ナインストーリーズ 対エスキモー戦争の前夜

p66《対エスキモー戦争の前夜》
セリーナはミス・ベースホアの学校に通うジニーのクラスメイトであった。-ジニーはセリーナのことを学校でも最高に食えない子だと思う-中程度の食えない子ならいっぱいるのが一見して分かるミス・ベースホアの学校でも最高に食えない子だと思う。

p17 (針音だらけのレコード盤)
ペギーはラドフォードの同級生であった。だが彼女についてラドフォードは、一年以上にわたり、綴り字競争でたいてい真っ先に脱落する人物という以上の印象を持たず、その真価を推し量ろうともしなかったが、ある日通路越しに、彼女がチューインガムを自分の首の窪みに押し入れるのを見てこれが一変した。それはラドフォードから見て、誰がやるにせよ、たとえ女の子がやるにしても、きわめて魅力的な行ないに思えた。

p70 《対エスキモー戦争の前夜》
二人は黒人のメードに迎え入れられた-というよりむしろ、内側からドアが開いて、そのまま閉めずにおかれたといったほうがよい。そのメードとセリーナとは口も聞かぬ間柄らしいのだ。

p38 《コネティカットのひょこひょこおじさん》
「うちのメードときたらほんとにトンマなんだ」

p70《対エスキモー戦争の前夜》
「しみったれ」という言葉を口にするくらい腹を立ててはいたのだが、ことさらそこに力を入れていうだけの度胸はない。

p139 (キャッチャーインザライ)
手袋を手にしっかと持ったぐらいにしてんだけど、腹の中じゃ、こいつの顎に1発くらわすかどうかすべきとこだ-こいつの顎を砕いてやるべきとこだ、なんて思ってんだな。ただ、そいつをやるだけの度胸がないってわけだ。黙ってそこに突っ立って、すごんで見せるのが関の山。

p204 《ド・ドーミエ=スミスの青の時代》
わたしは少々身をかがめるだけの労さえ取らず、すなわちこの運チャンのように人には聞かせぬように、あくまで礼節を守ってという配慮すら示さずに、フランス語で彼に言ってやったのだ-彼は粗野で、愚鈍で、横柄な低能であり、わたしがいかに彼を嫌悪するか、とうてい彼には見当もつかないであろう、ということを。

p157《エズミに捧ぐ》
エズミは立ち上がると「イル・フォ・ク・パルト・オーシ(わたしもおいとましなきゃ)」吐息をつきながら、そう言った「あなた、フランス語ご存じ?」

p71《対エスキモー戦争の前夜》
「指の野郎を切っちまってさ」いささか取り乱した口調で彼は言った。そしてそこにジニーがいるのを期待して来たように見やりながら「君は指切ったことある?骨のとこまでぐさっと」と訊いた。耳障りな声だけど、そこには真剣に訴えているものが感じられる。まるで前人未到の境地に踏み込んで行く孤独から、彼女の同伴を得て救われたいと願ってでもいるようだ

はい、いきなり出てきてごめーんまことにすいまめーん٩( ᐛ )و
これ昨日の

人を寄せ付けず、はなっから相手にしていない彼のその態度には、まるで彼がこの世とも思えぬ地獄を垣間見てきたということが、言葉や態度の裏にでも秘められている、とでも言いたげな雰囲気が言わずもがなにも前面に押し出されていた。

とうまいぐあいに組み合わせそうね!ということで、

人を寄せ付けず、はなっから相手にしていない彼のその態度には、まるで彼がこの世とも思えぬ地獄を垣間見てきたということが、言葉や態度の裏にでも秘められていると言いたげであった。目障りな態度ではあるけれども、そこには真剣に訴えているものが感じられる。まるで前人未到の境地に踏み込んで行く孤独から、彼女の同伴を得て救われたいとでも願っているようだ

