和を以て貴しと為す…か…



 確かに感じ悪いインタビューだったかもしれないど岩パパの気持ちも分かる気がする。

もちろん俺の勝手な思い込みだけど、あれがめちゃくちゃ叩かれてるから、なんか逆の側にたって考えてみたくなった。

 結論からいうと、岩パパは勝利インタビューなんだからまずは『勝った馬とレースを讃える』のが先じゃね?と思ったんじゃないかな。 と思う。

それで、レース直後のアドレナリン出まくりの状態にあのキレやすい性格とが相まって『いやいや、なんなんだこのインタビューは無傷の三連勝だぞ』ってなったんじゃないかな? 

 リアルタイムでは観れなかったけど一応YouTubeとかTwitterでいろいろ見てみたら、どれもいきなり『権利取りましたね』からはじまってる。

いつも見ているインタビューだと、だいたいの流れは『おめでとうございます』→『いや〜圧巻の押し切りでしたね!後続を寄せ付けませんでした』とか今日の勝利について讃え、レース内容などの話を聴いてそれから馬の事をいろいろ聴く。そして最後に『これで皐月賞の権利を取りました、今の意気込みを』みたいな流れだよね。

ところが昨日の映像を見てみると

①勝利を讃える。
②『今日の』レースの感想。
③デシエルト無傷の三連勝について。

は無くていきなりココ
⤵︎ ︎
④次のレースへ向けて。

 つまり、『段取り端折りやがって。俺とデシエルトを舐めてんのか』と。キレたんじゃないかと。

それでその後の会話にならないコメントはもうキレてる状態なので、もうむちゃくちゃ。馬に対して思っている事や、ムカついてる気持ちがブレンドしちゃってどもならん。ってことになったんだと、勝手に思った。

 恐らくあのインタビュアーにとってはただの前哨戦なのかもしれない。けれど平場だろうがG1だろうが、騎手や馬にとっては今日の勝ちの積み重ねの上にしか未来は無い。

今日一緒に走った他の9頭は、ヘタしたら来年の今頃には見かけない馬やもしかしたらこの世に居ない馬だっているかもしれない。

1レースごとが馬生を賭けた大舞台。今日のこの日に命運が賭かっている勝負師や馬に対して、なにより『今日の頑張り』へのリスペクトがまったくたりないって岩パパは感じたのだと思う。デシエルトは強い勝ち方だったし、無傷の三連勝。まずは『今日の勝ち』その会心の勝利について話したかったはず。

そこへインタビュァー開口一番『今日』をすっ飛ばして『次の話』だったからカチンときて「いやいや今日勝ちに来てるんで」と少々ズレた応答。例えばその後にもう少し上手く「確かに次が本番かもしれないけど、まずは今日のレースに勝った馬を褒めてあげてよ」などと笑いながら続けてくれたら良かったんだけど。

頭にきたら会話とか人目とかどうでも良くなるそういう性格なのかもしれないね。

 岩パパは過去にいろいろあって多くの競馬ファンからは完全にダークサイド側の人間として見られているし、それは自業自得の部分がほとんどだろう。

けれど、じゃあなぜフリーの彼は未だにジョッキーを続ける事が出来ているのだろうか。

きっと外から見ている俺たちには知りようのない部分で、厩舎や馬主から信頼され、期待され、馬を託される要素が少なからずあるからに違いない。

なによりも大切な馬を預けるんだからね。

思うに、不器用で口ベタでキレやすいけれど、腕は確か。そんな感じなのかな。

人に好かれる?ジョッキーにはそんなもんいらん。レースで馬を勝たせる事だけが仕事。なんならそれが1番のファンサービスだろ。といういわゆる昔気質のスタイルの人なのかもしれない。

そんな風に難しい気質の人にインタビューするアナウンサーは確かに気の毒だったかもしれないけど、インタビューは話を聴く相手のキャラをしっかり掴んでないといけない、ともおもうよね。そうでないと世の中いろんな人がいるんだから、通り一遍のやり方では上手く話を引き出せない人もいるはず。たとえ時間の制約があるにしてもだ。相手の懐に入り込んで今の気持ちに寄り添い上手く話を引き出すのもテクニックなんじゃないかと思う。

と、いうまったく勝手な自論、見解なわけだけども。

 まあ、普通に考えてそんなところでキレる?ってのもごもっともだし、俺も昨日のインタビューをみるまでは岩パパのことを『動物虐待野郎』とレッテルを貼っていて、はっきり言って大嫌いだった。けど昨今の世界情勢における『あっちは完全に悪。こっちは完全に善』という勧善懲悪ムードにゲロ吐きたくなっているところへ、この『岩パパ、ボロクソに言われてるの巻』だったので、ちょっと肩を持ちたくなった。

『あいつはクソだ!』『そうだそうだ!』

 起きた出来事の表面だけを見てその裏側、本質を見ずに決めつける。そしてどうしてそうなったのかは考えない、そんな薄っぺらな思考ではなるべくいたくないなと思うからね。

どんなに理解不能な言葉や行動の裏にも必ず意味があって、それを端から理解しようとせず、みんなこの標準の枠にハマりなさい。ハマらないやつは白い目で見ましょうね。って『集団心理』がかなり怖いなって俺は思うから。

和を以て貴しと為す、も当然わかる。けれどその範疇がどんどん狭められているような気がして、ぷんぷん人間臭い岩パパの肩を持ちたくなってしまった。

ただ、岩パパは今度誰かにムカついても、馬に乗ってる時じゃ無くてロッカールームでやって欲しいってのは前からずっと思ってるし、これからもずっとそう思う。

そして今日のスプリングSの俺の本命は①ビーアストニッシド!鞍上は岩田康誠!

勝ったらまたあの渾身のガッツポーズでお願いしたい。





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