隣の四姉妹16
ある日の田村家
奈)真佑ちゃん、お昼なーに?
真)今日はそうめんだよ
奈)おぉ、いいね〜
遥)もうすっかりそうめんの季節だね
美)もう暑くなってきたからね
真)だねー、もうできるから準備お願い
"はーい"
準備を済ませ、4人で食卓を囲う
真)それでは、
"いただきまーす!"
奈)んー、うまっ!
美)美味しい
真)良かったぁ
遥)真佑姉ちゃんのご飯はいつも美味しいね
真)ふふ、嬉しい、ありがと☺️
その後も四人でそうめんを啜りながら話していた
真)そういえばそろそろ体育祭だね
奈)確かに、はるちゃんと美佑ちゃんは高校では初だね
遥)そうだね
真)中学みたいに美佑がリレーで無双したりして
美)陸上部の先輩とかもいるしそうはいかないよ
奈)とか言って、無双してるのが想像できる
真)そういう奈於はまた去年みたいなことしないでよ〜
遥)去年みたいなこと?
真)奈於がさ、玉入れで玉思いっきりなげたら奇跡的に相手チームのカゴに入ったの、もうめっちゃ笑ったんだから
奈)やめてよ〜、あぁ、忌まわしい記憶が、、
その後も体育祭の思い出に花を咲かせていると
美)あ、あれ思い出した
奈)なに?
美)中2の時の、遥香姉ちゃんの激走
真)あぁ、あったね〜
遥)あぁ、あれかぁ
美)あれすごかったよね
遥)恥ずかしいなぁ、、
そう言いながら私は当時を思い出していた
ーーーーーーーーーーーーーーー
中学2年生の体育祭
残す競技は学年別の対抗リレーのみ
私は応援席で友達と競技開始を待っていた
"楽しみだね対抗リレー"
遥)だねー
するとそこに先生が
"あ、いた!、田村!"
遥)ん?私ですか?
"そうそう"
遥)どうしたんですか?
"急で申し訳ないんだけど今から走れるか?"
遥)え?
"白組の代表の子がさっきの競技で怪我しちゃって、今一人足りない状態なんだよ"
遥)それで私?
"あぁ、田村リレー代表の最終候補まで残ってたろ"
遥)そうですけど、、
"だから頼む、走ってくれ🙏"
遥)そ、そんな急に
"すごいじゃん遥香ちゃん!"
"代表頑張って!"
近くにいた友達がキラキラした目で私を見つめる
遥)う、うん、、
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
結局みんなに期待の目で見られた私は
"遥香ちゃん頑張ろ!"
"アンカー頼んだよ!"
遥)うん、が、頑張る
断る事ができずリレーの代表に、しかも怪我で抜けてしまった子のポジションそのままにアンカーの第六走者に任命されてしまった
"それでは第一走者はスタートラインに"
刻々と競技の開始が近づいてくる
?)あれ?遥香姉ちゃん?
遥)あ、美佑
美)お姉ちゃんリレーの代表だったっけ?
遥)白組の子が怪我しちゃったみたいでその代理で
美)あぁ、そうだったんだ、お互い頑張ろ!😊
遥)うん
"位置について、よーい"
パン!
第一走者がスタート
その後、第二走者、第三走者とバトンがつながる
遥)(せめて接戦では回ってこないで、、🙏)
そんなことを思いながら戦況を見守っていると
"あっ"
赤組のバトンパスでミスがあり、第四走者で大きな差がついた
バトンを落とした子には申し訳ないけれど内心少しホッとした
遥)(この差なら私でも逃げ切れそう)
私たち白組が大きなリードを保ち先に第五走者へバトンが渡る
流石にこの距離なら、、
赤組の第五走者は美佑
ま、まさかね、、
"はぁ、はぁ、美佑ちゃんお願い!"
美)任せて
バトンを受け取った美佑は凄まじいスピードで駆け上がっていった
私たち白組の子との差はどんどんと縮まっていく
"いけー美佑ちゃん!"
"やべぇ速いよあの子"
遥)は、速すぎるでしょ、、
そして遂に私の番
"遥香ちゃん!"
第五走者の子からバトンを受け取り走り出す
赤組も美佑の走りにより差を詰めてほぼ同時にバトンパス
"おぉアンカー勝負だ!"
"白組がんばれ!"
"赤組いけー!"
わずかに早くバトンパスした私、白組が先行する
しかしすぐ後ろに赤組のアンカーがついて来ている
心臓がバクバクだ
ここで私が抜かれたら、ここまで繋いでくれたみんなに申し訳ない
抜かれるわけにはいかない
私はがむしゃらに走った
応援席のみんなが何か言ってる
でもよく聞こえない
ただ今は走るのに精一杯で
最後のカーブに差し掛かる
まだ抜かれずに済んでいる
このまま、このまま
横に赤組の子が並んでくるのが視界の端に映る
遥)(やばいやばいやばい)
ゴールテープはもう目の前
私は最後の力を振り絞り
ゴールテープを切った
遥)いでっ
"最後は滑り込みながら白組が先にゴール!対抗リレー2年生の部は白組の勝利です!"
"やったぁ!遥香ちゃん!"
"ありがとう遥香ちゃん!"
遥)あ、ありがとう
リレーメンバーのみんなが私を囲み歓喜の輪ができる
"あ、はるちゃん膝が、、"
遥)あっ
自分の膝から血が出ていることに気づく
"救護の人呼んでくる!"
友達がすぐに救護の人を呼んできてくれた
◯)はーい、救護班です
遥)◯◯君!?
◯)おぉ遥香、派手に転んだな、大丈夫か?
そう言いながら応急処置をする◯◯君
遥)な、なんで?
◯)俺保健委員だから、今の時間はちょうど救護班の当番なの、これでよし
遥)あ、ありがとう
◯)まだ痛む?
遥)少し、、
◯)そっか、じゃあ保健室行こ、はい
私の前に背中を向けて屈む◯◯君
遥)え、
◯)おんぶしてくから、ほら
遥)う、うん
◯◯君の背中に身を預ける
◯)よいしょ、じゃあ行くぞ
遥)うん///
この時は周りから注目を集めててすごく恥ずかしかった、それと同時にすごく嬉しかったのを覚えてる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
"ちゃん、、姉ちゃん!"
遥)ほぇ?
美)どうしたのボーッとして、そうめんのびちゃうよ
遥)あぁ、そうだった
奈)なにか考え事?
遥)ううん、ちょっと昔のこと思い出してただけ
真)ずいぶん幸せそうだったけど、どんな思い出?😏
遥)それは、秘密で、、
真)えぇ〜、教えてよぉ
遥)いいからいいから、そうめんのびちゃうよ
真)ちぇ〜
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