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あの日から君を

"ねぇ、◯◯君はさ、私のことどう思ってた?"

"え…、どうって……  友達…とか"

"そっか"

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"おい、、、◯!、、◯◯!"

◯)は、はい!

"なにボーッとしてるんだ!今お前がしたミスの話をしてるんだぞ!"

◯)すみません🙇‍♂️

"全く…、じゃあもう一度最初から言うぞ、、まずここが…"

俺の名前は◯◯、入社2年目、ごくごく普通の平社員

"大丈夫か◯◯、珍しく怒られてたな"

近くの席の同期が心配して来てくれたようだ

◯)大丈夫だよ、元々は自分のミスだし

大学を卒業して2年、仕事漬けの毎日

起床、満員電車に揺られ出社、ほとんどパターン化した仕事、残業、帰宅、就寝

起床、満員電車に揺られ出社、ほとんどパターン化した仕事、残業、帰宅、就寝

その繰り返し、だが特別何か不満があるわけでもない、うまく言い表せない感情を抱えながら日々を過ごしていた

ただ、刺激が欲しい、とか言うのが正しいか

そんなある日のことだった

ピロン

昼休憩の時間、携帯の通知が鳴る

📱:久しぶり!元気?いきなりなんだけど今週の日曜の夜って空いてる?

メッセージの送り主は友也、高校時代のクラスメイトだ
昼食を共にしたりと結構仲が良かった

📱:お久しぶり、元気だよ、日曜の夜は今のとこ平気そう

📱:おぉ!じゃあ空けといてくれ🙏、高校のメンツ集めて飯でもどうかなと思ってさ!

📱:いいね、ちなみに誰がくる予定なの?

📱:まだこれからみんな誘ってみる!

高校時代の友人との食事、繰り返しの毎日に退屈していた俺にとってはこれくらいの出来事でも十分嬉しかった

"まだこれからみんな誘ってみる!"

最後に送信された友也からの文面を見ながらあの頃のことを思い出す

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友)おい◯◯、チャイム鳴ったら全速力で購買行くぞ

◯)いや、弁当持って来てるって言ったじゃん

友)頼むよぉ、どうしてもあのカレーパン食べてみたいんだよ、毎回売り切れでさぁ

◯)なんとか頑張れよ

友)二人で行った方が買える確率増えるだろ

◯)同じクラスの人間じゃ意味ない気が…

"そこの二人!何こそこそ話してんだ!"

◯・友)す、すみません…

?)クスクス🤭、◯◯君怒られた〜笑

◯)違うよ、今のは友也が

友)お前の声がでかいからだろ

"そこ、まだ話したいか?"

◯・友)すみません…

?)クスクス🤭

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◯)すみません、お先に失礼します

"おう、お疲れ様"

金曜日、仕事を終えて帰宅、今日の帰り道はどこか足が軽かった

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土曜日、友也から連絡があった

📱:ここのお店予約した、18時集合で!

📱:了解🫡

"誰が来るか決まった?"

送ろうとしたメッセージは少し悩んで消した

これではまるでお目当ての人がいるみたいだ

どうせ友也に揶揄われるに決まってる

期待しすぎると叶わなかった時に心がもたない

だから思わないでいたほうがいい

あの子は来るのかななんて…

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日曜日、指定された店へ到着すると6年前に毎日のように見ていた顔が揃っていた

"おぉ!◯◯じゃん!"

"◯◯君久しぶり、覚えてるかな?"

"あぁ◯◯か!"

◯)みんな久しぶりだね

懐かしい顔と挨拶を交わしながらあの子の姿を探すが見当たらない

◯)来てないか…

だから言ったんだよ、、期待するなって…

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友)それじゃあ、今日は急な誘いだったのに集まってくれてありがとう、かんぱーい!

"かんぱーい!".

幹事の友也が音頭をとりプチ同窓会がスタートした

◯)すみませーん、注文いいですか

この日はいつもよりお酒のペースは早かった、理由は…言わなくてもわかるか、、

友)おぉ、飲みますねぇ◯◯さん😁

◯)いいだろ別に…

友)ダメなんて言ってないよ、ただ何人か仕事で遅れて来るらしいから今潰れたらそいつらに会えないぞ

◯)…そうか

それを先に言えよ、その言葉はギリギリのところで止めた

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その後、酒のペースを落とし遅れて来る人達を待った

"遅れました〜"

"おぉ!△△じゃん!"

