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24年7月13日note28元よしもと・ホリプロ芸人松稔の芸能裏話28弟子に付いて一番辛かった日https://www.facebook.com/profile.php?id=61553536510873

芸能裏話28弟子に付いて一番辛かった日

何度も辞めようと思ったが、この日ほど辞めようと思った事は無かった。

それはクリスマスの12月25日だった。

クリスマスシーズンは師匠にとっては最高の稼ぎ時だ、弟子にとっては最悪の時期になる。

テレビ番組は年末の取り溜めで、毎日徹夜が続く、その合間に余興(大阪ではテレビ・ラジオ・
舞台以外の仕事を余興と言う。

東京は営業と言う。ギャラは舞台・ラジオ・ テレビ・余興の順番に高くなる)に行く。

うちの師匠は特に売れっ子で、営業の評判が良いから一番多かった。

昼に1回目の舞台をやって、合間にテレビ局で収録。

中抜けして2回目の 舞台をやって、又テレビ局に戻って収録。

それが終わって余興に行くというパターンが続くのです。

この日も僕は一睡もせず、京都花月に行った。

もう3日間寝ていないヘトヘトな状態だったが、師匠の前に云ったら恐さのせいでシャンとなる。

1回目の舞台が終わって読売テレビの正月特番、そして朝日放送の特番に行く。

テレビ番組によって衣装を変えないといけないので、二着づつ計四着の衣装と靴4足それに、営業で使うテナーサックスにギターを一人で持って行かなければいけない。

その荷物の重いのなんのって、手がちぎれそうなくらいだった。

いっそちぎれてくれたら仕事行かずに済むのにと思った。

その荷物を持ってダッシュで、電車の切符を買って師匠を改札で待つ。

待っている間でも師匠の荷物は絶対に地べたに置けない。

荷物を持っているので切符は口にくわえて改札を通る。

駅員さんも切符を切ったら又、口にくわえさせてくれる。

やっとテレビの収録が終わって、これからが大変また京都に戻り、余興先に向かう。

テレビの収録が遅れたので、ダッシュで現場まで走る。

師匠は荷物が無いからスイスイと走れるが、僕は衣装四着にギターやテナーサックスを持っているので、思うように走れない。

おまけにクリスマスで人が溢れている、鴨川の大橋を渡る途中で師匠と逸れてしまった。

世間はクリスマス、楽しそうに歩いているカップルを見ていると、自分が惨めになって来た。

その時この荷物を鴨川に捨てたら、楽になれるのにと思った。

しかし我に返った時、今まで苦労して来た事が脳裏を横切った。

ここで辞めたらすべてが水の泡になる、やっとの思いで踏み留まった。

1回目の余興が終わって、すぐ京都花月の2回目の舞台に戻る。

2回目の舞台が終わったのが夜の7時30分、朝ご飯食べてから何も食べる時間がなかった。

しかし2回目の余興があるので、現場に急いだ。

寝ていないし飯も食っていないから、もうフラフラいつ倒れてもおかしくなかった。

余興が終わったのが10時過ぎ、一人の師匠はすぐ帰ったのですが、もう一人
の師匠が余興先の人とクラブに行った。

やっと解放されると思い喜んでいたら、「一寸待っとけ」と師匠に云われたので帰れなかった。

弟子と云うのは 一緒に中に入れない、まして酒・タバコ・女は禁止されている。

だからクラブ の入口で待たされた。

荷物は地べたに置けないので、ずっと持ったままで立っていなければならない。

しかし1時間位経っても師匠は出てこない。

雪も降り出してきた、荷物が肩にくい込んで手がシビレテきた。

地べたに置けないので足の上に乗せた。

寒さと疲れと空腹で意識がもうろうとしてきた、このままでは倒れる何とかしなければ・・・つづく

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