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グローバル企業の新たな採用法は?ユニリーバをテンカイ! 2020/10/3 #テンカイズ

「ユニリーバ」は世界最大級のグローバル企業で、日本でもボディソープやヘアケア製品のブランド「LUX」や「Dove」紅茶ブランド「Lipton」などで親しまれています。

そんな大企業が今年3月、採用時に提出してもらう履歴書などに今後は性別を書くことを求めないと発表しました。ジェンダーに配慮することがグローバルスタンダードになりつつある今。ユニリーバの思い切った判断に注目します。

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MCは宇賀なつみさん、プレゼンターはBusiness Insider Japan浜田敬子さん。


宇賀:今夜のゲストは、ユニリーバジャパンホールディングス株式会社取締役の島田由香さんです。リモートでお繋ぎしています。

島田:どうぞよろしくお願いいたします。

宇賀:浜田さんは島田さんとは仲良しということで?

浜田:盟友と言うか、ワーケーション仲間と言うか。

島田:そうですね。ワーケーションを広げていく仲間です。

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浜田:ユニリーバは働き方も先進的なんです。
今日話していただきたいのは、この3月、ユニリーバジャパンは履歴書から性別だけじゃなくて顔写真、そしてファーストネームもやめる画期的な取り組みをされたんですね。
知らず知らずのうちにアンコンシャスバイアスで男性を取る動きが問題になっていたからでした。書類上は性別を分からなくすることを徹底したんです。

宇賀:
履歴書から性別を書くことを求めないと決めたきっかけなどは何ですか?

島田:元々、このアイディアは私たちのすごく大切にしているラックスというブランドチームから頂きました。

なぜラックスが発案したのかというと、ラックスが持つ社会的な役割、私達はパーパスと呼んでるんですけれども、そのパーパスを考えた時に「女性だけでなくて全ての人が輝く。」がありました。その手段として思いついたものなんです。

浜田:顔写真を貼らないや、性別欄をなくすことは、他企業も取り組まれているかもしれませんが、ファーストネームを書かないっては結構すごくないですか?苗字しかないんですもんね?社内ではすぐにみんなコンセンサス取れたんですか?

島田:大変でした。一番困っていたのは、私もいる人事部なんですよね。 当然のことなんですけど、採用候補者の間違いが起きてしまわないようにする管理が難しくなってしまうという反対意見でした。

浜田:苗字だけだと同性の人たくさんいますもんね。それはどうやってクリアしたんですか?

島田:実際にどんな情報があれば間違えないのかという基本的なところを見直しました。また、今は「HRMOS」というサービスを使って候補者の方に登録をいただくのですが、HRMOSを運営していらっしゃるビズリーチさんにもご協力いただきなんとかクリアしました。


<40%の採用担当者が性別を気にする?>

浜田:この新しい試みをするにあたって、各社の採用担当者の方にアンケートされてますよね?採用にあたり性別は意識するかどうか。意識してる人は、意外と多いですよね。

島田:すごい多かったですね。40%近くの採用担当者が、性別で迷ったりとか、本来とは違う対応をしてしまった経験があるとお答えをしてくださいました。その事実というのが私にとっても改めて状況を知る大変良い機会になりました。

浜田:例えば企業の採用を見てみると、表向き皆さん性別で差別はしてないって言うんですよね。
でも結果的に日本の大企業ふたを開けてみると総合職は、必ず男性の方が多く取られています。本当にその人がこれまで何をやってきたのか、何がやりたいのかだけを見るって事は意外と難しいことですよね。

宇賀:でもユニリーバさんはその履歴書からは絶対に分からない状況にするけれども、最終的に採用が決まるまで、全く見ないようにする訳ではないですよね?

島田:そんなことないです。今はもちろんオンラインですけど、面接させていただくので、その時にはもちろん分かります。

浜田:新しい採用方法で変化はありましたか?

島田:実は大きな変化はないとお答えするのが多分正しいと思っています。

浜田:逆にそれまで差別じゃなかったってことですね?