"ごめん、遅くなりました"

"あぁ!久しぶり〜👋"

一人、また一人と仕事終わりの者が合流する

しかし、待てど待てどもあの子は来なかった

◯)なんだよ友也の奴、期待させやがって…

友也に八つ当たりしながら再び酒のペースをあげた

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◯)んん、、あれ、、

目を覚ますと自分のすぐ周りで行われていた会話が全く聞こえないことに気づいた

◯)やっべ

まだはっきりとしない意識の中で周りを見渡すと

◯)あっ

自分の正面に人影を確認する

友也が残ってくれていたのか、

◯)友也…

?)クスクス🤭、友也じゃないし笑

◯)えっ、、

予想外の答えに意識をしっかり保ちもう一度よく見ると




待ち焦がれた人が目の前にいた

◯)なんで、、

?)久しぶりだね☺️

◯)お、お久しぶり、、

?)私のこと覚えてる?

◯)覚えてるよ、、れ、、蓮加だろ

蓮)せいかーい!👏

岩本蓮加、俺の高校のクラスメイトで、密かに想いを寄せていた人物だ

クラスの人気者、俺からしたら高嶺の花、席が隣になったことで仲良くなりよく話すようになった

告白なんて無謀なことも考えたが、話せているこの関係を崩したくなくてそれ以上の進展はなし

それでも俺は満足してた

そんな人と突如として訪れた二人きりの時間に俺の頭の中は真っ白になった

◯)え、えっとどうして…

"すみませんお客様、、"

話出そうとした時、店員さんに声をかけられた

なんとも間が悪いが仕方がない、、

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夜の街を二人並んで歩く

蓮)◯◯って今どこらへん住んでるの?

◯)ここから40分くらいの××ってところ

蓮)ふーん

ちゃんと会話できているだろうか

隣に君が歩いているだけで心臓がうるさい

可愛いと綺麗を兼ね備えた容姿は高校の頃からさらに磨きがかかった気がする

君の横顔に見惚れていると時間があっという間に過ぎていく気がした

程なくして駅に到着

蓮)またみんなで集まれるといいね

◯)うん、そうだね

ホームの椅子に並んで座り電車が来るのを待つ

◯)あ、そういえば友也とかって帰ったの?

蓮)あぁ、二軒目行くって言ってたな

◯)あ、そうだったんだ、てっきり帰ったのかと

蓮)ちょうどみんなが二軒目行こうとしてるところに私が合流してね、んで酔い潰れて置いてかれそうになってる◯◯が見えて残ってあげたわけ

◯)なんか、、ごめん

蓮)いいのいいの、私も◯◯と二人が良かったし…

◯)え?なんて?

蓮)なんでもない!😁

"間も無く2番ホームに電車が参ります"

蓮)あ、電車来るね

彼女が腰を上げ少し前に歩いていく

蓮)ねぇ◯◯

◯)ん?

蓮)卒業式の時、私が聞いたこと覚えてる?

◯)聞いたこと?

蓮)うん、私のことどう思ってるかって

◯)あぁ…

蓮)それで◯◯は友達って言ったの

◯)…覚えてるよ

ホームに電車が入って来て彼女の髪を風に靡かせる

蓮)じゃあ逆に、、私は◯◯のことをどう思ってたでしょうか?

◯)えっ

電車のドアが開き乗客がホームに降りて来る

蓮)わからない?

◯)…うん

ホームの人の波を掻き分け彼女が自分の目の前まで来る

蓮)ずっとね、、好きでした

◯)えっ、、

蓮)今日はそれだけ言いたかったの、じゃあね!

"間も無くドアが閉まります、駆け込み乗車はおやめください"

発車のベルがなる

その瞬間、彼女は踵を返し電車に飛び乗った

彼女を乗せた電車が遠く離れていくのをずっと見ていた

◯)俺も、、、、

今度こそちゃんと彼女に伝えにいこう

それを叶えられたら、退屈な毎日が色付く気がした。

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