見出し画像

また、ね

"なぁなぁ◯◯"

話しかけてくる友達、友喜

◯)なに?

"正直山下さんとはどうなの?"

◯)どうって?

"付き合ってんの?"

◯)付き合ってないよ

"えぇ!まじかよ〜"

◯)なんでだよ

"だってさ、二人めっちゃお似合いに見えるからさ"

◯)そう?ただの幼馴染だよ

?)◯◯〜!

"あ、噂をすれば"

◯)どしたの美月

山)今日って数学ある?

◯)あるよ

山)何限目?

◯)3

山)じゃあ3限目終わったら貸してくれない?教科書家に忘れちゃって

◯)わかった、終わったら持ってくわ

山)まーじありがと!🙏、じゃあまた後で!

◯)はいよ〜👋

"…ほらな、お似合いだよ"

◯)ふーん

"なんで興味ねぇんだよ!山下さんて言ったらこの高校の全男子生徒の憧れだぞ!"

◯)だって美月とはちっちゃい頃から一緒だし、今更そんな感情も湧かないっていうか

"だとしてもだなぁ…、じゃあもし山下さんに彼氏ができたとしたらどう思う?"

◯)どう思うって言われても…

キーンコーンカーンコーン

"あ、チャイムだ、じゃあな👋"

◯)お、おう👋

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

放課後

"なぁ◯◯、今日この後予定ある?"

◯)別にないけど

"じゃあさこの後カラオケでも行かね?"

◯)あぁ、いいね

ガラガラ

山)◯◯〜帰ろ〜

◯)あぁごめん、今日は

"おっと、じゃあまた明日な◯◯👋"

◯)は?

"いいからいいから、また今度な"

そう言って友喜は帰って行った

◯)なんだあいつ

山)んー?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

山)でさぁ、それで史緒里泣いちゃって

◯)そりゃ大変だ

山)でしょー?、泣き止むのに結構かかっちゃって…

美月と共に帰り道を歩く

まぁたまにあることだ

1週間に3、4回美月からお誘いが来る

その日に友達と用がなければ一緒に帰る感じだ

山)あ、今日お母さんに買い物頼まれてるんだった

◯)そうなんか

山)うん、えっと確かメモをこの辺に

バックの中を漁る美月

山)あったあった、ってあれ?

◯)どした?

山)ねぇここなんて書いてあると思う?

◯)どれ?

山)ここの、、牛乳これ2本?3本?

◯)これは…2じゃないか、お前走り書きすぎな

山)おぉ、2かぁ、さすが◯◯

◯)そんなんで買い物大丈夫か?

山)ま、まぁ大丈夫だよ

◯)…しょうがねぇ、ついて行くよ

山)いいの?✨

◯)一人で行かせても変なの買いそうだし

山)そんなことないし〜笑、じゃあ行こ😁

帰路を外れスーパーへの道を進む

その間もくだらない会話を続けていた

これも俺らのいつも通りだ

その傍ら、俺は朝にした友人との会話を思い出していた

"二人めっちゃお似合いに見えるからさ"

お似合いか…

ふと横目で美月の横顔を眺める

"山下さんて言ったらこの高校の全男子生徒の憧れだぞ!"

確かに美月は可愛いと思う、とても綺麗な顔立ちをしている

"じゃあもし山下さんに彼氏ができたとしたらどう思う?"

美月に彼氏ができたら…俺は…

山)ん?どしたの?

美月がこちらに顔を向ける

◯)い、いやっ、別になんでもない、、

山)あ、もしかして見惚れてた?

◯)はぁ!?

山)わかるよ、よーくわかる、私可愛いもんね、うんうん

◯)勝手に話進めんじゃねぇよ、誰がお前なんか

山)あぁ、ひど〜い、私泣いちゃうよ、私が泣いたの知ったら学校の男子全員が◯◯のこと集団でボコボコにしにきちゃうかも

◯)本当にありえそうだからやめてくれ

山)じゃあ私可愛い?

