在Cannyにて作業中の機能が実装されれば考慮不要な作業になる可能性もあります。
デバイス開発者向け
フロントにUSB機器を設置できる。組み込み系つよつよのひと、K210とかESP32でアイトラッキングとか作ってみないですか? フラットケーブルならHMDの下を通してフェイスカバーの下を通してレンズ周辺までもってこれます。先述したとおり空間はLeap Motionが入るぐらいの大きさです。ただしこの場所かなり熱を持ちます。体感で50~60度ぐらいまでは上がるので設計時には注意が必要です。USBは現状ハブとして機能しているだけで、Oculusのセンサーとか挿しても認識しました。
総評
今発売されているPCVRの中で、解像度、機能、コントローラの完成度といいすべて平均以上に高く、そのわりにはフルセットでも$999と良心的な値段設定であるように感じます。初PCVRの方、すでにVRの住人の方としてもこれ以上の選択肢は現状無いでしょう。(発売されれば)
Viveを持っている人はコントローラーだけでも買うべきです。(発売されれば)
日本で発売されたら買うべき?
今PCVRを持っていない/Windows MR
買おうね
Vive/Vive Proを持っている
Viveの人はディスプレイのコントラストと色域がやや落ちるが、高解像度のディスプレイであったり、少しでも視野が広いほうがいい場合はHMDセットがおすすめ。Vive Proを持っている人はコントローラーだけで十分です。
Oculus Rift/RiftS を持っている
Viveのコントローラーに不満があるひともIndexコントローラーはほぼOculus Touchの上位互換ともよべる仕上がりなので大丈夫です。Riftの人はそろそろ各部の寿命も来るので買いどきかも。ディスプレイのコントラストと色域はやはりOLEDのRiftよりは劣りますが、個人的には許容できる範囲でした。Rift Sの人はトラッキング精度への不満やIPD調整範囲に問題のある人は良いかも。
修正ログ
*1 ベースステーションの差について修正 https://www.kageyume.com/vr/steamvr-2-base-station-disassembly
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