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昔遠くに行った好きな人は実は… 前編

コンコン
『お嬢様。朝でございます』
「ん。着替えたらリビング行くからご飯用意しといて」
『かしこまりました』

私は、賀喜遥香。両親は、海外で仕事をしていて、それなりに裕福で今は、20代前半の茶髪で眼鏡をかけた執事の黒丸 円二(くろまる えんじ)というのが私の世話をしている。黒丸以外にも執事は、両親についていった。黒丸は、私の執事を7年前からしてくれている。私は、黒丸が好きだ。と言っても恋愛感情があるかと聞かれたらわからない。年の近い執事だからなのか、一緒にいて落ち着く。
今日から、高校生活が始まる。

『お嬢様。本日から、高校生でごさいますね』
「そうだね。ねぇ、高校って中学と違うの?」
『残念ながら私は、高校に行ったことが無いのでわかりません。それからお嬢様、学校の方へはお送りいたしますか?』
「んー。近いから歩いて行くから良いよ」
『かしこまりました』

私は、学校に行き、校長の長い話がある入学式を終え帰路に着いた。
それからは、普通の高校生活を送った。1ヶ月位経った日。クラスで仲が良いさくらや柚菜達と一緒に弁当を食べてる時柚菜が突然
「皆は、高校に入ってから好きな人できた?私は、学級委員の××君カッコイイと思う。さくちゃんは?」
「わ、私?いないかな。あんま男子と喋らないし」
「もったいない。さくちゃん可愛いのに。かっきーは?」
「…わ、私もいないよ」
私は、そうかえすと柚菜が
「何その間。もしかして彼氏いるの?」
「か、彼氏はいないよ」
「“彼氏はいない“って好きな人はいるの?」
「かっきーの好きな人さくも気になる」
「二人とも落ち着いて。はぁ。わかった教えるよ。10年位前なんだけどね」

「その頃は、両親も日本にいたけど忙しくて、公園で遊んで待ってて言われていたんだけど周りの子は、幼稚園からの仲とかでなかなか話かけれなくて友達がいなくて、いつも一人でブランコに乗っていたんだ。夕方には、お母さんが迎えに来てくれたんだけどそれまでの時間が長くて辛かったんだよね。そんなある日ブランコが別の子達が使ってて仕方なくベンチで一人でいたんだ。その時に」

『どうしたの?』
中学生位の男の子が話かけて来たんだよね。
で私をみてその人は、
『これ食べて良いよ』
彼の手には、見慣れない袋があった
「…それなに?」
『これは、ポテトチップスだよ。知らないの?』
私の両親は、スナック菓子とかを食べさてくれなかったその時初めてポテチを食べたんだ。
「…おいしい」
『本当。ならもっと食べて良いよ』
彼は、私にポテトチップスをくれた。
「お兄ちゃん名前は?」
『あ、僕?僕は、●●〇〇だよ。君は?』
「私、遥香」
『じゃあ遥ちゃんだね』
「なら私は〇兄って呼ぶ」
お母さんが迎えに来るまで一緒にいてくれた。
次の日も〇兄は、公園に来てくれて、私と遊んでくれた。それから、毎日のように〇兄は、公園来てくれてお母さんの迎えが来るまで一緒に遊んでくれたり、色んなお菓子をくれたの。気が付いたら私は、優しい〇兄の事が好きになってた。でもある日、私が疲れて公園で寝ちゃった事があって起きた時には、家に帰っていたんだ。

次の日から〇兄は、公園に来なくなった。

「ってこんな感じかな」
「ウルウル。かっきー、一途すぎ」
「ウルウル、ずっとその〇兄を待ってるんだね」
話終えると、柚菜とさくらが涙を流していた。
「でも、もう会えないと思う。相手も声変わりしただろうし、背も伸びただろうし」
「諦めちゃダメだよ」「きっと会ったらわかるよ」
「そうかな…」

~その日の夜~

『何?。やめて来ないで』
遥香の前に大きな影がありその影が遥香に手を伸ばしてきた

「うわー。ハァハァ」
汗をかき過呼吸になる
『お嬢様。大丈夫でしょうか。呻き声が聞こえましたが』
「ええ。ちょっと悪い夢見ただけだから。私また寝るから」
『かしこまりました』


「かっきーおは yどうしたの?クマ出来てるよ」
「うん。実は、悪い夢見てちゃんと寝れて無いんだよね」
「それ大丈夫なの?さく心配」
「大丈夫だよ」
しかしその日の夜も
「うわぁ。ハァハァ」
『お嬢様。大丈夫でしょうか』
「ハァハァ。今日も昨日の悪い夢が出てきただけだから。気にしないで」
『本当に大丈夫ですか?』
「大丈夫、黒い影が出てくるだけだから。」
『…お嬢様がそこまで言うなら…では、失礼します』
部屋を出る

しかし遥香は、毎晩悪夢を見るようになった。
「うあー。ハァハァ」
『お嬢様。本当に大丈夫でしょうか。かれこれ一週間も魘されていますよ。ハーブティー入れるので一息ついてくださいませ』