◯)可愛い可愛い

山)感情こもってなーい

その後無事に買い物を終えてそれぞれの家へと帰宅した

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

◯)ごちそうさま

夕食を終え部屋で一休みしていると

コンコン

部屋の窓を叩く音が

ガラガラ

山)やっほー👋

◯)おっす👋

俺と美月はお隣さん同士、それぞれの部屋は手が届くほどの距離だ

◯)なんか用?

山)別に、◯◯何してるかなぁと思って

◯)そっか

山)で、何してた?

◯)漫画読んでた

山)あ、まさかあれ?

◯)あれ

山)最新刊出たんだ

◯)そう

山)もう読んだ?

◯)あとこれくらい

山)じゃあ読み終わったら…やっぱいいや

◯)ん?もう読み終わるから貸すよ

山)あぁ…明日学校で借りるよ

◯)そう?じゃあそうする

山)うん…

◯)…

山)…

◯)…なぁ

山)ん?

◯)なんか、あった?

山)え、なんで?

◯)なんか、、元気ねぇし

山)そ、そうかなぁ?元気だよ私、ほら😁

◯)無理して笑ってんじゃん

山)別に無理してなんか

◯)わかるわ、何年幼馴染やってると思ってんの

山)…

◯)黙るってことは図星だろ

山)…

◯)俺が聞ける話だったら聞くけど?

山)…いや、、大丈夫、これは乙女の問題だから✋

◯)あっそ

山)ちょっとー!もうちょっと興味持ってよ〜

◯)だって乙女の問題なんだろ、俺じゃ無理だよ

山)乙女のこと知ろうとしろ!そんなんじゃ一生彼女できないぞ!

◯)余計なお世話です〜

山)もう…

◯)…

山)…

◯)ん?やっぱり話聞くか?

山)いや…話変わるんだけどさ、、

◯)うん

山)◯◯はさ、、私のこと…

急に声がか細くなる美月
 
◯)え?なに?

山)いや、やっぱりなんでもない!

◯)そう?まぁ話したくなったらいつでもどうぞ

山)うん、ありがとね☺️

◯)お、おう、やけに素直だな

山)ふふ、そういう気分なの

◯)そう…

山)ねぇ◯◯

◯)ん?

山)ありがとうね

◯)は?

山)◯◯はさ、なんだかんだ私に付き合ってくれるよね

◯)まぁ小さい頃からずーっと一緒だし、離れたくても離れられないって感じ

山)はは、確かにそうかも…でも私にとってはそれがすごく嬉しいていうか安心するっていうか

◯)な、なんだよ、お前今日変だぞ

山)たまにはいいでしょ、素直な私も☺️

◯)お、おう、、😳

山)それじゃあそろそろ寝ますか!

◯)そうだな

各々寝る支度を進める

山)よし、準備オッケ、、◯◯!

◯)んー?

山)じゃあね👋😁

◯)おう、、また明日👋

お互いに手を振りそれぞれの部屋の窓を閉めた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

いつも通りの朝

跳ね上がった髪の毛を水で濡らし押さえつける

母親が作った朝食を食べ、、

◯)行ってきまーす

玄関のドアを開け外へ

ほぼ同じタイミングで隣の家のドアが、、、

同じタイミングで隣の家のドアが、、、

ドアが、、、

今日は開かなかった

◯)遅刻か…

いつもの朝の変化に少し寂しさを感じながら通学路を歩く

間も無く学校へ到着

大体この辺りで朝練終わりの友喜が合流する

友)おい◯◯!◯◯!

ほらね

でも今日はなんだが焦っている感じだ

友)おいほんとかよ!なぁ!

朝から肩を掴んで体を揺らさないで欲しいんだが

◯)何が

友)山下さんだよ!

◯)美月がどうしたの

友)転校したって!

◯)……は?

