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ディレイマイオーダーの疑問

以前ハンバーガー屋に行った時

「セットのお飲み物はいつ持ってきましょうか」

と店員から問われた。

「ハンバーガーと同時で」と答えたが、果たして同時じゃない人がいるのだろうか。
「え〜っ、ハンバーガーをバクついて、コーラをグビり散らかす。これを繰り返し本当のハンバーガーに至るんですねぇ。これを仏教用語で解脱と言います。」
いつかの祖母だか祖父だかの法事の時にお坊さんが説法していた気がする。

まず、全ての注文は同時だと思っていた。
大学に入るまで、せいぜいファミレスや牛丼屋、うどん屋程度の行動範囲だったため、注文したものをディレイさせて届けさせるという発想すらなかった。
初めて「いつお持ちしましょうかシステム」に出会ったのはいつだろう。
慣れていない頃、「じゅ…10分後…っ!」と答えた記憶がある。



大学の頃、高級ステーキハウスでバイトしていた。そこのメニューはほとんどがコースになっていたのだが、

前菜→サラダと刺身→一品もの→ステーキ→ごはん・味噌汁→デザート・コーヒー

というような流れになっていた。
僕にはステーキとご飯をずらす意味がわからない。僕はお酒を飲まないが、飲む人にとってはそれが理想の流れなのだろうか。

高そうなスーツを着て女を連れた男が、
「う〜む、やっぱひワインはボルドーだねぇ〜…」
みたいなこと言いながらステーキをちびちび食いやがっていた。通ぶることに脳の容量を全て使った男がうんちくを語りながらステーキをちびちび食いやがっていた。ステーキをちびちび食いやがっていた。「肉!米!肉!米!でもっとガツガツ食えよ!クソが!」と僕は笑顔でワインを男に注いでいた。

そもそも飲み物との相性をよく考えたことがない。
サバの塩焼きを食べながらカルピスソーダだって余裕で飲む。

「カルピスソーダはいつお持ちしましょうか?」
「あっ、サバの塩焼きと同時で」

以前ホテルの朝食バイキングで魚の西京焼きとハッシュポテトだけを無限に交互に食っていた時、食べ合わせキモっと言われたことがある。まぁ僕としては腹に入れば、ディレイさせようとさせまいと腹に入ったという結果は同じなので別に良い。

世の中にはディレイさせてはいけないものもたくさんある。

歯医者「麻酔はいつ打ちましょうか?」
あ、施術後で。

ハンバーガー屋「バンズはいつお持ちしましょうか?」
あ、肉の後で。

喫茶店「コーヒーにお砂糖は?」
あ、飲んだ後で。


別れの季節「悲しい別れはいつお持ちしましょうか?」
あ、出会う前にお願いします。


そんなふうにBUMP OF CHICKENのアルバムに一曲入ってる独特なテーマの曲みたいなことを考えていた。

眠気はいつお持ちしましょうか?
あ、これを書いた後で。

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