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精神病棟の女

彼女とは精神科病院で知り合った。

彼女は、裸同然の姿で街を歩き、コンビニで売り物を開封してしまった事で、警察に連絡された。
が、彼女が精神疾患があり、明らかに様子がおかしかったため、精神病棟に搬送された。

彼女は、裸で外出した日の事を覚えていないと話していた。
彼女の母親は、「少し前から様子がおかしかった。通りすがりの人をあの人知ってる!と騒いだり。一人暮らしが楽しくてハイテンションになっているのかと思っていた」と話していた。

そう、彼女は、まだ大学生だった。

大学での友達も多く、大学も偏差値の高い大学だった。
バイトと学業を両立しながら、年上の彼氏もいて、充実した生活のように見えた。

しかし、問題は、彼女の父親だった。
父親は学歴を一番支持する考えの人物で、娘には「東大か京大に受かってほしい」と考えていた。

しかし、彼女は京大に落ちた。
それでも関西の中では誰もが知る有名大学には受かり入学した。

でも父親からすると、「京大の落ちたところ、滑り止め」としか考えていなかった。

そして、娘の彼氏や結婚相手となる人は、父親の自分より学歴が高い人じゃないと許さないと言う人。
そうなると、京大もしくは東大の大学院卒しか選択肢はない。

彼女は、父親がとにかく怖い、と話していた。
仕事で一年のほとんどは単身赴任で自宅にいないものの、自宅に父親がいると、食事中に緊張からお腹が痛くなってしまうほどだった。

父親からの期待が高すぎた事で、娘の負担が大きかった事は確か。
ただ、彼女の母親が、父親との関係性や会話、母親が父親と同じように学歴重視なのか、そうではなく娘を庇っていた等の話は一切出てこなかった。

彼女は、高校生の時に、年上の彼氏から貰った指輪を親に取り上げられている。
理由は、「死にたい」と言って、壁を殴るから手を怪我すると危ないという理由。

もっともらしい発言だが、やはりどこかおかしいのは親の方かもしれない。
死にたいと壁を殴る娘を病院に連れて行かず、自宅で娘と向き合っていたかは不明だが、怪我すると危ないから指輪を取った…違和感でしかない。

彼女は、大学を卒業して、就職した。
すぐに、体調を崩し、仕事を辞めた。

その後、また大学に入学していた。
これは、何もせずに家にいるのが近所に知られたら恥ずかしいからという親の意見からだ。

その彼女と会いたくなり、連絡した時の話はまた今度書きます。

※この話が、実話か架空かは読み手の方が読みやすいよう想像していただければ…と思います。

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