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【インタビュー】コロナで変わった旅館の在り方~福井県あわら温泉~

2020年、新型コロナウイルス感染拡大により政府から緊急事態宣言が発令。旅館業界から客足は遠のき、経済的ダメージを受け、多くの宿泊施設が廃業や営業停止に追い込まれました。
※帝国データバンクでは倒産件数は70件、休廃業・解散は174件を確認
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p220113.html
 
終わりの見えない未知のウイルスと、どう向き合い乗り越えたのか。
今回は、福井県のあわら温泉旅館「美松」社長の前田健二さんに、お話をお伺いしました。

▲北陸福井あわら温泉「美松」社長の前田健二さん


・一番辛かった時期と、どのようなことが困難だったか教えてください。

コロナが始まった2020年3月、この頃は 5月のゴールデン中までに終わればいいよね、と考えていました。ところが、感染者がどんどん増えて、ゴールデンウイークどころか、一向に収まる気配がない。旅館は休館に追い込まれてしまい、従業員の給料をどうする、という問題がありました。

社員の給料は「雇用調整助成金」というものでとりあえず一部は賄えるけれど、売り上げがないとその他の経費分が出てこない。先行きが不透明で、いったいいつ終わるんだったらわからない……。本当に不安でした。

2020年11月、コロナが収まってきてGoToキャンペーンが始まり、少し明るい兆しが見えてきたんです。当館はスタッフが揃えきれなかったんですごく忙しい思いをしましたね。
しかし一番キツかったのは、年末に向けてコロナの感染者が増えた時です。取り消し(キャンセル)の仕事ばかりで、やっぱり私自身も辛かったし、スタッフも売り上げならない仕事は精神的にも疲弊していきます。みんなのモチベーションはすごく下がりましたね。

・転機とその困難をどうやって乗り越えたのか教えてください。

2021年6月に県民割が始まることになりました。当館も、休館を利用して時間があるときに研修をしようということで、休館を利用してスタッフ研修を頻繁に行いました。新しく県民割が始まるときに、いろんなことを試そうってスタッフのモチベーションも上がっていましたね。

・現在の姿や現状は?どのような変化がありましたか?

8割ぐらいまで戻ってきているのですが、8割戻ってるってことは2割減っているということです。数字だけ見るとだいぶ回復しているねってイメージですが、2割減ってるんですね。
 
今後も8割しか戻らないんだったら、当館の今までの常識をやっぱり変えなきゃいけない。このまま客足が戻らないなら、ターゲットを変えて「家族にやさしい宿」を目指すのも一つだなと思っています。
 
特に今は家に こもりがちになっているので、ちょっとした気分転換などで旅館にきてもらい、家族でゆっくり楽しんでもらえる、そんな旅館目指していければいいなと考えています。
 
現在は宴会をするより、家族と食事を楽しんでもらうという方向に舵を切っていて、お食事や家族の団らんの時間を楽しんでもらうことに注力しています。 

・今後の展望・・・今後の施策・工夫は? 今後どのようなカタチで経営していくのか。オーナーさんの気持ち。ヤル気、希望、情熱を具体的に教えてください。

2022年、旅館業界も変わってきています。生き残りをかけて、宴会場を潰して食事処にするなど、工夫を凝らしている旅館が増えてきていますね。
多くの旅館では、コロナ後は大きい宴会はもう戻らないと判断しているのだと思います。

私たちは、観光を提供するというのは「感じる幸せだ」と言っています。「観光」ではなく、感じる幸せって書いて「感幸(かんこう)」。旅をすることに幸せを感じてもらえたら存在意義はあると。
その先にあるのが「物心ともに豊かな人生を」弊社の経営理念の実現です。

また近隣では、お酒を飲む飲食店があまりないので、観光の方がお酒を飲めるような、気軽に飲食ができる場所を館内でも作りたいなと。
夜はライトアップして、庭園を眺めながら、ちょっとカクテルが飲めるような空間ができればいいなと思い、現在計画をしています。

▲今後、ライトアップを予定している庭園。
和カフェがあるので、宿泊しなくても庭園を眺めながらお茶と甘見を堪能できる。
▲北陸福井あわら温泉「美松」では、日帰りでも入浴することができるので
気軽に自家源泉の湯を楽しむことができる。

・北陸福井あわら温泉「美松」https://www.mimatu.net/
・あわら市観光協会あわら市観光協会|公式サイト (awara.info)


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