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藤井風のLove&Peace

とんでもないショーを目撃した。

日産スタジアムのど真ん中に、グランドピアノ1台と、ただ1人。

そう、藤井風。

最も注目される日本人の1人になった彼の、異例のショー。

そのショーで何を伝えたかったのか、私は何を感じたのか。


このショーは無料の招待制のライブであったが、感染拡大からYouTubeの配信のみになった。
そもそも開催方法が異例すぎる。
音楽を含めたエンタメ業界は、対面ライブが大きく制限されている。
開催できたとしても、集客数を減らして行われているから収益はガタ落ちである。
そこで完全無料のライブですって。
しかも、日産スタジアム??


それに演出もなし。
あるのは、微笑む表情、奏でるピアノ、魅惑の歌声のみ。
それを後押しするかのような、「恵みの雨」。
まるで最初から狙っていたかのような。
無観客、最少の人数のスタッフのスタジアムは明らかに奇妙だけれど、それも演出なのではないかと錯覚してしまうほどに、彼の世界が広がった。


セットリストは、2000万再生を超える「きらり」、マイケルジャクソンのカバー「Heal The World」、新曲「燃えよ(Ignite)」、弾き語りのアレンジが映える「特にない」、「旅路」「何なんw」など12曲。
全て圧巻で、本当に鳥肌が立った。
彼の音楽に魅了され続けた。これからもされ続けるだろう。確信している。

特に、「Heal The World」に震えた。
きっと、今の世の中をみて考えることがあったはず。
その答え、メッセージが藤井風の選曲にあったと思う。

Heal the world
Make it a better place
For you and for me, and the entire human race
There are people dying
If you care enough for the living
Make a better place for you and for me

アーカイブの映像では、権利の関係で「Heal The World」が観れないのが残念であるが、確かにあったこの曲への想いを受け取ったと思う。




曲の中、MCの中の言葉と振る舞いひとつひとつが、優しさにあふれていた。
反骨精神の表現や、訴えかける音楽がある。
音楽業界の苦しい現状に対して叫ぶアーティストがいる。
その一方で藤井風の1本のショーからはその片鱗すら感じなかった。
上のようなメッセージを持つアーティストが悪いわけではなく、藤井風のショーはそうだった。
ネガティヴな要素が全くなくて、ただただ元気づけようと。
少しでもリラックスして、元気になってくれと風くんは言ってくれた。
武道館ライブで「天使」と言われた彼は、今日産スタジアムに立った。


その姿は「Love&Peace」そのものなんじゃないかと思う。

そして、心から思うのはコロナの絶望的な世界に藤井風がいてよかった。


藤井風は真っ暗なコロナ世界を導くと灯台のような、そんな存在であると思う。