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資生堂のヘアメイクアップアカデミー「SABFA」新校長とこれからの美容業界をテンカイ! 2020/07/29 #テンカイズ

今年6月に原宿駅前の複合施設、ウィズ原宿に移転したヘアメイクアップアカデミーアンドスタジオ「SABFA」。資生堂が培ってきた美容のノウハウを活かし、優れたヘアメイクアップアーティストの育成を目的として開校。創立から34年を経て、2000人を超える卒業生を輩出しています。

ゲストはSABFAの校長に7月1日付で就任された、資生堂のトップヘアメイクアップアーティスト計良宏文さんです。

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MCは宇賀なつみさん、プレゼンターはNewsPicks野村高文さん。

収録の様子は【番組公式YouTubeチャンネル】でご覧いただけます。


宇賀: トップヘアメイクアップアーティストってすごいですね。
まずは資生堂のアカデミーのSABFAについて教えていただけますか?

計良:SABFAは、資生堂が培ってきた技術やノウハウなどを広く社会に広めて貢献することを目的に1986年に五反田で開講されました。

広告宣伝の場や舞台、映画などの現場でも活躍する、優れた技術や感性、創造力を身につけたアーティストたちを送り出して来た、知る人ぞ知るスクールなんです。

宇賀:今回の新生SABFAは、どういうところが変わったんですか?

計良:まずは場所が五反田から汐留を経由し現在の原宿駅前に移転したこと。そして、私が7月1日から新しい校長として就任しました。また、10月から新コース、カリキュラムに変えることにしています。

野村:今は授業されてないんですか?

計良:そうなんです。コロナの状況もありまして、4月生を中止にして、10月から改めてスタートします。


<ヘアメイクの校長先生って何をするの?>

野村:コロナ禍だと結構ヘアメイクのことを教えるって難しくないですか?
もろ濃厚接触ですよね?

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計良:本当に触れますので、すごく意識して考えています。
うまく付き合っていく必要があるので、衛生管理をしっかり行っています。
マスクやフェイスシールドとかで防備し、道具も使い捨てや紫外線消毒器を常に照射しながら使うなどして対応しています。
   
野村:そうですよね。気を遣いながらも教えることはちゃんと教えなきゃいけないですもんね。

計良:人に触れながらじゃないと技術は伸びないものだと思うので、しっかりとやっていきたいなと思います。

宇賀:校長先生って何をするんですか?

計良:全体の流れを中心になって考えて運営していく役割ですかね。
学校の理念とかカリキュラム、クオリティーのマネジメントみたいなものも含め講師陣たちに伝えて育成していくことは、生徒たちを育成していくことにも繋がります。

宇賀:講師の皆さんは何人ぐらいですか?

計良:資生堂のヘアメーキャップアーティストは社内に40人ほどいまして、
中心になって教えているのは私を含めて8名です。
40名のアーティスト達が代わる代わる得意分野を生かしていき、一番良い環境の情報をちゃんと生徒たちにお伝えできるようにしています。

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<計良さんのこれまでと人柄をテンカイ!>

野村:新校長八代目の計良さんがこれまでどんなことをされて、校長になったのかをぜひ伺いたいです。

計良:私は資生堂に入社して、宣伝広告、ヘアメイクの仕事を中心にやってきました。皆さんコマーシャルでご存知だと思うんですけど、TSUBAKIのコマーシャルだとかマキアージュとか。
   
野村:誰でも知ってるCMですね。

計良:海外のコレクションのバックステージのヘアメイクをチーフで担当したり。最近ですと昨年、埼玉県立近代美術館という公立美術館でヘアメーキャップアーティストとして初めて個展を開催しました。美の世界、ヘアメイクの世界を越境・拡張するような活動をしています。

最初は、資生堂の中に入って美容室で働きながらヘアの技術を学び、徐々にヘアメイクの世界に入っていっていきました。
同時にメーキャップも習っていたんですけど、アシスタントからスタートして、一人前になり、ヘアメイクの仕事を徐々にいただけるようになって。
自分の仕事の幅を広げるために、色々な仕事をしながら拡張していった流れでしょうかね。

宇賀:じゃあ今SABFAに通う方の中にも美容師さんとして働きつつ通う方もいらっしゃるんですか?

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計良:そうです。
SABFAのスクール自体が「プロがプロのために教えるスクール」として立ち上がっているので、美容師さん達が将来ヘアメイクになりたいとか、美容室の中でもお客様にメーキャップを提案できるような、トータルビューティーになりたい思いの方が多くいます。

野村:なので自分のスキルに付加価値を付けに来る感じですかね?

計良:そういう形ですね。

宇賀:でも新生SABFAになってから免許がない生徒さんにも範囲が広がったっていうふうに聞いたんですけど、どうしてですか?

