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先々週の日曜朝の、プロジェクトXの再放送
当時NHKだった久保純子アナウンサーの懐かしいナレーションではじまり、テーマは、家庭用ビデオの開発秘話

普段はみることすらなくなった媒体=家庭用ビデオデッキについてでしたが
SONYのベータと、ビクターのVHSという
音楽好きの家庭だった我が家では、どちらが好きかがよく話題になった構図も窺えたため、そのまま観ることにしました

苦労の末に、結実したノウハウを競合に配るという英断

プロジェクトXのシナリオは、みなさんご存知のとおり
苦労に苦労を重ねた末の 大成功
しかし、このビクターのVHSの会では
もう1つ衝撃のインシデントがありました

東大卒など一流エンジニアばかり多数を擁した当時の技術者の誰もが憧れるSONYが開発したベータを超える
素晴らしい製品だ、と親会社の松下会長に認められた時点で
松下電器の商流に乗せて、たくさん売れてハッピーエンドになるかとおもいきや
自社の販売力を受け止めて、日立製作所をはじめとしたSONY以外の競合に
ノウハウを解放することで
VHSが、家庭用ビデオの世界標準になった
というのが結論でした

市場は、商流をおさえてこそ掌握できること

あらたな水準は、業界全体でつくられること

いろんな深い洞察があってのことだったのだろうと思いを馳せつつ
どのようにしたら、そのような決断ができるのかと、心底驚きながら画面を食い入るように見つめておりました

競争は、同じて和せず

競争して、自社だけが利益をいち早く刈り取ろうということにばかり目を奪われていると、結局は、ほかの集合体と同じことをやっているにすぎないのかもしれません

ひょっとすると「そんなことやって、ビジネスになるの」
「今頃、そんなことやってるの!?いまは○○の時代だよ」
くらいに言われる方が
競争に入らずに、あらたな市場、魅力を再発見する独自の世界を開拓できていることを示す
わかりやすい記号なのかもしれません

競争に明け暮れざるを得ない立場にある人がほとんどの世の中で
ひとたび、その激流のなかに身を置けば、
競合に技術提供するなど考えも及ばないのだ、ということを自覚して

これこそが広めるべき、ユニークなサービスだとおもったときこそ
どのように他のプレイヤーとかかわるべきか
稀有なケースから学び、自らの実践や提案に活かしていきたいと思った次第です

市場をつくる、という姿勢

「競合って敵だって捉えている人も多いけれど、味方にしないと新しい市場はなかなかつくれないからね」

昔、営業組織に迎え入れてもらった際に
営業部長さんが教えてくれた言葉ですが
深い意味では、わたしはまだ何も分かっていないかもしれず

業界経験の深い先輩方とのコミュニケーションのなかで
実践と学びを深めていきたいとおもいます

ブルーオーシャン、レッドオーシャン
という概念だけでは、なかなか見えてこない
市場が活性化するときに核となる
情報発信と連携のカタチ

5年、10年先に振り返った時に
なにかを見出だせていたいなと、心に刻んだひと時でした

同、から「和」への3ステップ

未熟で、長年務めてきた業界の片隅から外れれば、誰にも知られていない私ですが
ユニークな価値を社会にお届けすることに心血を注いできた職業人生から
敢えて3つの提言
を最後に書かせていただきます

  1. 膠着した状態をみつける

  2. 打開する最小限のソリューションをつくる

  3. 仲間を増やす

1.膠着した状態

凡人が、「和」を目指すには
まずは、しょせん 同 なのだ
というところに立脚する必要はないでしょうか

”異なる”ものが引き立つような
新しさを待ち望んでいる舞台

そこに出会ったときに、私も”これこそ自分の職業人生をかけて挑むべき”と心に誓って進んで
そこから人に語れる実績を僅かながら作ってこれたようにおもいます

面白いのは
そのような膠着した状態を、軽やかに乗り越えて
非常に少数ながら、理想的な状況を実現している人が
かならず何人かいるということです

やや乱暴に申せば
その少数の天才たちの
局所的に”理想の状態”を実現できてしまう秘密を
最新の技術をうまく使って、だれでも再現可能にすること

そこに、同から、異 への
第一ステップがあるとおもいます

2.打開する最小限のソリューション(MVP)

Minimum Viable Product
このように作れば最低限の目的を達成できる作品1号

これを作ることを
多くのスタートアップは目指している(目指すべき)とおもいます
ものづくりであれ、サービスであれ

1.で申したような、天才の所業を
簡素に、再現性高く
パッケージにして、売り出すのです

Viableとは言い得て妙で
成り立つ

ここには2つ意味があり

  • 結果につながる

  • 求められて、存続する

製品化、サービス化、まで行けば
より多くの人に、
その価値が理解可能となります

3.仲間を増やす

このステージで
どこまで巻き込めるかで
事業のスケールが決まるといっても
過言ではないのだろうとおもいます

不思議なもので
事業のシーズ(種)には

やけに、あっさり開花してしまうものと

豊富な栄養と、手間暇がないと
花開かないものと

2種類あるような気がします

けっして、事業主自身が、手間がかかるものへ愛着が湧くからだけではなく
たくさんの仲間を必要とする難易度の高いプロジェクトは
より多くの人の時間と労力を吸い込み
膠着した状態を打開するオッズ(期待)を高めていきますので

いざ、収益化に至ったときには
「あれは、私たちの○○だ」
という存在に仕上がります

敢えて、難しくする必要はないですし
放っておいても、大抵の新規性の高いプロジェクトは、とっても難しいです

いま、ご自身の手中にある玉が、手元や身近な人の間では、特別な輝きを放ちつつも
広く世の中にはなかなか認められない場合

単純に、より多くのエネルギーが集約されるのを待っている状態だということは十分あり得ます

また、必ずしも1つのやり方で
すべての人に届くべきではない
というのが、新しい価値の世の中への受入られ方への典型でもあります

わたしにとっての○○は、こういう使い方をするものだ

オピニオンリーダーからのナラティブ

当社では○○を、~~のために使い、成果を得ている

ユースケースが発信する便益

つねに、社会に問い続ける
反響に耳を傾けるなかで
製品やサービスの存在意義をアップデートし
再定義された価値の意味合いを
バージョンアップして、共創をすすめる

増やすべき仲間は
人数だけではなく
人の数だけ異なる
価値の意味合いなのかもしれません

ノギ扁、の「和」

「和」という漢字をみつめると
のぎ扁、に
口(くち)
とあります

農耕により、人の生存にかかわる欲求をみたす

競争でなく、なにを活かすために働いているのか

凝縮すると
「和」
の本質は
誰にとどけたい、ものづくりやサービスなのか
ということに尽きるのかもしれません

皆さまのアイデアや想いが
たくさんの人々に届きますよう祈りつつ


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