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外資系広告マンから銭湯に転職!収入と幸せは比例しない…って本当?| #テンカイズ 2019/11/6 ②

TBSラジオ「テンカイズ」BUSINESS INSIDER JAPAN 統括編集長・浜田敬子さんと宇賀なつみさんが、仕事と幸せ、その価値観について、小杉湯に転職した”ガースーさん”をスタジオにお呼びしてトークをテンカイしました。

この様子は、【番組公式youtubeチャンネル】でご覧いただけます!


宇賀:ミレニアル世代など20代30代が仕事をする上で大切にする価値観が
変わってきています。従来の少しでも高い年収、ポジションなどを
目指して働くより、自分が本当に心地よい環境や大事にしたい価値を中心にする人が増えていると言います。いったいその背景には何があるというのでしょうか。
今週は高円寺の銭湯「小杉湯」のチーフストーリーテラー、菅原理之さん(38)をゲストに紹介いたします。浜田さんの推薦なんですよね?

浜田:そうです。私たちが菅原さんの記事を書いた時、かなり読まれました。私もすごく共感したんです。今の働き方や若い人の価値観がすごく変わってきているのは体感していました。でも大手の広告会社から銭湯に転職というのは意外ですよね。


宇賀
:なんで転職したんですか?

菅原:キャリアに行き詰まりを感じたからです。
広告業界にいたときは悩みや不安感、違和感が働いている中でありました。
その中で趣味であった銭湯につながり、別のキャリアを歩んでみようと。
より手触り感があり、分かりやすく誰に届けているかが分かる仕事をやりたいと思っていました。その選択肢の一つが銭湯でした。

浜田:たしかにこの世代は、「何のために働いているか」や「人生100年時代」と言われ、色々なキャリアをチャレンジしたいし自分の価値観を大事にしています。違和感をほっとかない世代なんです。
もうひとつの世代の特徴として、年収を増やすことを目指さないのも挙げられます。

菅原さんならおそらくヘッドハンティングされたら年収上がっていたと
思うんですよね。だけど年収は転職で半分になったんですよね?

菅原:半分以下ですね。

浜田:なので何か仕事や生き方とかキャリアチェンジするときの一つの軸に、年収は優先事項としては決して高くないという特徴もあるんですよね。

宇賀:このまま同じ会社に行っても5年後、10年後の仕事の規模感や給料も計算できちゃうんですよね。
それがもう多分耐えられないのだと思います。

菅原: やっぱり私も1社にずっといるイメージがなく、その都度自分がどこに合うのか、何が求められるのかで変えていく方が多いですね。

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宇賀:ところで何で銭湯だったんですか?

菅原:広告代理店時代、ややこしい仕事が多く、分かりやすいものをやりたい気持ちが大きくなったんです。
銭湯には3つの分かりやすさがあると思います。
一つは目の前のお客さんに対して「今日、気持ちよかったよ」「ありがとう」とすぐ反応がもらえます。
2つ目は銭湯の基本的な仕事自体、難しくはありません。お掃除をちゃんとやるとか、お風呂にスイッチを入れるとか。
当然トラブルがありますが分かり易い作業です。
3つ目は、ビジネスモデルが実は分かりやすいことです。
ITのストック型ビジネスに似ています。1日お風呂営業してるなかで、1人来ても100人来ても固定コストは変わらないんですよ。だからどっかで臨界点が見えるので損益分岐がはっきりしているんです。

宇賀:銭湯は今ブームになっていますよね。サウナとか銭湯を舞台にしたドラマとかありますけど、やっぱり閉鎖されているところもあるじゃないですか。そういう心配や不安みたいなものはなかったですか?

