【妄説】倍速生活

人々は暮らしに速度変化を手に入れた。

エンタメや膨大なコンテンツを速度変換で楽しむように、睡眠や食事、トイレ、家事、仕事といった生きていくうえで最低限必要な時間も早くできる生活速度を手に入れた。

そしてそれは納税率により区分され、低額納税者には1.0倍速の通常の暮らし、高額納税者には2.0倍速の倍速の暮らしが強制的に提供された。

富裕層はすべての生活が早くなった。
倍速で全ての暮らしの出来事を半分程度の時間でできることで、今まで以上にビジネスに加えてプライベートの充実も図ることができた。

富裕層の男性はある女性を好きになった。

低額納税者の彼女の生活速度は1.0倍速であったため、男性は女性のために仕事に加えて、家事や身の回りのことを倍速でお世話した。

女性に振り向いてもらうためにプライベートの一切を排除し副業で稼いだお金も女性に貢いだ。

ある夜二人は一夜を共にした。

付き合ってはいなかったが精一杯の奉仕に女性も体を許した。

そしてある日男性は付き合ってほしいと告げた。

結果はダメだった。

何もかもが早すぎて私には付いていけないだった。

男性は激昂し女性を死にいたらしめた。


男性は逮捕され刑務所で0.5倍速の暮らしをしている。

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