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つわものどもが夢の跡

本格的に暑くなって雑草が生い茂る前に
墓掃除をしてきました。
お寺が併設してあるわけでもないし
六地蔵も居ない所々に土葬墓もある
さみしい集落の小さな墓地

そんな中で家のは本家と分家で二墓
墓地の奥の方にぽつんとならんでいる。
私は生えかけてきた雑草の新芽を
ちぎってはなげ、ちぎってはなげ
酒と饅頭を供えて線香をあげる

本当は生花が良いのだろうけど
どうせ朽ちて汚くなってしまうので
数年前から造花を供えている。
今日は夏に似合いの向日葵の造花を
ちょこんと花立にさしてみた
墓参だなんだといっても供養より
自己満足の部分が大きい。
ならいっそ生前に貰って喜ぶような
そんなものを供花としたい。

私は墓の前にどかっと腰を下ろし
今しがた供えた饅頭を齧りながら
しばし悪態をついてやった
本家だの隠居長屋だのと啀み合って
結局は線香の一つも上げる人間が
居なくなってしまったじゃないの
成した功績も家柄も全部墓の下
みな等しくここで土に還るとよいと

写真は誰も参らなくなってしまい
名前すらも忘れられた集落のお宮さん
草木が生い茂り、本殿も落ちかけている
かつて林業で栄えたこの村にはもう
神も仏もないのかもしれないね。




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