柳家小三治さんのこと(2021.10.20)

私は4年ほど前、落語をYouTubeで聞くことが気に入って、いろいろ聞いていたのだが、
その時、好きでよく聞いていたのが、古今亭志ん朝さん、古今亭志ん生さん、そして柳家小三治さんであった。
生ではもう聞けない名人の落語を聞けるとは、なんて恵まれた世の中になったものだろうと、楽しませてもらった。
私が好きだったのは古典落語で、特に気に入っていたのは「井戸の茶碗」という演目である。
この演目の登場人物は皆、いい人で、サゲもいい。

私は当時、子どもの小学校で読み聞かせをしていたので、この落語の世界を子供たちにも楽しんでもらいたいと、
落語絵本を読むことにした。まず選んだのが「しにがみさん」である。
これを読み聞かせするのに柳家小三治さんの「死神」を聞き、読み聞かせの際には、小三治さんの小ネタを滑り込ませた。
そして肝心のサゲの箇所。読み聞かせのまま行くか迷ったが、やはりここは、しぐさオチでないと、
と小三治さんの真似をして演じてみたのである。お恥ずかしい話であるが、子どもたちには伝わったようで、安心した。

そのうちに柳家小三治さんが現役で活躍していることを知り、人間国宝の落語を聞いておかなくては!
と思い、なんとか機会を得て、聞きに行った。その時は77歳くらいであったと思うが、
びっくりしたのは、マクラで、当時の政権批判のようなことを堂々と話していたことであった。
小三治さんだからできるのだなと感心した覚えがある。

読み聞かせをした落語絵本は、もう一冊あって、それは「ねこのさら」。
こちらは、普通に読み聞かせをしたのだが、小学4年生にはサゲが難しかったのか、
サゲで爆笑したのは、担任ただ一人であった。

小三治さんの最後の高座は、「猫の皿」だったという。

小三治さん、素晴らしい落語の世界をありがとうございました。
ご冥福をお祈りいたします。

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