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Q:「陰陽五行説の応用」と言われるのはなぜ?

A:昭和初期までの姓名判断では陰陽説や五行説が応用されていました。その名残でこう言われることがありますが、現代の姓名判断にはあまり応用されていません。

陰陽五行説は陰陽説と五行説を組み合わせたものですが、もともとは古代中国で別々に生まれた考え方です。

陰陽説は「万物は陰と陽からできている」という思想です。また五行説は「万物は木、火、土、金、水の五つの要素(五行)からできている」という思想です。

●姓名判断の技法にも流行がある

昭和初期までの姓名判断には陰陽説や五行説を応用した方法が使われました。ですが、現在は状況が異なります。

近年の主流は字画の合計数で吉凶を判断する方法です。これは「数自体に吉凶がある(数には吉凶を暗示する数霊が宿る)」とするもので、陰陽や五行とは関係ありません。なので、これを「陰陽五行説の応用」というのは間違いです。

名前で運勢の吉凶を占う方法は大昔からありました。漢字音を用いた「人名反切」という方法は、古くは平安時代の後期までさかのぼります。

江戸時代の前期になると、「梅花心易」という易を用いた方法が現れます。また、生まれ年と名前の漢字音で占う方法も江戸時代からありました。

これらのうち、字画数を用いるのは「梅花心易」だけです。字画数で易の卦を立てるのです。[注]

そして明治中期になると、字画の合計数で吉凶を判断する方法が登場します。数がそのまま運勢の吉凶を暗示するという考え方なので、易の卦を立てる面倒がありません。これが現在の姓名判断で主流になっている数霊法です。

●昭和初期までの姓名判断

明治中期に登場した技法は、数霊法を含め、以下の五つでワンセットになっていました。五つあるので「五則」といわれましたが、当時はこの五つの総合評価で運勢の吉凶を判断したのです。[注]

このうち、②が陰陽説の応用、③が五行説の応用です。そして①は現代でも代表的な技法として用いられているものです。

① 数霊(名の字画の合計、姓と名の字画の合計)
② 陰陽(の組合せ)
③ 五気(の配合)
④ 天地(の配置)
⑤ 読み下し(の意義)

昭和初期までの約40年間は、この五則が姓名判断のスタンダードでした。なので、当時の姓名判断についてなら、「陰陽五行説を応用している」といってもよかったわけです。

●現代も残る陰陽五行説を応用した技法

現代の姓名判断でも、陰陽五行説を応用した技法を用いる占い師はいます。陰陽(の配置)、三才(の配置)、音韻五行(の配置)などです。

陰陽は明治中期からある五則のひとつですが、三才と音韻五行は熊﨑健翁という昭和前期の占い師が広めた技法です。[注]

ただ、平成以降でこれらを用いる占い師は、全体から見れば、少数派です。これらをまったく用いない占い師も大勢います。

したがって、一般論としては、現在の姓名判断について「陰陽五行説を応用している」という表現は適切ではないことになります。

==========<注記>=========
[注] 本項で参照した当ブログの記事
「姓名判断は我が国百年の歴史」が本当だ(1)
「姓名判断はわが国百年の歴史」が本当だ(2)
技法の信憑性(1):陰陽(乾坤)
技法の信憑性(3):五気(五行)』の[注9]
技法の信憑性(4):天地人三才
技法の信憑性(5):音霊
技法の信憑性(6):音韻五行

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