菅原:それで言うと僕は広告代理店時代から少しボランティア的に関わりをさせていただいて、イベントを一緒に作っていました。
そこから三代目の平松からもう少し色々やらないか、と声をかけてもらい小杉湯の事業計画を作ったんです。
なので、なんとなくのビジネスの仕組みや売上は見えていました。
自分がどれくらいまで稼げるかをちゃんと固めて、転職をしたんです。
当然年収的に半分になるインパクトはあるんですけど、完全に食えなくなるっていう心配はない状態を固めていきましたね。

浜田:この前、別の番組で小杉湯のある番頭さんでイラストレーターの方が出てきていました。キャラが立ってる人が小杉湯には多いですね。

菅原:彼女は元々建築の仕事をしていました。
その中で小杉湯のお客さんで来ていていたのもあり、あの小杉湯の絵を描いてみないかと。番頭兼イラストレーターという形です。

小杉湯の収入は多くはないですが、ベーシックインカムみたいな形で好きなことができる。それでチャレンジをする人を応援していきたいと思っています。結構バイトで来てくれる子たちも何かを主軸にしたい人たちが多いです。
お掃除や普段のタオルを畳むなどはバイトのメンバーがやってくれています。
お笑い芸人や演劇をやっている子もいて夢を追いかけながら働いています。

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<Doing>より<Being>な生き方へ

浜田:年収とか大企業などに憧れるというより、自分のやりたいことや違和感を我慢しないことに共感した人が多かったのかなと思いました。

菅原:そうですね。僕も代理店に入って年収が上がり、仕事も大きくなり
どんどん上ってる感じは経験したんです。

浜田:快感の時もありましたよね。

菅原:ありました。でもどこからか年収が上がっていっても幸福度が
上がらない
経験をしたんです。その時に若い世代の子たちが好きなことはやり、一応食えてはいるのを見ました。色々な人の話を聞き出した中で、自分の道を考えだしたのも大きいですね。

宇賀:20代の子は少し違うだけだと思いましたが、新しいものを使いこなす速さとか、思いつく速さが全然違う。本当に勉強になりますよね。

浜田:今の若い世代は、誰が自分の人生の主人公かをちゃんと考えて人生をデザインしています。やっぱり長い人生が終わった時に後悔したくないんですね。
自分で決断したことで多少は年収が下がるなど失敗もあるかもしれませんが
人生を自分でコントロールしたい気持ちが強いのだと感じます。

菅原:西洋思考とは違いますね。西洋思考は神様から提示されるビジョン、それを自分が成し遂げるミッション。それに対しての各タスクがありゴールを目指していくじゃないですか。
どっちかというと、東洋の思考は自分がどうあるかっていうこと。有り様を続けていく事によってきっと人生が良くなるっていくと考えます。
今西洋の人が東洋思考を参考にしているんです。

浜田:たしかに、2年半前にシリコンバレーで研修受けた時にDoingよりBeingっていう言葉がすごく流行っていました。
あなたはどうありたいかを考えなさいをコーチからすごく言われたんですよ。なのでシリコンバレー自体が東洋思考の在り方になっていますよね。

菅原:若い子はどっちかって言うとBeingをナチュラルにやっていたりする子が多いです。

宇賀:言われてみればそうかもしれないですね。

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小杉湯を起点に社会的処方へ


宇賀
:菅原さんは今後どうして行きたいですか。

菅原:僕ら小杉湯は、当然今までどおりお風呂をずっと提供していき、お風呂にまつわる暮らしや街づくりの一部を作っていきたいです。
将来的には、銭湯が持つ価値観をより拡張した形で提供していきたいです。

浜田:街の集会所みたいなね。

菅原: もう一つは銭湯の可能性として社会的処方でありたいです。
年齢が上の人は、生きる目的やある場所に来るべき目的とかを持っているだけで病気になりにくくなり孤独死を防げるという話があります。

浜田:おじちゃんおばちゃん来なくなったら気にしちゃうとかね。

菅原:うちの母は毎週スポーツクラブに運動は特にせず、お風呂に入り喋るのが楽しみで通っているんです。だから母はある程度元気に生きたいと思ったりしているんです。

宇賀:仕事や働き方への価値観、生き方はどんどん変わってきていますね。
とりあえず小杉湯に行ってみたくなりました。
ということで、この時間は高円寺の銭湯小杉湯のチーフストーリーテラー
菅原理之さんをお迎えしました。ありがとうございました。

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