島田:そうなんですよね。でもきっとアンコンシャスバイアスはあると思うんです。どの人にも、私たちにも。
ですが、それを始めた3月6日以降も特に大きな大きな変化はありませんでした。ただ候補者の方とかエージェンシーさんからは、共感の言葉をすごくいただきました。皆さんのご協力とご理解があるから今まで通り進んでいるのだと思います。

浜田:性別が採用にとって本当に必要なの?って言ったら、そんな必要じゃないわけですよね。どうしても男性しかできない仕事、女性しかできない仕事ってそんなにないと思うんです。

島田:本当にそうですね。 
もしかすると性別っていうのがあるように思ってた職種ももしかしたらあるかもしれないんですが、だけれども、本当にそうですか?と問いかけていくと違ったりします。

私がすごく好きなのは、ラックスが「髪のダメージをケアするだけじゃなくて、社会のダメージもケアしていきたい」というコンセプト。
私はすごい共鳴共感して、最初プロジェクトを一緒にやってこれたのをすごく誇りに思っています。

浜田:宇賀さん自身はこれまで働いてきて女性だから差別されてるかもと思った事ってあります?

宇賀:採用はまさにそうで、実際にテレビ局ですけれども上司が「普通に採点していくと女の子の方が優秀だから女の子ばっかりになっちゃうから、男の子は甘くつけてあげてね」って言ってる現場をまさに見ました。

浜田:そうなんですよ。みんな言うんですよ。
とにかくペーパーテスト、面接の受け答え、女性の方がすごく優秀だと。女の子ばっかりになっちゃうと。じゃあなんで女の子ばっかりじゃいけないんですか?って私は言いたくて、女の子ばっかりにすればいいじゃん優秀だったらと。

宇賀:みんなそう言ってるのに蓋開けると、例えばその年30人だったり40人だったりするんですけど、半分ちょっと男性なんですよ。

浜田:そこは男の子がちょっと多くなるように調整しているわけですよね。

宇賀:テレビは不規則だったりとか体力的にしんどいからって言うけど、今はドラマだってバラエティだって女性プロデューサーもどんどん出てきたし、カメラマンだって女性いるわけですよね。だから別にできないことはないと思うんですけどね。

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<働き方のアップデート! もっとフレキシブルに>

浜田:今日、島田さんお呼びしたのは、この履歴書プロジェクトもすごい面白いんですけども、それ以前から人事の世界では超有名人なんですよ。

島田さんは「WAA」プロジェクトをやっているんですよ。
「WAA」っていうのは「Work from Anywhere and Anytime」

コロナ前から、ユニリーバからまずWAAっていうのを始めて、いつでもどこでも働いていいというプロジェクトをやってたんですね。
それが今、他の企業でもその動きを島田さんが働きかけて広まってい  て、会社を越えて「Team WAA!」という活動をされていましたね。
この辺りちょっと是非お話を聞かせてもらってもいいですか?

島田:2016年の7月から初めて、早5年目になります。WAA、働き方を新しく、働く場所とか時間の制限をなくしてもっとフレキシブルに。
結果さえ出せばどこで働いても、いつ働いてもいいんじゃない?と。

この方向性に共感をした会社で集まって、コミュニティを作りはじめました。それがTeam WAA!という名前で2017年の1月から活動を毎月毎月、何か一つでセッションを提供するような形で行なっています。

WAAという仕組み自体はユニリーバの制度なんですけれども、Team WAA!というのは有志のコミュニティで、会社側も認めてくれていてます。

「仕事」と「生きる」って切れ分けられないし、仕事=生き方であって、"Work in Life"で人生をまず考えようとしています。
どんな人生したいんだろう、どんな事で私たちはウキウキワクワク生き生きと生きるんだろう。
そこにおける仕事を、働き方の観点から考えてみましょうと。

その中の「地域 de WAA」というプロジェクトは、地域に足を運び、場所を変えると効率的になるかもしれないと思いはじめました。
また、できた時間でもちろん地域の美味しいものを食べたり、お土産を買ったりお金を使って、地域活性化する経済回すこともできます。


<自分で選ぶことがWell Beingへの一歩>

浜田:あと最近、WAAを発展させて「WAAP」っていうのも始めたじゃないですか。これはなんですか?Pはどこからきたんですか?

