見出し画像

カーソン・マッカラーズ

📖
カーソン・マッカラーズ
村上春樹訳
『心は孤独な狩人』


訳者村上春樹が翻訳のラスボス作品として取っておいただけあり、心の内面を繊細に描写する表現力と骨太な文体が混在する筆力🖌️の作品に圧倒された。

舞台は1930年代末、恐慌下のアメリカ南部。

貧困による生活苦に喘ぐ人々。
目を逸らしたくなるほどの人種差別。
幼児性愛傾向者。
同性愛傾向もしくは精神疾患のある聾唖の男。
貧困の環境から何とか抜け出したい少女。

恐らく、マッカラーズが心の奥に意識している社会的弱者の人々。

「精神の孤独は私の作家的なテーマ」
とカーソン・マッカラーズは言っていたそうだ。

こんなにも「孤独」を自分の身のうちに感じた物語は未だかつて無かった。

それは、細胞の一つ一つにまで刻み込まれ

いつしか魂の「孤独」を物語るに及ぶ。

章ごとに語り手が変わることによって、立体的にそれぞれの人物が抱える「孤独」を浮き立たせ、それらは混淆する。

魂の「孤独」を抱えた人々の物語のどこに出口や解決の糸口があるのだろう?それは最後まで全く提示されない。

あるのは、マッカラーズによる同調と共感だけだ。

「大丈夫!
オッケー!
そこには意味がある」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?