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私はヒロインの友達枠

"私、、ずっと友也君のことが好きでした"

"嬉しい…俺も同じ気持ちだよ"

"じゃあ、、"

"ずっと久保さんのことが好きでした、俺と付き合ってください"

"うん!"

抱き合う二人、今ここに一組のカップルが誕生した

この二人が結ばれるまでにはまぁ色々ありまして…

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"なぁ久保さんと好きな人いるとかいう話する?"

"さぁ、自分で聞いてみたら"

"えぇ、それができないから頼みたいんだけど…"

とか

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"乃木君が私のこと好きなわけないよ"

"なんで?"

"だって私なんて…"

とか

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"乃木君なんかもう知らない!"

"はぁ?なんなんだよ急に"

"後はそっちで楽しくどうぞ"

"ちょ、ちょっと待ってよ"

とか

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お互い好きだからこその悩みとかね、相談されたなぁ

でも本当にお似合いの二人だと思う

久保史緒里、私の親友、綺麗な顔立ち、黒髪ストレート、気品溢れる所作、まさに物語のヒロインって感じ

でたった今彼氏になったのが乃木友也、私のクラスメイト

サッカー部所属の爽やかイケメン、明るい性格でクラスでも中心的人物、まぁモテる

誰もが祝福する美男美女カップルがここに誕生したわけだ




ん?さっきから話してるお前は誰だって?

私は梅澤美波、最近高校三年生になった、以上

え?短いって?

別にいいんだよ私のことなんて、ほらあっちの美男美女の方が絵になるし、物語もたくさんできるよ

私はほら、漫画でよく見るでしょ

ヒロインの友達枠って感じ

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二人が結ばれた数日後…

私が下駄箱で上履きに履き替えていると

久)梅おはよ!

私の親友で物語のヒロインが登場

梅)おはよう、幸せが全身から溢れ出てるよ

久)え、そ、そう?///

梅)うん、幸せですって顔に書いてある

久)え!?

自分の顔を確認するヒロイン

梅)本当に書いてある訳ないでしょ、幸せすぎて頭お花畑になっちゃった?

久)ちょっと酷いよ〜

教室に入ると

乃)梅澤、おはよ👋

梅)おはよう

爽やかイケメン、乃木友也登場

乃)渡したいものがあってさ、はいこれ

梅)これは…

乃)これ梅澤が好きなお菓子だろ

梅)そうだけど、、なんで?

乃)梅澤ならもう知ってると思うけど、久保さんと付き合えたんだよ

梅)うん

乃)まぁそれのお礼、色々相談のってくれたしさ

梅)そういうことね、別にいいのに

乃)いやいや、梅澤の力なしでは付き合えてなかったかもしれないし

梅)そんなことない、二人が頑張ったんだよ

乃)そうかな、でもありがとな

梅)これは貰っとくけど今後はあんまりやめときなよ

乃)なんで?

梅)あの子意外と嫉妬深いから、女子になんか渡してる場面見られたら大変だよ

乃)はは、覚えとくよ

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昼休み、付き合いたてのカップルと共に弁当を食べる

梅)ねぇ、私いて大丈夫?

乃)全然大丈夫だよ

久)なんでそんなこと聞くの?

梅)いや二人で食べなくていいのかなぁって

久)付き合い始めたからっていきなりそんなことしないよ

梅)でもご飯食べる時とかはさ二人きりとかに

乃)久保さんがこう言ってるんだしいいんだよ

梅)まぁ…そういうことなら

久)あ、そうだ!

乃)どうしたの?

久)梅に聞きたいことがあったの

梅)私?

久)そう、梅はさ今好きな人とかいないの?

梅)いない

久)えぇ、ほんとに?

梅)ほんとだよ、なんでいきなりそんなこと聞くの?

久)ほら、梅には私たちの恋を手助けしてもらったし、梅にもそういう人がいるなら私たち協力したいなぁって

私の前でうなづきあう二人

梅)ありがとう、でも本当に今はそういう人いないから

久)そっか〜

少し残念そうな史緒里

史緒里の気持ちはありがたいが今は本当に気になる人はいない

そもそも、私には恋なんて似合わないし

自分が一番わかってる

クラスの男子からも、番長とか軍曹とか呼ばれてるし、どう頑張っても頼れる女友達ポジションが私の限界だ

私はこの目の前のカップルをこれからも支えていく良い友達、そう、ヒロインの友達枠がお似合いなのだ

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放課後

久)本当にいいの?

梅)いいのいいの、私のせいで二人の時間奪うのもあれだしさ

久)じゃあ明日は一緒に帰ろうね

梅)わかった

久)絶対だよ

梅)はいはい、ほら彼氏待ってるから早く行っといで

久)うん、じゃあまた明日ね👋

梅)また明日〜👋

ああいう史緒里の気配りできるところは本当にいいところだと思う

梅)さて、帰りますか

駐輪場で立ち話をしている生徒を横目に正門に向かう

新一年生達の楽しそうな会話が聞こえてくる

"じゃあさ、今度の休み一緒に遊ばない?"

"うん!、遊びたい!"

"ねぇ、入る部活とかもう決めた?"

"いや、まだ悩んでるんだよね、、"

私にもあんな時あったなぁ、そんなことを思いながら横を通り抜け…

"あ、あの!"

声をかけられた気がしたので後ろを見てみると

新入生らしき男子が私に向かってきていた

梅)えっと…私?

見覚えのない人に声をかけられ何事かと思っていると

"梅ちゃ、、じゃなくて、、梅澤先輩!"

梅)あれ、なんで名前…

"好きです!僕と付き合ってください!"







 

梅)……ほぇ?

私はヒロインの友達枠がお似合い

私の物語なんて始まるわけ…


ない?

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