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シングルマザーの強さ

最近はヤマザキマリさんの著書をよく読んでいる。
いわずと知れた『テルマエ・ロマエ』の作者であり、現在でも漫画な連載やメディア出演などマルチに活動している。

彼女を知ったきっかけは、西洋画家の批評を書いた『ヤマザキマリの偏愛ルネサンス美術論』(集英社新書、2015)。
はじめはテルマエの作者という認識しかなかった。しかし彼女は、画家志望、多様な国を飛び回った経験、国際結婚、西洋美術やローマ史への造詣の深さなど、私の関心があるものを全て持ち合わせていた。
世間の「普通」に流されず、強くて大胆、知性と教養を持ち合わせながらも、どこか親しみがもてる。それは彼女が「留学して漫画家になったエリート」ではなく、世界中で苦境に立たされながらも生き抜いてきた「強い人」だからだろう(この表現が適切かはわからないが)。

そんな彼女を作ったのは、17歳にして突然の留学、シングルマザー、世界中で多様な生活をしてきた経験等々。とりわけ彼女の母親が最も大きな影響を与えているのは間違いない。

ヤマザキマリさんの母親をひとことで言うなら、彼女の上位互換だ。
彼女はお嬢様育ちでありながらも、ヴィオラ奏者を目指すために娘二人をつれて北海道に飛びこんだ。生活も決して楽ではなく、不安定な仕事でやりくりしながらも、なんとか娘二人を育ててきた。
しかし、彼女は決して悲観的にはならなかった。マリさん曰く「大丈夫、何とかなるわよ」が母の口癖だったらしい。それは楽観的という意味ではなく、前向きな意味での言葉だった。無駄に悩まず、目の前のことに集中して、どうしてもダメなら居場所を変えてみる。そのしなやかさとフットワークの軽さは、確実にマリさんの行動基盤にも繫がっている。
(きっかけがあれば森泉さんも同じことをしそうだ)

シングルマザーとしての強さでもう一つ思い出すのは、『天才!志村どうぶつ園』で登場していた白井家だ。
通称「神」と呼ばれていた白井家の当主(母親)は、息子二人、娘一人に加えて、30匹以上の身寄りのない動物を保護しながら生活していた。
毎朝動物たちの世話をし、家族の食事をつくり、語学の先生としてときに海外にまで飛び回るパワフルさ。それは彼女の痛快でキレのある言葉にもよく表れていた。そういう人物の言葉には、どこか人生を達観した深みがこめられている。それは私がヤマザキマリさんを見て感じたことと同じだろう。

単純に内容が面白いという理由もあるが、生まれてからずっと動物と暮らしいた私はこのコーナーが大好きでよく観ていた。
人気コーナーではあったものの、その裏で彼らよしとしない面々や文春あたりがつついたせいか、突然予告なく終了した。まぁこの番組ではよくあることだが。動物による近所とのトラブルが取り上げられていたが、事実についてはよく知らない。調べても、ゴシップ詩によくある邪推を煽るような記事ばかりが転がっていたので、次第にどうでもよくなった。
少なくとも再放送でカットされていないので、そこまで大ごとにはならなかったのだろう。


※ひとこと
しかしいくら強くたって、現代では多くのシングルマザーが貧困に苦しんでいるのは事実だ。低賃金のワーキングプアも問題になっている。
「今の日本で食うに困るほどの貧困はない」と言った政治家もいたらしいが、空想でものを言っているのが露呈している。貧困者はボロを着てあばら屋に住んでいるものとでも思っているのだろうか。
現在の貧困は、服装や居住地程度でわかるほど単純ではない。服なんて経済面関係なく、大抵の人は同じだ。

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