友)今日の朝練始まる前教室に荷物置きに行ったら隣のクラスのやつが話しててよ

◯)な、なんて

友)山下さん、昨日が最後の登校だったって

◯)は?何言ってんだよ、あいつはいつも通りで

友)あんまり公にしたくないって本人の意思で、クラス内だけで発表があったんだって

◯)俺にはなんにも

友)なんでも東京で芸能関係の仕事とかなんとか、まさか◯◯も知らなかったのか?っておい◯◯!

気づいたら走り出してた

登校してきた生徒が怪訝そうな顔で俺を見る

でも今はそんなの関係ない

なんで、、なんで!






 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

"今度の電車は2番ホームに参ります、特急△△行きです"

いつものホーム、でも今日は行き先が違う

私は今から遠くへ行く

休日のお出かけのような隣町のショッピングモールとは訳が違う

うんと遠くへ

私は一歩踏み出すんだ

子供の頃から憧れていた、アイドルになるために

不安がないと言ったら嘘になる

初めての都会、初めて会う大勢の人たち

知ってる人に囲まれた今の環境とは全く別の世界に

一人で挑んでいかなくてはならない

でも、それでも私は夢のためだったら頑張れる

大丈夫、私なら、きっと大丈夫

大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫

怖い

大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫

"美月!"

山)え、、、なんで…

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

学校から走ること5分、駅に到着し、美月の姿を発見した

◯)美月!

呼びかけに振り返る美月

山)え、、、なんで…

◯)なんではこっちだよ、何も言わないで…

山)だって…

◯)だって?

山)◯◯とは最後までいつも通りでいたかったから…

◯)美月…

山)塩らしくなるのが嫌だったの

◯)でも、これから会えなくなるんだろ、最後に挨拶くらいさ

山)そうだよね、、ごめんね

違う、こんなこと言いにきたんじゃない

違う、こんな風にお別れしたかったんじゃないの

◯)友喜から聞いた、芸能関係の仕事するって

山)うん、新しく発足するアイドルグループのオーディション受かったの

◯)そっか、すごいじゃん

山)うん、、

◯)…不安?

山)うん、、、

ずるい、◯◯はいつもこういうとこにすぐ気づく

私が必死に隠そうとしても

山)不安、、すごく不安、いきなり知らない人たちの中に一人で飛び込むことになるし

◯)うん

山)本当は誰かについてきてもらいたいくらい、隣でずっと手を握ってて欲しい、それに私弱いから、、すぐ逃げたくなっちゃうかもだし、、それから…

◯)美月、、

◯◯が私の肩に手を添えまっすぐこちらを見て言う

◯)美月は確かに昔から強がりで、本当は怖いくせに意地張って後で大泣きしたりしてたけど、、

山)…

◯)それでも決めたことにはまっすぐでただじゃ終わらないところは俺がよく知ってるから、だから大丈夫!

山)◯◯…

◯)それに、、み、美月は可愛いし…

山)え?

◯)きっと人気でるから、、、

山)ふふっ、ありがと😁

◯)うん…

"まもなく2番ホームに電車が参ります"

山)じゃあ、いくね

◯)うん

電車がホームに入ってくる

美月は背を向けて歩き出す

まだ伝えなきゃいけないこと…

◯)美月!

ゆっくりと振り返る美月

◯)俺さずっと強がってて言えなかったことがあるんだ
俺、本当はずっと前から美月のこと、、

山)待って

◯)えっ、、

山)それは言わないで…決意が揺らいじゃうから

◯)…うん、、

山)また、、いつか聞かせて

◯)うん、待ってる

山)ありがと☺️

"2番線電車が発車します"

電車に乗り込む美月

山)◯◯、また、ね

◯)うん、、また

美月を乗せた電車は走り去っていった

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




"おい、、、おい◯◯!"

◯)んー?なんだよ友喜

"いつまで寝てんだよ、次移動教室だぞ"

◯)あぁ、そうだった

移動中、横目で隣のクラスの教室を覗く

君がいたはずの席はもうそこにはない

寂しいよ、正直言って辛い

でも、、約束したもんな、美月

また、ね

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?