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百年後のあなたへ

はじめまして

いわきFCサポーター2シーズン目、スタジアムへ足を運ぶようになってまだ1年に満たない新米サポーター、てんかあちゃんです。

いわきFCサポの中でnoteデビューが流行中(?)
この流れに乗らなくてはと思ったものの、紹介する自己すら未だ曖昧な私なので、過去作をえいやっと載せてしまおうかと思います。
これは、震災後知り合った詩人の桑原滝弥(くわはらたきや)さんから依頼を受け、震災を伝えるイベント用に2020年に書いた手紙です。

100年後の誰かに宛てて書いて欲しいと言われ、
毎朝の愛犬との散歩中「どうしたもんかのお」とグルグル巡らせてなんとか仕上げたのを覚えています。

某所に残っている、震災当日から書き連ねたものは、編集が大変なのでいつか機会が有れば。と思います。

では、拙作を。

百年後のあなたへ

2020年の今 私が見ているこの景色と、
2120年のあなたが見る景色は
何が変わり 何が変わっていないのでしょう。
海や空は青いままですか? 
白鳥は飛んで来ますか?
魚は美味しいですか?
みんな笑顔ですか?

2011年のあの大震災から、間もなく丸9年を迎えます。
震災で経験したことは、実は私はそんなに多くありません。
家も家族も失わなかったし、避難生活からたったの1ヶ月で家に戻れたし、2ヶ月後からは仕事も復帰できたし。

でも、失わなかった罪悪感と 変わってしまった町を見る度に感じる喪失感は簡単に消える物ではありませんでした。
「失わなかった罪悪感」などというものに囚われるとは、経験してみなければ判らない感情でした。
いくら「前向きに頑張ろう」と思っても、体はグニャリとしたままでした。

そんな私が今もこの町に住んでいられるのは、やっぱり「人」のおかげです。

町のために尽力する人々、町のために歌を作ってくださった方々、元気に歌声を響かせる合唱団のメンバー、愛犬の散歩で挨拶を交わす町の人達、遠くからいつも心配してくれる昔の教え子達、ライブの度に「生きてまた会おうぜ!」と喝を入れてくれるロックバンド、一緒に笑ってくれる友人、見守ってくれる家族。

そんな人たちに励まされ、生かされ、今の私は少しずつ少しずつ体の芯を取り戻しているところです。

罪悪感や喪失感がこんなに長く消えないものだとは思ってもいなかったけれど、そしてそれはこれからも続くのだろうと思うけれど、この町に私の周りに人がいる限り、私はなんとかやっていけそうです。

2120年を生きるあなたが見ている景色がどんなに変わっていたとしても、
そこに人がいれば、生活が続いていれば、町は変わらずにあり続けていると信じています。

あなたの周りが笑顔で溢れていますように。
あなたの町に「たしかなる風」が吹いていますように。

2020年2月  

たしかなる風 とは

この手紙を依頼して下さった桑原さんが町の人たちとワークショップを開き、詩を完成させ、作曲家 谷川賢作さんが曲をつけて下さった、町のオリジナル合唱曲のタイトルです。
文化交流館アリオスの企画で他の町の方々と一緒に、アリオスでコンサートも開き、私も伴奏や指揮を担当させて頂いた、今でも大切な想い出です。
この歌は、今も地元の方々と歌い続けています。

その後の私

この拙作から1年半。私はスタジアムへ初めて足を運び、いわきFCの試合を観ました。
やっとやっと、私の中のグニャリとしたままだったものが、真っ直ぐに戻った瞬間でした。
これからも真っ直ぐにいわきFCを楽しみたいと思っています。

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