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猫に導かれたにゃ🐈

「お知らせ」の多い待合室

「そこ」の待合室はとにかく「お知らせ」という名の掲示物が多い。そんなに広くはない部屋の、壁とあらば「お知らせ」「お知らせ」「お知らせ」そしてまた「お知らせ」。少しでもいいから読んで欲しいと言わんばかりにあちらの「お知らせ」には赤い文字で、こちらの「お知らせ」には赤い下線が引かれていたり、全文赤字の「お知らせ」もある。
待合室の壁に貼られた「お知らせ」があまりにも多すぎて何をどう工夫したところで読んではもらえそうになさそうだ。きっとお客さんからのクレームが多くて対応できなかったのだろう。「お知らせ」によってお客さんからクレームを言われる前に「お願い」しておこうと思ったのだろうか、とぼんやり考えていたら、
「こちらのお知らせでもお願いしているのですが」と従業員さんがお客さんに話しているのが聞こえた。聞こえてしまったので壁中の「お知らせ」を読んでみる。最後の文面が全て「ご理解頂けますようご協力の程よろしくお願い致します。」で終わっているのが印象的で、肝心の「お知らせ」による「お願い」が何だったか頭に入ってこなかったが、もう一度読む気力など私にはない。こんなにも「お知らせ」による「お願い」をされるのならば、ここに来るのはこれっきりにしよう、そう思った矢先、
あぁ、やっぱり。
「そんなこと知らないよ、細かいんだよ、ったく。」

誰にも読まれそうにない「お知らせ」という名の「お願い」が壁から剥がれ落ちるのを見た…気がした。

猫と 河出文庫は表紙を見て買うことを決めた。だって猫のまるちゃんがかわいい。
猫とを読んでいたら本の感想ではないこんな文章が書けた。猫となんら関係がない。

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