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下積み時代は必要ないのか?今どきのクリエイター事情| #テンカイズ 2019/10/16 ②

TBSラジオ「テンカイズ」この日のプレゼンターはThe Breakthrough Company GO 代表取締役・三浦崇宏さん。後半は宇賀なつみさんと、いまどきのクリエイター事情について。業界の構造が劇的に変化!?その実状をテンカイしました。

この様子は、【番組公式youtubeチャンネル】でご覧いただけます!

SNSでの影響力を得た若者・・・いまどきのクリエイター事情

宇賀:日本の多様なビジネスシーンに欠かせないのがクリエイターたち。かつてのクリエイターと呼ばれる人々は、電通や博報堂などの大手広告代理店や民放キー局といった大手メディアで下積みをし、確かな技術を身につけてから独立するなどして名を馳せてきました。
しかし最近は SNS によって、自分の信じる思想や世界観を発信することで、20代のうちから特定のファンを巻き込み、独自の活躍をするクリエイターたちが増えています。そんな若きクリエイターはこれからも生まれ続けるのでしょうか。ということで次に注目するのは今時のクリエイター事情。三浦さんは、感じていらっしゃることありますか?

三浦:今はバイネームで活躍されている20代も沢山いる。例えばスタートアップでゆとり世代のためのファッションを作る会社の社長。古着を発信するInstagramのアカウント作っていて、他にもバーチャルインフルエンサーの事務所を作るといった若者にしか考えられないようなビジネスをどんどん展開されています。
僕の友人で20代の現役東大生、ホテルオーナーの龍崎翔子さんは、「チルい」という言葉をよく使っています。彼女は、若い女性の気分が良くなるようなクリエイティビティに長けたセンスの良いホテルを、京都大阪中心に作りながら、そのホテルの世界観で広告や企業のコンサルもしている。
ラップをやっていて海外のフェスに呼ばれたりしながら、うちでコピーライターとしても働いている飯塚を始め、色々な20代がいます。最近注目しているのは、女性が今よりもっと社会で活躍するためのレディーノーズというプロジェクトを1人で立ち上げ、会社全体で頑張りながらフェスをやっている23歳の辻愛沙子さん。

宇賀:すごいですね、全然ついていけてないです(笑)。

三浦:全員呼んで並べたいくらいですよ(笑)。

大手メディアや広告代理店で下積みを積む時代は終わった!?

宇賀:我々の世代はできるだけ大きな会社に、新卒で入らなきゃという雰囲気がありましたよね。

三浦:広告の世界で言うと電通出身で偉大な職人で構成されているタグボートというチームが1番有名。20年ぐらい修行してから独立する人が多かった広告業界で、今は若くてもどんどん活躍している。

宇賀
:スピード感が全然違いますね、早いですよね。

三浦:今は技術力よりも先に、影響力を身につけることができる。例えばジェンダー、環境問題、民主主義をどう変えていくか。社会の問題を SNSで声高に発信していくと、同じ気持ちで課題に向き合う人たちが1万人2万人と増えていくんですよね。僕らはちょっとベテランじゃないですか。

宇賀
:ベテラン?中堅?

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欧米で問題になっている「エイジズム」50代60代クリエイターがクビになっちゃう時代!?

三浦:俺はアナウンサーもクリエイターだと思っていて、自分が若手のちょっと上くらいだと思うんですよ。

宇賀:私も若手をちょっと卒業したぐらいだと思ってました(笑)。

三浦:我々はベテランです(笑)。日本人初のアップルのクリエイティブディレクターで、iPhone やiPod の CMを作成していた曽原剛さんが、久しぶりに欧州から日本に帰国されていて。欧米におけるクリエイターの課題を伺ったら、エイジズム(年齢)だと。つまり欧米では50,60代のクリエーターはもうすぐクビになっちゃうんです。

宇賀:どんどん下から入ってきているということですか?

三浦:日本の50,60代は役員や局長になり、ようやく偉くなってさすがですってなるじゃないですか。一方で、欧米では若い人のクリエイティブが分かんなくて作れないと思われて、クビになる。そんな流れに対して50,60代のクリエーターが怒って、年齢による差別が今大きい問題になっている。

宇賀:世代によって価値観が違うから、そうなっていくんでしょうね。私は10年間お世話になったテレビ朝日をやめて、自分の親世代からは家も買ってないのに大丈夫?と言われてしまいました。でも、入社して数年の若い世代からは、10年も大企業にいた意味はありましたか、10年って長くないですかと質問が来る。でもそこにいたからこそ得られた知識や経験、人脈があるので、私はこれで良かったと思っています。

若い人のセンスとベテランのスキルの融合こそが、いいチームを作る要因

三浦:2つあると思っていて。1つは、経験、人脈、技術によって今お仕事できていることへの感謝。例えば、自分の発言が炎上したり、ちょっとした考え方の違いによってトラブルに巻き込まれることもある。
中途半端なファンは全員サッと離れていくけれど、いざという時に絶対助けてくれる仲間がいるか。あるいは何か1個間違えた時に、ちゃんと謝る段取りや、自分を立て直していくための筋道や技術には経験がいる。だからこそSNSで自分の思想を社会に伝えながらどんどん影響力を手に入れることは大事だけれど、それによって実力や技術を身につける必要がなくなったわけではないと思うんです。

もう1個あるとしたらその影響力を身につけつつ、何かトラブルがあった時や新しいチャレンジをする時に、そばにいてくれる仲間と確かな技術も身につけながら影響力をつけていかなきゃいけないということは、もしかしたら僕ら世代が若い世代に言えることかもしれないなと思いますけど。

宇賀:今のいいお話ですね。今度どこかで使わせて頂いてもいいですか(笑)。

三浦: 博報堂出身でクリエイティブディレクターの箭内道彦さんが、30代の頃、17歳向けの広告を作ろうとしていた話があって。17歳は全員特別で、1人1人全員違う才能があると。世界にひとつだけの花に近いコンセプトを思い浮かべていたけれど、なかなか描けなかった。その時に、60代だった伝説のコピーライターの秋山さんに相談したら一瞬で「普通の17歳なんて1人もいない」と一言返ってきてコピーになった。この話好きなんですよ。

「感覚」は若者が分かっていて、その分かっている感覚を多くの人に伝える「技術」は先輩が持っているので、組み合っていくといいんじゃないかと。若い人のセンスとベテランのスキルと組み合わせていくのもどっちが偉い、偉くないじゃなくてフラットに年齢を超えて、いいチームを作れるといいなと思ったりします。

三浦ピン2

宇賀:テレビやラジオ番組にも言えることかもしれませんよね。この時間は若きクリエイターについて注目しました。

【番組公式ツイッター】でも様々なテーマでテンカイしています!



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