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2020年のスタートアップ業界、世界で戦うには何が必要? #テンカイズ 2019/01/29 ①

AI、人工知能や人工衛星などの宇宙産業を中心にスタートアップの活発化が目立った2019年。また、スタートアップと共に日本のビジネスシーンにベンチャーキャピタルというワードが踊った1年でもありました。日本経済新聞社によりますと、去年、50億円以上を調達したスタートアップは大企業の子会社を除き、実に10社。一昨年は1件もなかった100億円以上の調達は3社という結果になりました。2020年のスタートアップ事情のあれこれをテンカイしていきます。

宇賀なつみさん、NewsPicksアカデミア編集長の野村高文さんに加え、フォースタートアップス株式会社 代表取締役CEOの志水雄一郎さんをゲストにお迎えしました。

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収録の様子は【番組公式YouTubeチャンネル】でご覧になれますので、あわせてお楽しみください。


<2020年のスタートアップ事情のあれこれをテンカイ!>
宇賀:
この時間は、フォースタートアップス株式会社 代表取締役CEOの志水雄一郎さんをゲストにお呼びしています。志水さんがCEOを務められているフォースタートアップスが手掛ける事業について、お話頂けますか?

志水:弊社では2016年の9月から、スタートアップデータベースという日本の成長企業全部まとめたデータベースの運営をしております。日本から世界で勝てる企業の育成のためにデータを活用しながら、日本の優秀な人的資源をCXOから順番に組閣をし、その企業の成長力を生み出す事業を展開しています。

宇賀:4年弱ですね。そもそもこの事業を始めるきっかけは何だったのでしょうか?

志水:リクルートに次いで日本で2番目の中途採用ブランドdodaをご存知ですか?テレビCMでそれの元々生みの親なんですよ。事業を作りながら私が生きている間に、日本のGDPが下がり、日本人の平均年収は7%下がってしまった。国の成長力に繋がるような事業や、人が幸せになれるように支えなければならなかったのに、その視点が欠けていたことにある瞬間、気付いたんです。自分が良い生活をする以前に、人生の後半戦で本来すべきだったことに挑戦したいと思い、今に至ります。

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野村:昨今の流れを見ていると大企業を含め、投資マネーがスタートアップに集まってきている気がします。報道でそんな流れを目にすることもあるのですが、実際いかがでしょうか?

志水:スタートアップ企業へ年間4000億、5000億の投資はこれまでなかったのですが、この数年で5倍以上になっています。ただこれは日本の過去との比較で、もっと増えなければいけないと思います。それもアジアで比較した場合、投資規模はインドやインドネシアの方が大きく、日本は低い方なんです。

<スタートアップの勝ち方>
野村:例えばモノづくり分野では、どの領域に1番注目が集まっているのでしょうか?

志水:今後で行くと宇宙を始め、私たちの今後の生活を支えるための仕組み。例えばスペースデブリを除去する、海洋汚染を綺麗にする。食料が足りない場合は、違う食料を生み出す。ディープテックのチームが次世代に向けて、テクノロジーによるイノベーションでより良い時代を残すことが必要で、大事な役回りだと思います。

野村:フォースタートアップス株式会社として新しい産業を作っていくために、今後どのようなところにアプローチしていきたいとお考えですか?

志水:1つは効率的に勝てるチームに資金がどれだけ集まるかを、しっかりと整理していきたい。その少ない資金がより勝てるチームに投資ができる仕組みとして上場会社であれば情報公開するのは義務ですが、上場してなければ情報公開するのは義務ではないので、どこが強いかハッキリさせないといけない。

野村:確かにスタートアップの公開情報は驚くほど少ないですよね。

志水:誰が競争力を持っているか分からないので、可視化するための1つの手段として、スタートアップデータベースを作りました。もう1つは人。少子高齢化でますます労働人口が減っていく中で、どうやって国の競争力を作るか考えなければいけない。それも同じキャピタルなので、強いチームにより多く人とお金が集まらなければいけないということで、事業モデルにしています。

野村:例えば米中の14兆円を、日本の4000億円で追い抜くのは物理量として難しいので、1番インパクトがありそうな所に、お金と優秀な人を集中させる。それによって日本から世界を変えていくスタートアップを生み出す。そういった像を目指されているのでしょうか?

志水:1つはそうです。もう1つは私たちができるか分からないですけども、日本の大企業にある内部留保のお金と優秀な人をカーブアウトする。新規事業ではなく、既にある事業・産業に自分たちが参画しお金も出すことで、大企業で働く人とお金に流れる。事業が伸びる構造をプロデュースすることが重要だと思っています。

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宇賀:やりたいと思う大企業も多いでしょうね。

志水:個人の中に、ある事業の株式を持たせるかディシジョンがあるので、なかなか難しいですね。個人はお金を持っていないので、大事なのはMBOをするための資金を銀行が貸してくれる構造があること。大企業の取締役会でも社会と自分たちのためでもあると勇気を持って事業を法人化しようと動いていけたら、日本も勝てる可能性が出てくると思っています。

宇賀:野村さん、お話伺っていかがですか?

野村:日本にいるとあまり気付かないですが、給料が上がらない代わりに物価も上がってないので、日本だけが取り残されて相対的に貧しくなっている。だからこそそういうスタートアップや新しいビジネスを起こす領域に、優秀な人やお金が流れていかなければいけない。志水さんが仰っていた大企業の意思決定や、安定した方がいいじゃんというマインドセットを含め、障壁を1個1個越えていかなければならないと思いますね。

宇賀:2020年代は、また大きく変わっていきそうな気がしますね。

野村:割と境目ですね。そのまま沈むか、もう1回復活するかの境目だと思います。

宇賀:この時間はフォースタートアップス株式会社 代表取締役CEO 志水雄一郎さんをお迎えしました。ありがとうございました。

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