私は、黒丸が入れたハーブティーをゆっくり飲んだ。
『あのお嬢様。悪夢を見るようになった理由になるような事最近ありませんですか?何かきっかけがあると思うのですが』
「んー何かあるかな。あっ、最初に悪夢が出た日に幼い頃の思い出を友達に話した。公園で遊んでくれた人の話」
『…左様でございますか。他に思い当たる節は無いですか』
「んー後は、普通だよ」
『左様でございますか』
「うん。じゃあ私また寝るから」
『かしこまりました』
「あのそのまた悪夢見るかも知れないから部屋に居てくれない?お願い」
『ですがそれは、』
「お願い。一人じゃ心細くて」
『お嬢様がそこまで仰せなられるなら、部屋には、居ましょう』
「ありがとう」

その後遥香は、再びベッドに入り、黒丸は、テーブルで書類を書いていた。

次の日も遥香は、部屋に黒丸を招き寝るのを見守ってもらった。部屋に入れたって言っても黒丸は、ソファで作業してるからけして疚しい事などない。
『さて、お嬢様も寝たし、私も少し仮眠をとりますか』
眼鏡をテーブルに置きソファで目を閉じた。

「うあー。ハァハァ」
『お嬢様。大丈夫ですか?』
遥香の呻き声ですぐ遥香のもとへ行く黒丸。
「…え、〇兄?」
『?お嬢様。寝惚けておられますか?。私は、執事の黒丸で、ごさいます』
「〇兄、何でここにいるの?ねぇ〇兄教えて」
『ですからお嬢様。私は…』
この時黒丸は、自分が眼鏡をしていない事に気付いた。
『…わかりました。お嬢様。説明いたします。ただしこちらを承諾してください』
黒丸は、辞表をだす
「えっ、」

『まず、私は、黒丸円二と名乗って降りましたが先程お嬢様がおっしゃった通り本当は、●●〇〇でごさいます』
「なら何で急にいなくなって名前変えて」
『それは、私が昔お嬢様を誘拐しようとしたからです』
「えっ」
『私の生い立ちについてお話しますね。私は、小学生の頃までは、裕福とは、いかないですがそれなりの生活を送っておりました。しかし中学に入った頃父親が事故で亡くなりました。その後後を追うように母親も病死しました。両親が作った借金もあり親戚に引き取ってもらえずそれからは、私は、遺産をちょっとずつ切り崩して生活していましたがそんな長くは、続かず一年後位には、ホームレスのような生活になりました。今考えれば警察を頼れば良かったのですが幼かった私には、思い付きませんでした。そんな私に高校生達がおにぎりをくれたました。そしてついて来るかと言われついて行くことにしました。しかしその人達は、いわゆる不良グループで万引きなど普通にする奴らでした。私は、良心があるのか万引きなど出来ず見張りなどでグループの生活に必死に食いつきました。万引きした商品が私の食料でした。しかしある日

「お前、いい加減自分の飯ぐらい自分の手で奪いとれ。見張りばっかしてるんじゃねぇ」
『が、頑張ってみます』
私は、コンビニで万引きしようとしましたが怖じ気付き万引き出来ませんでした。しかし不良グループは、それが気に食わなかったのか私を見放そうとしました。
見放されたら飢え死にするのを予想した私は、何とか残してくださいと頼みこみました。そしたら子供を誘拐しろと言われました。大金を取るつもりだったようです。銀行強盗より捕まりにくく、大金を取ることが出来る。私は、それであの日公園に行きました。そこでお一人だったお嬢様に目をつけました。ポテトチップスは、子供に近寄る為と仲間が盗んできてくれたものです。
ですが一日目は、誘拐出来ず、次の日再び公園に行くとお嬢様がいたので良い機会を探しました。そしてお嬢様が疲れ公園で寝てしまった時、私は、今しか無いと誘拐しようとしました。お嬢様のお迎えまで30分程余裕がありました。しかしその日は、旦那様が仕事を早く終え、奥様と一緒に車で迎えに来られました。誘拐しようとした所を旦那様達に見られてしまいました。私は、諦め
『すみません。僕は、娘さんを誘拐しようとしました』
正直に話しました。警察に行こう。そう思いました。すると旦那様は
「なぜ誘拐しようと思ったんだい」
優しくそうかえして来ました。私は、全てを旦那様に伝えました。
そしたら旦那様は
「君は、悪くない。今まで大変だったね」
『でも、僕は』
「君のおかげで遥香が最近楽しそうにしている。ありがとう。この事は、見逃すよ。それからもし良ければこれからも遥香と遊んでくれないか?」
『ありがとうございます。でも、不良グループに僕は、絡んでいましたし、こんな事したので僕は
「わかった。今から君は、私達の家族だ」
『え?』

こうして私は、旦那様に引き取られました。それから二年間執事になるために先輩執事から色々教わり、お嬢様の担当執事になりました。不良グループとは、あれから絶縁状態なのですが万が一お嬢様達に被害が出ないよう名前を変え身分を偽っておりました』
「嘘だ。嘘って言ってよ〇兄。昔みたいに遥ちゃんって呼んで」
『お嬢様、嘘じゃございません』
「お嬢様呼びやめてよ。何で今まで言ってくれなかったのよ。私は、私は、ずっと〇兄の事が」
『お嬢様、それより先は、言っては、なりません。悪夢を見るようになったのも私との過去を話したからだと思います。お嬢様の夢に出ている影はきっと私です。ですから私がお嬢様の前から消えれば無くなるはずです。』
「いや。〇兄と離れたくない」
『お嬢様、わがまま言わないでください!』
私は、怒鳴ってしまった。お嬢様の目には、涙が溜まっていた。

『失礼します』
〇〇は、部屋を出た。

Tobecontinued


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