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母親の所有物

母親の所有物。本当にちいさなその町でわたしは出来る子だった。作文や書道、絵画で賞をとり水泳ではが学校代表。同級生だけでなく近所の大人も可愛がってくれた。
母にとってわたしは出来て当たり前。でも私は水面下で一生懸命脚をばたつかせながらも涼し気な顔をしていた。 
わたしが高熱をだしても「あの子は放って置いても大丈夫」などと近所の人に話していた。
それから何十年。この人に付き合っていたら自分を保てないと距離をとったり、息子に「あんたは愛されてるんだから出来て当たり前」と言われた時には絶縁状態がつづいた。
あの人から突然LINEがきた。わたしが入院したのに電話にもでないとは何ごとだ。わたしには兄もそのお嫁さんもいる。なぜ、そちらに頼らないの?私の主人の母がリハビリ中に転倒しうちで同居する予定だったのだかお医者様のすすめもあり施設に入居することになった。
私の家から1時間半かけて御義母さんに毎日のように会いに行く。せめてもの罪ほろぼし。
ようやく夕方に帰宅し夕飯の支度。
そこに連絡がはいる。母親から「顔をみせろ」
仕方なく訪問すると長い長い買い物リスト。そして以前は「あんたは他人」子どもを産んだ時は「誰の子かわかったもんじゃない」といっていたお義母も柔らかくなった。実の親よりマシ。そのくせ母はあなたの味方はわたしだけお義母さん図々しいわねとわかった様な口をたたく。
へとへとながらも頼まれた買物をし御米などおもたいものはジップロックに2合にわけ両手に抱えてとどける。
ありがとうもなしに「あんた早く帰ってごはん作らないと」「わたしはわがままや人に迷惑をかけるのが苦手」と力説する。
わたしはこころを殺す。何度も何度もこころを刃物で刺す。何も感じないように。それは子どもの頃からの癖。
いつまで正気をたもてるか。
でも守るべきものが出来たいまお前になど負けはしない。


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