2019全米オープン終了を受けて、今後の女子テニス界を考察してみる



 さてこのタイトル、今年の全豪終了後にもありましたが、それの全米版というべき内容になります。


 まずは優勝したビアンカ・アンドレースクについての考察ですが、そもそもテニバカ的プレイヤー考察でも取り上げてしまったので、改めて申しあげることも少ないのですが、全米優勝したことにより今年のハードコートの勝率が42勝4敗という実に90%を超える勝率をたたき出している。

女子テニスはサーブでそう優位にとれるわけではないし、なによりアンドレースクは身長が170なのですごいサーブをもっているわけではない。フルセット率も高いし、なかなか厳しいラリーを強いられながらのこの数字である。

 アンドレースクはまだ20歳になっておらず、昨年はWTAではなく下部ツアーを戦っていて、体格も一回り細かった。簡単にいえばバワーをつけただけで、あっという間に完成されてしまったプレイヤーとも言える。(当然下地がすごいのは言うまでもないが)

 しかし現在のアンドレースクのパワーは自身の体格ではとうてい支え切れるものではないのが問題である。かといって怪我のリスクを避けようとすれば、同じようなパワーが出せずテニスが狂いだすのも事実。更にテニスプレイヤーというよりアスリートとしての向上心がアンドレースクには牙をむく。それは現在奇跡的なバランスで成り立っているところを、更に上乗せする考えであれば、それでも狂いだす。

 だったらアンドレースクは八方ふさがりかもしれないが、これに関しては上手く休んでコンディションを調整するしかない。試合数も多少絞ったほうがいいのも当然条件に入ってくる。なによりアンドレースクは今年のマイアミ棄権からの長期離脱もあったように、あのようなことは当たり前のようにやってくる。アンドレースクに求められるのは上手く休んでコンディション調整をすることがなにより大切になってくる。テニスは正直完成の域といっていいレベルであると個人的に思う。170センチのプレイヤーがやる最高のクオリティーを出しているし、それ以上を求めたらあっけなく壊れること今一度認識しておいたほうがいいのかもしれない。



 次はようやくグランドスラムのベスト4に進出したベンチッチとスビトリナについての考察である。

 2019年ようやくグランドスラムベスト4進出を果たしたスビトリナとベンチッチ。優勝に向けて大きな階段を上がったが、とはいえ優勝まではあと2歩とはいかず、まだ優勝への課題が残っている。


 スビトリナはトップ10に入り、ツアーでの抜群の安定度でトップ10をキープしていながらもグランドスラムのベスト8からの壁がなかなか高く厳しかった。それでもウィンブルドンでガスパリャン戦の棄権のチャンスを活かしてのベスト4、その流れにのったかのような全米でもベスト4と大きな階段を上がった。

 テニスの内容も変わってきて、当然フットワークによる守備力重視のスタイルはそのままに、課題の攻撃力もバックハンドは積極的に攻めるようになってきた。一言でいえばほぼウォズニアッキといったところではないでしょうか。後はフォアハンドでも同様の攻めをできるかどうかに尽きる。スライスやドロップショットにネットプレイも向上させる必要があるが、何よりもフォアハンドでの積極的な攻撃である。それができればほぼハレプになれるからだ。



 そしてもう1人ベンチッチ、ようやくグランドスラムベスト4に駆け上がったわけだが、元々の持っているライジングの攻撃力、そしてそれに見合うレベルのフットワーク。このフットワークのレベル上昇によりラリーでのポイント獲得率が目に見えて上がってきている。

 ただそれにより未だ課題であるサーブは据え置きのままであり、特にダブルフォルトの多さは未だに気になるところである。ファーストサーブの確率が悪くとも、ラリーになってしまえばベンチッチとしてはありがたいわけで、正直にいってサーブの進歩はあまりないながらも、ライジングの攻撃力でラリーの主導権をほぼ握ってみせ試合の支配率をより高めることとなった。

 だがベンチッチへの更なる課題は、ライジングができないときのテニスをどうするかである。アンドレースクにループボールで思うようにライジングをやらせてもらえなかったからこそ、ベスト4どまりであったとも言えるわけで、アンドレースクのループボールに普通に返しているようでは先はない。

 ループボールに対してはループボールで返すか、スライスでも混ぜるべきである。現状を考えるとベンチッチはループボールしかない。理想をいえばフェデラーのようにスライスを混ぜてその後ライジングをすることによる緩急つけた最高のラリーを構築できることはわかっていても、それをベンチッチに求めるのは余りにも理想的すぎて現実的ではない。

 いずれにしてもライジングが出来ないときのラリーの展開作りであり、結局サーブの向上と向き合う必要がある。ある程度までは長所を伸ばして短所は後回しにするのは有りだが、グランドスラムを優勝しランキング1位をとるとなると短所をおざなりにして達成できるわけがないし、はずがない。ただ唯一圧倒的なパワーがあるのみ例外になるわけだが。



 次にようやく大坂なおみである。なぜこの順番になったのかと言えば全米の成績を考えたらここになってしまったと言える。全米終わりから時間が経ってしまっているからこそ、つい最近ジェンキンスコーチを解任したと同時にインスタで恋人との2ショットも発覚と話題に事欠かないのはいいのだが、心中穏やかとはいかない。

 2つもこんなことを起こした手前、なにはなくとも試合に勝たなくてはいけなくなった。この2つの事象はテニスの結果があって打ち消すことができるわけで、ここから敗退続きになれば、どこどこまでも叩かれるのは必至であるし、またそれについて擁護することなどできない。なぜわざわざ自分を追い込む必要があるのかわからない。

 全米から話が外れてしまったが、全米前大坂なおみは自身のメンタルを安定させるためにスマイル作戦を遂行していた。自分のメンタルの弱さを認めつつ、前任のサーシャコーチからのメンタルアドバイスをしっかり取り込んでいることがわかった。

 大坂なおみの全米は3回戦のココ・ガウフ戦に尽きるだろう。女子テニス界の未来の女王最有力候補間違いないであるガウフを強烈に意識していた。今後大坂なおみはガウフをマークしていくのであれば、今後のキャリアに対して不安になる必要がないと思う。ガウフの技術力は大坂なおみに足りないものであり、その技術力を少しずつでも身に着けていけば、セレナの後を継ぐのは大坂なおみになる。ガウフは体型と芝の強さを考えるとビーナスの後継者というイメージが強い。現在の大坂なおみはかなりメンタルが落ち着いてきているので、足りない技術力の習得にしっかり時間が割けるのではないかと思っている。2019年オフこの課題をどこまでクリアできるか。



 最後にココ・ガウフについても触れようかと思いましたが、そこはテニバカ的女子テニスプレイヤー考察にまわしたいと思います。とはいえ何も言わないのは纏まりが悪いので一言だけですが、大坂なおみとの試合でパワーを体感できたということは、今後肉体の成長でパワーがついてきて、少なく見積もってもアンドレースク以上の完成度を誇る女子テニスプレイヤーが誕生すると思っています。


#女子テニス #アンドレースク #スビトリナ #ベンチッチ #大坂なおみ

#ガウフ


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