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24年8月11日note32元よしもと・ホリプロ芸人松稔の芸能裏話32漫才がウケない…笑わすことの難しさhttps://www.facebook.com/profile.php?id=61553536510873

芸能裏話(32)漫才がウケない・・・笑わすことの難しさ

京都花月の無残な初舞台はすごく落ちこんだ。

しかし相方のゆたやん(落ゆたかの愛称)はケロットしている。

いい性格と云えばそれまでだが、僕としてはどこが悪かったか、

どうすればお客様に笑って貰えるか反省したいのだが、舞台が終わったらすぐ帰ってしまう。

元サラリーマンだったから、そのなごりが抜けないようだ。

新人の時と云うのは、最悪の条件で舞台に上がらされる。

それと言うのは、1回目の舞台は12時から開演する。

お客さんの殆どは団体さんである、地方から朝早く観光バスで何時間もかけてやって来る。

花月に着くのが12時前、僕等の舞台が12時から、調度お昼の弁当の時間になる。

「はいどうも、みのる・ゆたかです」と元気よく舞台に出ても、誰も見てくれないし、聞いてもくれない。

幹事さんが僕等目の前で「弁当貰ってない人、お茶が行き渡ってない人は手を上げて下さい」と大声で叫んでいる。

それが終ったら、全員が弁当を食べ始める。

弁当の包みを外す音も500人位が一斉にやれば凄い音になる。

ガサガサガサ、バリバリバリ、次に割り箸を割る音も500人がやれば、バチバチバチ、雷が落ちるかのような音がする。

いくら大きな声で漫才やっても、その音に掻き消されてしまう。

食欲には勝てない、10分位してやっと弁当を食べ終えて、これから静かになるのかと思っていたら、

弁当の割り箸を折って後始末をする音がまた凄い、ボキ、ボキ、ガシャ、ガシャ、再び幹事さんが僕等の漫才を無視して、

「弁当の終った人はナイロン袋に入れて、帰りに私の所まで持ってきて下さい。

弁当やゴミをほったらかしにしない様にマナーを守って楽しくご歓談下さい。」

お前が一番マナー守ってないやないかい!!

一生懸命漫才やってるのに、こんな状態だったら誰がやっても受けない。

それなのに支配人やマネジャーは「お前ら全然受けへんな、これじゃ次の舞台は無いな」ときつく怒られた。

トップに出る者の宿命とはいえ、12時から12時15分の僕等の舞台はお客様の昼食の時間なのだ、僕等の事は、絶対覚えてないだろう。

新人の頃はこう云う悪循環が繰り返される。せめて弁当の時間じゃない所に出たい。

2回目の舞台も条件が悪い、1回目の最後が吉本新喜劇である。

テレビに出ている人気者が舞台で大暴れする、大爆笑の後2回目の開演になる。

大爆笑の余韻と入れ替えのお客さんで客席はごった返している。

そこに僕等が出て行く、お客さんは「誰やこいつら、こんな奴どうせオモロないんやろ」と言う目で見ている。

大阪のお客さんは暖かい目で見てあげようと云う気持ちは全然ない。

面白くなかったら「おもんないぞ、もうええから、帰ってええぞ、早く、やすきよ出せ」とはっきり云う。

だから東京の芸人さんが、大阪の舞台に出るのが恐いと云うのが分かるような気がする。

大阪の場合は笑わなかったら芸人が面白くないから。東京の場合は笑わないのは客が悪いからと云う考えである。

大阪は面白い者のが人気者になるが、東京は上手い人が人気者になる。

笑いは難しい。笑わす方が余裕がないのに、笑って貰えるはずがない。

やっぱり、経験がものを言う。

とりあえず舞台数を増やさないと・・・

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