うん、いいね!めっちゃしっくりきてる٩( ᐛ )و

だけどこれ同じ物語上だからこのままじゃ二回同じ文章が出てきてしまうことになってしまうので指切ったの方はなくても成立しそうだし、どちらかというと、後ろのとこにこそ、是非に欲しい文だから元あったところからは削除して後ろの方に付け足すとす

p78〜80《対エスキモー戦争の前夜》
「ニューヨークにいなかったんだもの」
「まあ!どこにいたの?」
「おれか?オハイオだ」
「オハイオで何してたのよ?」
「おれか?飛行機工場で働いてたのさ、チキショウメ」
「ホント」とジニーは言った「つらくなかった?」
「つらくなかった?」相手はジニーの口調をそっくりそのままに繰り返した「とっても面白かったわよ。飛行機ってすてきなんだもん。すごーくイカスわ」
今知らされた事情に心を奪われていたジニーには、そうからかわれても、腹を立てる余裕はなかった。

p87 《対エスキモー戦争の前夜》
「あなたもやっぱし飛行機工場で働いていたの?」
「そう。何年も何年も何年も。その話、よそうよ、頼むから」

p146 《エズミに捧ぐ》
「あなた、オハイオ州ご存知?」
私は一口トーストをかじると、オハイオのあたりには、ひどく荒れた土地があるはずだと言った。

p113 (他人)
太ったマンションの守衛が片手に煙草を持って、パーク・アベニューとマディソン・アベニューの間の歩道でフォックステリアを散歩させている。
ベイブは思った。あの人はバルジの戦い(訳注一九四四年十二月から翌年一月、ドイツ軍最後の大反撃)の時も毎日、あの犬を散歩させていたんだろうか。まさか。ありえない。いや、ありえなくはないけど、ありえないだろう。

p167 《エズミに捧ぐ》
彼のところには、彼女から、かなりきちんと手紙が来ていたが、三重の感嘆符が付いたり、的外れな考察があったりして、筆者がこの世とも思えぬ楽園に住んでることを思わせる手紙であった。

p55 (最後の休暇の最後の日)
「ベイブ、会えてよかった。呼んでくれてありがとう。兵隊同士-とくに気の合う相手は-かけがえのない仲間だからな、この頃は。国にいる連中といてもしょうがない。連中は、我々の知っていることを知らないし、我々は連中の知っていることとは縁がない。話が合うわけないよな」ベイブはうなずき、タバコを吸った。
「本物の友情を知ったのは軍隊に入ってからなんだ。きみはどうだった、ヴィンセント?」
「まったく同じだ。友情ほどありがたいものはない。まあ、おおむね、そうだ」

p56 (最後の休暇の最後の日)
「父さん、偉そうに聞こえるかもしれないけれど、父さんは先の大戦のことを話す時-父さんたちの世代はみんな同じで-ときどき、戦争は泥まみれになってやる荒っぽいスポーツみたいなもので、自分たちはそれをやって大人になったみたいな言い方をするよね。生意気に聞こえるかもしれないけれど、父さんたち、先の大戦で戦った人たちはみんな、戦争は地獄だということはわかっている、わかっているのに-なぜかわからないけど-みんな、従軍したことで少し優越感を覚えているようにみえるんだ。たぶん、先の大戦に行ったドイツ人も同じように話したり、考えたりしてるんだよ。だからヒトラーが今度の大戦を起こそうとした時、ドイツ軍の若者たちは、自分たちだって親の世代と同じくらい、いや、それ以上に立派にやれるってことを証明しようと頑張ったんじゃないかな」ベイブは気詰まりになって、言葉を切った。「もちろんこの戦いは正しいと信じているんだ。もしそうでなかったら、良心的兵役拒否をして、戦争が終わるまで収容所で斧で木を切ったりしているよ。ナチやファシストや日本人を殺すのは正しいと。だって、そう考えるしかないんだから。だけど、心から信じている事がひとつあるんだ。これほど堅く信じた事はないってほどにね。それは、いま戦ってる者も、これから戦うものも、戦いが終わったら、口をつぐみ、どんな形であれ、戦争の事を話してはならないという事だ。死者はそのまま死なせておけばいい。死者を起こしてよかったことなんて一度もなかった」ベイブはテーブルの下で左手を握りしめた。「もしアメリカ人が帰還して、ドイツ人が帰還して、イギリス人が帰還して、、日本人もフランス人もほかの国の人も帰還して、みんながしゃべったり、書いたり、絵に描いたり、映画を作ったりし始めたらどうなると思う?あいつは英雄だった、ゴキブリがいた、塹壕を掘った、血まみれになったとか。そうなったら、未来の若者はまた未来のヒトラーにのせられてしまうにに決まっている。若者が戦争をばかにしたり、歴史の本に載っている兵士の写真を指差して笑ったりしたことはいままでなかった。もしドイツの若者が暴力を馬鹿にすることを覚えていたら、ヒトラーだってひとり孤独に野心を温める以外になかったと思う」

