一手詰の限界に挑む!

みなさんこんにちは、心太です!

さて、私はこの前まで受験生だったわけですが、性格上どうしても勉強する気が起きないことが多々ありました。スマホや盤駒、漫画といったものを封印していた当時の私にとって、そんな時の唯一の楽しみは脳内で詰将棋を考えることでした。その中でも特に時間をかけて考えていたのが、「一手詰で飛車、角、(香)、歩の不成は可能だろうか?」という問題です。

無理だろ、と思った方は鋭いです。そもそも不成をする目的は基本的には打ち歩回避しかありませんが、そうすると
攻め方が不成→無事に歩が打てる→不成の効果で玉方は逃げられる→とどめ
という流れになり、最低でも5手は必要になってしまいます。3手でも無理そうなのに1手などもってのほかです。

しかし、諦めるのはまだ早いです。まだ手段は残されています。
それが「逆打ち歩詰」と呼ばれるものです。
下図を見てください。(玉方は歩しか持ってないものとします)


攻め方が4三歩成とすると、4四歩合、同と
と進んで詰みません。しかし、4三歩不成!とするとどうでしょうか。今度は4四歩合が打ち歩詰となり打てません。つまり、「自玉の打ち歩詰を誘致し、相手の歩合いを牽制する」という目的で不成が成立します。しかも、これなら一手詰でも使えそうな気がします!

ところが、一つ問題があります。それは単純に、4三歩不成とした瞬間に、3四角、と根本の飛車を外されてしまうことです。

こうなると当然詰みません。そしてこの問題は、逆打ち歩詰の原理から考えて、基本的に避けることができません。
過去の作品は図のように飛車を連結させたりして対処しています。

これなら根本を外されても大丈夫というわけです。
ですが、これは使えません。
なぜなら今作りたいのは一手詰だからです。玉方に一手でも凌がれた瞬間、詰む詰まないに関係なく、作品として失敗になってしまうのです。
だんだん難しさが伝わってきたのではないかと思います。
結局、玉方の2三角をなんらかの方法で動けなくするしかないわけですが、相手の玉との位置関係から考えてこれは不可能です。
他の配置の組み合わせもいくつかありますが、結局同じような問題を解決できません。

こんな感じでまあ厳しいか、といったところなのですが、私はまだ勉強する気にはなれなかったのでもう少し考えました。そして、「逆打ち歩ステイルメイト」という意味の分からない発想に辿り着きました。
ステイルメイトとは、王手はかかっていないけど指せる手がない状態、すなわち下図のような状態のことです。


このステイルメイトは、将棋ではあまりちゃんと定義されていません。(全駒でもしない限りこうはならないから。)
このステイルメイトを強引に詰みとみなして私が作ったのが下の作品です。

攻め方は6八角不成!とします。玉方は7七歩合とするしかありませんが、なんとそこで攻め方の指す手がありません。

打ち歩詰め!?


つまり、7七歩は打ち歩詰と考えることができます!
6八角成としていると、7七歩合に6七馬という手が存在するところでした。
このような論理で6八角不成までの一手詰となります!
やったあ( ´∀`)

最後に、何人かの方にご指摘いただきましたが、やはり残念ながら7七歩合は打ち歩詰にならないのではないか、ということです。
私自身、7七歩合が打ち歩詰だと主張する気は全くありません。この作品を見た人に少しでも面白いと感じてもらえれば、それだけで私は満足です!
ここまで一手詰について、不成という観点から書いてきましたが、結構複雑なところもあり、一手詰めといっても奥が深いと思っていただけたのではないかと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。また次の記事で!


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