島田:Pは”Parallel careers”っていう意味で副業ですね。
ユニリーバの中の仕事をちょっと切り分けまして、いろんな会社の外側にいらっしゃる方が副業でユニリーバの仕事をやれますよっていうそういう仕組みです。だから”Work from Anywhere & Anytime with Parallel careers”っていうのをちょっと短くしました。

WAAPってつけたのは、未来の世界にもっともっと豊かな世界にみんなでワープしようっていう意味を込めたんですね。

浜田:例えば私がユニリーバの中のなんか仕事があった時にちょこっとやるとかにもできるんですか?

島田:そうです。

浜田:社外の人がいろいろ関わる感じ?

島田:そうです。ユニリーバの社員にとってもいいきっかけになると思うんですよね。自社の中だけのことじゃなくて、いろんな方がいろんな経験、考え方を持っているので、繋がるだけで世界が広がりますし、お互いにとって良いんじゃないかなと。
   
副業ってイメージがまだそんなにいいものではないという気がしてます。
本業・副業になっちゃっていますよね。
この副を私は幸福の福っていうふうに変えていけたらいいなと思っています。皆さんが持ってる強み、可能性などを発揮できる場がひとつじゃなくていいと思うんです。そういった考え方が広がっていって、もっとフレキシブルに働いていけると人生を楽しんでいけるのではないかなと。

浜田:やっぱり自分で選べるってのはすごい大事なんですね。

島田:自分で決めるっていうこと自体が一番のWAAの効果だったと思いますし、脳科学の観点からも検証したんですね。
それによってやっぱり明確に分かったことは、自分で決めるっていう事実があることが、脳にエピソード記憶という2種類ある記憶のうちの一個になる。そのことでモチベーションの機能がスタートするんですよ。「自分で決める」ってことがいちばんのポイントだと思います。

浜田:本来それって、フリーランスにならなくてもできるっていうのが理想ですよね。

島田:そうです。

浜田:それをこう仕組みとして作ってるのがユニリーバジャパンだということですよね。このコロナでさらにそういった願望で働きたい人増えてますよね。 

島田:個人でそう思っていてもやっぱり会社でできないという狭間になっている人はすごく多いです。

Before コロナに戻るんだみたいなコンセプトをちょっとでも持っている経営者が仮にいたとしたら、ちょっと言葉きつくなっちゃうかもしれないけど、違うよねと思っています。

やっぱり前を見ていく、新しい時代に入っていってる、パラダイムシフトっていうことは確実に起こっています。なのでこの動きは加速してほしいなとすごく思います。

宇賀:ちょっと繰り返しになってしまうかもしれませんが、最後に島田さんの今後の展開を教えてください。

島田:今後の展開どうなるんでしょうね?でもやっぱり働き方のこれからをずっと考えていきたいと思っています。
一つやっぱりキーワードは”Well Being"だと思っているんですね。
心身ともに健康で社会的にも良い状態、WHOで定義していますけれども、
自分が主観的に見たときに、健康だな、気持ちがいいな、いい調子だなって思えていることが、結果として生産性に繋がるところが明確に分かってます。

こういったものを会社の仕組みにもっと取り入れていったり、会社に属するのかそうじゃないのかも自分でもっとフレキシブルに決めていけるといいですよね。
それを東京とか大阪の大都市だけじゃなく地域からも自由に選択ができる世界を作っていくことをもっと楽しんでやりたいと思っています。

浜田:ますますパワフルになりそうだ。由香さんが。

宇賀:ということで今夜のゲストはユニリーバジャパンホールディングス株式会社取締役の島田由香さんでした。ありがとうございました。

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