マドンナ

私の名前は山下美月

"山下さん、おはよ！"

山）おはよう☺️

"山下さん、おはようございます！"

山）うん、おはよう😊

"はぁ、幸せだぁ"

"朝から山下さん拝めるとか最高かよ！"

朝、登校中、いつもの風景

見ての通り私はモテる

それはもう

モテる

私と挨拶を交わしただけで男子達は幸せそうな顔をする
私は可愛いから周りからも優しくされる

だから私の毎日は充実している
悩みなんてこれっぽっちもない

訳ないでしょ

四六時中男子達からの視線を感じ、女子からも憧れの眼差しを向けられる

休む暇もない、みんなの憧れの山下美月、その理想を壊してはいけない

それだけで毎日疲れてしょうがない

私はそんな完璧な人間ではないのに

"さすが山下さん！本当になんでもできるんだ"

"本当に完璧美少女だよな"

周りの期待の声に応えないと、がっかりさせちゃいけない

苦しい、息が苦しい、私は、私なのに、

私は、私は、私は私は私は私は私は





"いいじゃん、できなくたって"

山）…え？

"そんな完璧な人間なんていたら気持ち悪いでしょ"

山）な、何を言ってるの？

"ありのままで生きる努力しないと、いつか爆発しちゃうよ"

そんな私を救った親友、梅澤美波

出会いはちょうど一年前

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"これで授業を終わります、来週からはソフトボールをやるからね"

体育の授業終わり先生がそう言った

山）ソフトボール…練習しないと、、

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私は家に帰り、倉庫からボールを取り出して公園に向かった

公園の壁に向かって何度も何度もボールを投げ続けた

山）はぁ、はぁ、、まだまだ

投げるフォームも不細工、飛距離も全然

これじゃみんなにがっかりされる

私の完璧なイメージが、、、

梅）あれ、山下さん？

山）えっ、、

後ろから声をかけられた

そこにいたのはクラスメイトの梅澤さん

ま、まずい、、

梅）何してんの？

山）こ、これは、、、

梅）もしかして、体育の練習とか？

山）うっ、、そ、そう、、

梅）私も一緒にやってもいい？

山）え？

梅）私もソフトボールとかやったことなくてさ、ちょうどいいし

私から少し離れ

梅）へい、投げて〜

キャッチボールを要求する梅澤さん

どうする？

もう見られた？私の不細工なフォーム

ここで投げたら、、

梅）どうしたの？

いや、、もうどうにでもなれ！

山）いくよー、えい！

梅澤さんのだいぶ前で失速し何回かバウンドしてやっと届く

梅）いくよー、ほっ！

ボールを拾い上げこちらに投げる梅澤さん

山）わっ！

そのボールは綺麗な弧を描き私の元へ、しかし取り損ねてしまう

山）ご、ごめん！

梅）全然いいよ〜、はい次〜

その後もしばらくキャッチボールを続けた

梅）そろそろ終わろっか？

山）うん、、そうだね

梅）はい、ボール、じゃあまた明日👋

私にボールを返し帰ろうとする梅澤さん

山）ま、待って！

私はそれを制止した

梅）ん？

山）あ、あのさぁ、どう思った？

梅）何を？

山）私、、全然ダメじゃなかった？

梅）うん、まぁそうだね

山）イメージと違ってがっかりされた、よね？

梅）別に？いいじゃん、できなくたって

山）…え？でも私周りから完璧だと思われてるから…

梅）そんな完璧な人間なんていたら気持ち悪いでしょ

山）な、何を言ってるの？

梅）薄々感じてはいたけどさ、山下さんてずっと無理してるでしょ

山）そ、そんなことな

梅）ありのままで生きる努力しないと、いつか爆発しちゃうよ

山）…

何も言えなかった、、梅澤さんの言葉は私の全てを見透かしてるようだったから

梅）だからさ、これからできないことは、、

山）それは、みんなが…

梅）…じゃあこうしよ、これから私の前でだけは素でいること

山）え？

梅）他のみんなにはすぐには無理でも、私だけには素を見せてよ😊

心がすっと軽くなった気がした

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山）おっはよー！😆

梅）おはよう美月

山）見てこれ、昨日夜更かししてめっちゃレベル上がったの！

梅）うわすご

山）めちゃくちゃ強くなったから

梅に素の自分を見せれるようになってから私の毎日は前よりも輝いていた

でも理由はそれだけじゃなくて

山）ねぇ梅

梅）ん？

山）お願いがあるんだけど

梅）なに？

山）…君のLINEが欲しくて、、、

梅）え？なーに？笑

ニヤニヤしながら聞き返す美波

山）もう！聞こえてたでしょ！

梅）はっきり言わないとわかんなーい笑

山）もう！