カーソン・マッカラーズ

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カーソン・マッカラーズ
村上春樹訳
『心は孤独な狩人』


訳者村上春樹が翻訳のラスボス作品として取っておいただけあり、心の内面を繊細に描写する表現力と骨太な文体が混在する作品世界に圧倒された。

舞台は1930年代末、恐慌下のアメリカ南部。

貧困による生活苦に喘ぐ人々。
目を逸らしたくなるほどの人種差別。
幼児性愛傾向者。
同性愛傾向もしくは精神疾患のある聾唖の男。
貧困の環境から何とか抜け出したい少女。

恐らく、マッカラーズが心の奥に意識している社会的弱者の人々。

「精神の孤独は私の作家的なテーマ」
とカーソン・マッカラーズは言っていたそうだ。

こんなにも「孤独」を自分の身のうちに感じた物語は未だかつて無かった。

それは、細胞の一つ一つにまで刻み込まれ

いつしか魂の「孤独」を物語るに及ぶ。

章ごとに語り手が変わることによって、立体的にそれぞれの人物が抱える「孤独」を浮き立たせ、それらは混淆する。

魂の「孤独」を抱えた人々の物語のどこに出口や解決の糸口があるのだろう?それは最後まで全く提示されない。

あるのは、マッカラーズによる同調と共感だけだ。

「大丈夫!
オッケー!
そこには意味がある」

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