うにょりティア帝国は雨が多い

今日も雨だ。
空を見上げて、うにょりティア帝国の住民・間隙 エインは呟く。
彼は週に一回のでも活動には二回に一回の頻度で出ていた。
政策全般というより、傘が少なく、堤防がないことが不満だった。
ただこの辺り(生丞市という市だ)は首都に近いくせに妙に軽視されているようで、(デモの所為かもしれないが)あんな小さな規模のデモには効果などないだろう。
この国が嫌いというわけではない。川が他より綺麗だし、61.5度の温泉もある。金星がよく見えるし、どんな日照りのときでも干上がったことがない湖がある。ただ、雨が多い。洪水はめったにないが、他よりは少し多いだろう。
曖昧な雲が空を満たしている。
わかってはいたが、手が痛くなってくる。
傘を盗まれないように輪ゴムで手に固定するアイディアは失敗だったようだ。
大通りから小道に入る。
鬼灯を踏まないように歩くと、職場がある。
薬学にかんする超古代の書物を解読/解釈する仕事だ。
(よくサボってリンゴを食べてる同僚がいるし勧めてくる。なぜか評価は高いらしい。)
昨日の結果の字が汚い。記憶から復元しようにもうろ覚えで、今日の字まで怒りで汚くなる。無限ループ。
帰り道の途中のパン屋でウインナーパンを買う。店員の襟田 れいさんに挨拶をして、家に帰る。
寝ようとした頃、傘を盗みに開けろと声がした。最後には泣き始めてしまったが開けなかった。高級品の傘なんだ。渡すわけにはいかなかった。安泰を求めて漸く手に入れたんだからな!
デモ隊の一人もやってきたが無視だ無視。
電撃作戦だか光の戦いだかなんだか知らないがやるわけないし成功するわけない。
目をつむり、夜に夢を見る。
深淵の海の中に居る。太陽がこちらにやってきて…
目が覚める。いつも通りの朝だ。
見えづらい太陽。今日は霧のようだ。景色が曖昧でやってられない。
昨日の記憶のようでいやになるから、日記を確認する。
字が汚い。火事が起きてないことを確認しつつ、飼い猫を持ち上げる。
ラジオから音が流れる。天気予報だ。
どうやら正午から雨らしい。
していた体操をやめて、傘の乾き具合を見に行った。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?