p84《対エスキモー戦争の前夜》
「いや、ひどいんだな。ぼくのアパートに同居してた奴だけどね、何ヶ月も何ヶ月も何ヶ月も-口にするのもいやだな、あんな奴のこと。…作家だか何だか知らないけど」彼はこの最後の所をいとも満足げに力を入れてつけ加えた。おそらくヘミングウェイがその小説の中でいつも蛇蝎のように扱う作家というものの像を思い浮かべたのであろう。
「何をしたっていうの、その人」
「率直に言ってぼくは、あまり具体的なことには触れたくないんだけどね」青年はそう言うと、テーブルの上に透明な煙草のケースが置いてあったのに、わざわざ自分の袋から一本取り出し、自分のライターで火をつけた。その手は大きな手だった。が、逞しくもなければ器用そうでもないし、敏感そうにも見えぬ。それなのにその手の動作には、手が美しい仕草をしたいという欲求に駆られてひとりでに動いてしまうといったような、美的効果を狙ったしながいちいちついて回った。

p157《エズミに捧ぐ》
私は、悔恨と困難と、ふたつながら入り混じった複雑な気持ちを味わいながら、椅子から立ち上がった。エズミと私は握手を交わした。彼女の手は、予測したとおり、掌がしっとりとして、いかにも神経の細かそうな手だった。私は彼女が同席してくれて、どんなに楽しかったかしれないと、英語で言った。

p85 《対エスキモー戦争の前夜》
「話すのもいやなんだ、ぼく。本当にいやだよ」そう言って彼はジニーの方を見やったが「そのコート、すてき」というが早いか、もういすからたちあがっていて、つかつかとジニーのそばに歩み寄ると、トップコートの襟を指でつまみながら「すてきだよ、これ。こんなにいいキャメルの生地にお目にかかったの、戦後初めてだな。どこで手に入れたのかしら、失礼だけど」
「母のナッソー(訳注バハナ連邦の首都 有名な避寒地)からのお土産よ」

p12 (フラニー)
レーンは、ソレンソンのらくだのコートの襟の所に、ルージュの跡がついているのに気がついた。褪せてはいるが神経にはひっかかる。何週間も前から、ことによったら何ヶ月も前からついていたような感じだが、ソレンソンはそれを言ってやるほどの仲ではないし、それに、考えてみれば、ルージュの跡ぐらいどうということもないではないか。おまけに、そこへ列車が来た。

p13 (フラニー)
彼女は、毛あしを短く切ったラクーンのコートを着ていたが、レーンは、あまり気のない顔をして彼女の方へ急ぐ間にも、このプラットホームにいる人間の中で、フラニーのコートを本当に知っているのは自分しかいないのだと、興奮を押し殺しながら、胸の中で考えていた。かつて、人に借りた車の中で、三十分ばかりもフラニーに接吻したあとで彼女のコートの襟に口づけしたことがある。なんだか、彼女の肉体の延長の、魅惑にあふれた生身の肌に接吻しているみたいだった。

p89《対エスキモー戦争の前夜》
外に出ると彼女は、バスに乗ろうとレキシントン街まで西へ向かって歩き出した。そして三番街とレキシントン街との中間で、金入れを出そうとコートのポケットに手を入れたとき、そこにあるサンドイッチの半分に気がついた。彼女はそれを取り出すと、腕を下にのばしてそっと路端に落とそうとしたが、途中でやめて、またもとのポケットにしまい込んだ。数年前、復活祭の贈物にもらったひよこが、屑籠の底に敷いたおが屑の上で死んでるのを見つけたときにも、捨てるのに3日もかかったジニーであった。

p35(フラニー)
フラニーはうなずいて自分のチキン・サンドイッチに視線を落とした。軽い吐き気が動いた。それで即座に顔を上げて煙草を吸った。

対エスキモー戦争の前夜 完

今日のとこは短かったし昨日と被ってるとこが多くて昨日の復習がてらみたいで楽だったンゴね。起きたの遅かったんで今日中に上げれるか不安だったけど助かったンゴ〜

また明日ンゴ٩( ᐛ )و

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