好きな人と一緒に帰る話
短編集読んでね、映画とか、小説に影響されやすいレベルSSSなので、その気になっちゃって、、、、、うん。
「まだ乗ってたいなあ」
部活帰りの電車の中、隣に座る彼女に、でもちょっとひとりごとみたいに、言う。
***
夕方6時。同じ方向なのでいつも2人で同じ電車。
けど、悲しいことに、自宅が高校に近いので10分ほどで降りる駅に着いてしまう。
「近すぎるのも考えものだねえ」
なんて言って、彼女はかわいく笑う。
「もうちょっと座って休みたい気持ち、わかる。」
そうなのだ。
部活で疲れた体にこの椅子はかなり心地よい。無理。まだ立てない。足ガックガクだし。
私が、降りる駅で駄々をこねるのも、もはや恒例。
***
剣道部は、隣の彼女と私を含めて5人の女子だけ。男子はいない。剣道部で男子いないなんてことある?って最初思ったけどほんとにいない。
彼女は、頼れる我らが主将で、稽古の時は、率先して声出して、みんなを鼓舞してくれる。
不思議なもので、どんなに疲れていても、バテていても、彼女の「ファイト!」っていう一言で、つられて私たちも限界超えて頑張ってしまう。なんでだろう。
まあそんなだから、終わる頃にはヘトヘトで、でも早く帰らないと怒られるので、さっさと支度して、方向の違う3人と別れて、で、やっと電車で2人で座って、はあああーーーってひと息つくのが恒例。
私はこの時間に彼女と色んな話をする。
部活の話、勉強の話、先生への文句、最近の悩み、試合の反省、美味しいラーメン屋の話、飼っている猫の話、次の試合の話、推しの話、来週行くライブの話。他愛もない話から重めのガチ相談まで。
なんでも。
2人とも疲れているので口数は多くないし、時間も短いけど、2人で話して笑い合うこの時間が、私は大好き。本当になんでもかんでも話してきた。
でも、最近の悩みでずっと言えてないのが、1個だけ。
***
今日も彼女と座る。
いつも通りの居心地よい椅子。
「降りたくないなあ」
いつも心から出る言葉。
理由は、「疲れたから」
それもある。それもあるんだけど、
でも、もし、
「私があなたに恋をしていて、一緒にいたいから。」
なんていう本心を話したら。
あなたはどんな顔をするかなあ。
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