計良:今回カリキュラムを刷新するにあたり、二つのコースから五つに変えたんですね。
これまで以上に多くの方が触れ合う接点を設けたかったんです。実はメーキャップをする方の中にも、美容師の免許持ってない方もいるんです。メーキャップのみを学ぶ意味では日本では免許がいらないんです。そういう、メーキャップのみで仕事していきたい方のために間口を広げようとしました。

宇賀:7月13日から10月開講になるコースの学生さんを募集されるということなんですね。

計良:募集中ですね。新校舎で、コロナの状況も考えて少人数制で何回かに分けて説明会を行ってます。

宇賀:どんな方に集まってほしいですか?

計良:自分の夢を持っている人です。
夢があり、現実に夢を掴みたい人達は応援したいです。
あとは、悶々としていてこのままでいいのかなって思ってる人にも自分を磨くために使っていただけると思います。

野村:例えば美容師として活動してる中で、次どうしようかなと思ってる方とか。あとは免許持ってない方も対象ってことなので、ヘアメイクの世界で自分が名を成してやろうと思ってる方はどんどん集まってほしいってことですよね。

計良:そうですね。特に美容師免許持ってない方にも間口を広げたので、色々な業種の人達が実はいらっしゃると思うんです。
美容部員さんや化粧品をお薦めする方、ブライダルサロンでメーキャップをされてる方は免許を持っていない方も多いので、自分のスキルを高めるため基礎理論からしっかりと固めて自信をつける利用もしてもらいたいなと思います。

野村:ちなみに雰囲気としては厳しく教えるんですか?それとも優しい感じなんですか?

計良:時に厳しく。ただ私は優しい方です(笑)

野村:業界全体としては結構体育会系な感じなんですか?

計良:そうですね。やっぱり徒弟制度というか大昔はすごくそういうものがありましたし、一般の仕事からすると、カメラマンとかスタイリストとかヘアメイクとかって割と厳しい世界だと思いますね。

宇賀:弟子入りして師匠についてみたいな感じですもんね。

計良:最近だいぶ変わってきましたね。最近は穏やかな人たちが多いですから、そんな現場で怒鳴り声も聞こえないです。

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<今だからこそ求められる美とは>

宇賀:特に令和になってコロナもあり、新しい時代になっていると感じます。今だからこそ求められる美しさみたいなものって何だと思いますか?

計良:本当に状況が見えない世の中じゃないですか。
先行きが見えない中で、ビューティーって何を人に与えられるのかとよく考えるんですよね。もう3.11の時とどこか似たような部分があり、自分の力ではどうにもならないと思うことが昨今多く感じます。ただ、人々が立ち上がって前を向いたり、世の中に出て行く時、笑顔になるときに美の力はあるのかなとも思っています。
力としては人の命を救うまでなくても、なくてはならないものなのかなと思っていますね。

野村:美しいものを見て、いいなと思う体験は、多分コロナの時代に前よりも減っていますよね。美術館も閉鎖され、外に出歩けなくなり、多くの人が美って生活必需品だったんだと感じたと思うんですよね。
だから今後ますますその役割は大きくなるんじゃないかと感じます。

計良:外に出ないと何もしない人が増えてたと思います。
マスクをするからメイクをされないという方や、リモートだと声だけになりすっぴんでいるようになったり。
でもやっぱり表にでるときでも、自分を綺麗にしたい欲求っていうのは生まれてくるものだと思うので、美の欲求はなくならないのかなと。

宇賀:それは本当に感じましたね。家にいる時間が長くなったからこそスキンケアにかけられる時間が増え、メイクもいつもより丁寧にやるようになりました。やっぱきれいにするってこんなに楽しいことだったんだっていうのは、発見ではありましたね。
今後のヘアメイク業界はどうなっていきそうですか?

計良:こういう時代だからこそ、本物の技術、本物の感覚と感性みたいなものが試される時期なのかなと思います。特に機械とかAIとかにヘアメイクの技術的な部分が取って代わることもあるかもしれません。例えばプリンターでメーキャップができるなど、どんどん技術が加速していく中で残って行けるとしたら、やっぱディレクションする力なんだと思うんですね。機械ができたとしてもオペレーションするのは人で、
それを考えディレクションするのはやっぱり人間の力だと思います。
美容業界、ヘアメイクの業界は今後、考える力を養っていくことが大切だと思います。

宇賀:計良さんの今後の目標や夢は何ですか?

計良:まずは、SABFAの新しい校長として、多くの人たちと接点を持って拡大し、認知していただきたいです。
また、ヘアメーキャップアーティストも含め、美容業界で携わっている人たちの業界の中で社会的な地位、価値みたいなものがしっかり高められるような活動を積極的にやってきたいなと思います。

宇賀:ありがとうございました!

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