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2020年ボカロBOOTLEGのはなし

こんにちは!ここはインターネット!ネットカルチャーとボカロBootlegのはなしをします

なにぶんキワドイ話なので明日にはきれいさっぱりなくなってるかもしれません。あと米津玄師は出てきません


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#ボカロリスナーアドベントカレンダー2020』 参加記事

担当日:12/3

詳細↓↓↓


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はじめに:Bootlegって何

いわゆる海賊版という意味で、ライブ等の音声が無断で収録されたCDなんかのメディアのことを指していたのですが(いわゆるブート版/盤)、そういったメディアを収録または収集し、持ち帰ってから自分のパソコンでアレンジを加え、またクラブに持って行って自分でかける行為が出始め、そういった音源もまたBootlegとして、その意味は拡張されていきました


一方、ニコニコ動画でよく見るのは"Remix”というワードだと思いますが、こちらも創作としての手法自体は同じです。

DTMの制作工程にあるMixと呼ばれてる作業があります

雑解説"MIX":各楽器のメロディなんかを別々で作った後に、まとめて一つの曲として再生したときにパートごとの音量や音の配置が良い感じになるようにそれぞれ細かく調整する作業のこと

つまり Re + Mix で、

ざっくり言ってしまえば同じボーカルトラックに合わせて別のオケを作ってしまう2次創作行為のこと、基本はBootlegと同じですね

決定的に異なる点は、Bootlegは"権利者の許諾を経て制作されていない"という一点のみです。

なので実際の使われ方としては、「リミックス作ったけどY○uTubeから音源ぶっこ抜いて使ったから一応Bootlegってつけとくか」くらいのアレです。remixって書くのもうダサいから変えるかとか、元々の前提としてクラブで使う目的があるものなので、配布の際に分類情報の一つとして書くとかそんな感じ

ニュアンス的に意味が通るのでたまにmashupとかeditにも使う場合があったりします

この辺音楽ジャンルと一緒なので、"タイトルに書いてあること"だけが正しいです。bootlegでもremixって書いてればremixだし、editって書いてたらeditです。bootlegじゃないremixでもbootlegって書いてたらbootlegです。そんなもんです。作ったやつが一番えらい


remixやbootlegのタイトル形式としてはだいたいが「原曲タイトル(○○ remix)」といった感じになってると思いますが、ジャンルによっては文脈やタイトルをもじったものだったり、全く違うタイトルに変わっていたりします。

そういった曲を紹介する場合だと"○○のリミックス"というよりは"○○をサンプリングしている"という表現になってくるのですが、Remixという表記が2次創作という意味を内包しているのに対して、サンプリングという表現は必ずしもそうではなかったりします。

雑解説"サンプリング":全く別の曲から音や声を切り取り、素材として自分の曲に使う手法のこと

やっていることは他のbootlegと大差ないのに、タイトルが違うだけで権利的なニュアンスや立ち位置が変わってくるんですね
これは同じサンプリングでも、どの程度であれば楽曲としてオリジナリティが認められるかという話になってくるのでこの辺にしておきます。誰かが決めればいいとかいう話ではない……




さて、少し話が逸れましたが

そんなBootleg、もちろんボカロにもあります。

先程書いた通り、ニコ動だとほとんどremixって書いてるんですけど、ボカロの有名曲でstem配布してるってまずなかった(ボカコレ以前)ので、piaproにボーカル入り音源が公開(もしくはボーカルデータ)されて、なおかつ加工可になってるか、直接ボーカル音源をもらったかであれば権利的にもクリアな音源といえますよね。でも、何曲か覗いてみるとそうでもないんですよね

とはいえタイトルにはちゃんとremixって書いてあるのでremixです。別に間違ってないし義務ではない

同人文化根強いボカロシーンで"わたしはあなたの音源をぶっこ抜きました"ってプラカード首から下げてランキングに並ぶわけですからね、嫌


じゃあどこならあるのかというと

SoundCloudですね!家


初音ミク発売からもう13年なので、ここ最近1,2年くらいでサブカル系クラブイベントを担う大学生や高校生・新社会人辺りがボカロネイティブ世代によって構成されるようになって、アニクラやVクラでもボカロがかかるようになってるんですよ、っていうのとDTMがより手軽になって若いトラックメイカーが増えてるというのもありまして、ネイティブ世代によるボカロのブートが増えています。ボカロEDMとか、ミクノポップが好きな人なら、漁らない手はないです!

というわけで前置きが長くなりましたが、今回はSoundCloudから曲紹介をします

※先ほどbootlegの説明をしましたが、裏で許可をもらってるかどうかなんて分かりようがないのでbootlegとは限らないです!サンプリング元がボカロ、2020年投稿のものを紹介していきます!



以下曲紹介(×18)


最初はアリスメさんのメランコリックremix。サビまでGarageでいってドロップでFutureBounceに!ジャンル移行にどんどん使っていきたいアレンジです。
ドロップにメロディセンスが問われる構成ですがキャッチ―に仕上がってて最高ですね

雑解説"Future Bounce":futurebassな音のハウス、ドロップのリードシンセがデカい&飛び跳ねる感じのリズム



この曲remixするのか…!その1です。最高の夏

BPM110と、かなりゆったりめの4つ打ちですがキック以外がClubっぽいビート。最後jersey clubになるとこがたまんないですね!



タイトルそのままですが、IAのSUPER GTコラボCDに収録されてる"Circuit DISCO"をサンプリングしたFuture Funkです。めっちゃ夏

他にも何曲かボカロサンプリングがあるのでぜひチェックしてみてください

雑解説"Future Funk":bpm120前後、ハウスのビート、ウワモノのgainがキックで落ちて次のキックにかけて上がってくる(それか裏打ち)、タイトルはサンプリング元に由らないがち



ギガPとおればななさんのCANDY CANDYカバーをサンプリング、というかほぼeditですが、Future Funkな一曲



梨本ういさんの"あぁあぁあぁああぁあぁああぁ"をまさかの大胆サンプリング。

ラッパー向けのhip-hop beatですがめちゃくちゃかっこいいです



この曲remixするのか…!その2。とんでもないです

原曲の雰囲気を上手く残したままオリエンタルなFuture Trapにリミックス。
1stドロップ後オケがリードギターとドラムだけになるとこが良いとか、ラスサビにしてもドロップにしてもそもそも音選びが上手すぎるとかいろいろありますけど、もう完璧すぎて声も出ません。無理

マジでA_IIさんの曲をクラブミュージックとして再構築されたものを聴けるとは思わず、しかもこんな最高の出来になっててもうありがとうの気持ちしかないのですが………もしどこかのイベントで聴けるなら這ってでも聴きに行きたい一曲です……………!

雑解説"Future Trap" : 音がfuture bassで、ビートがTrapなやつ



めちゃくちゃ良質なボカロMelodic Dubstepです。最近あんまり見ないジャンルだったので見つけたときは思わず声が出ました。2nd dropで一旦4つ打ちになるのがあざといですね…好きです

雑解説"Dubstep":偶数拍のキックを半拍後ろにずらして体感BPMを半分にさせるビートと、力強いサブベースが特徴的。Melodicが付くとメロディック(リードシンセがエモい感じ)になる



新進気鋭の投稿頻度がとんでもないM!R4さんが今年流行ってたらしいKINGを今年流行ってるらしいJersey Clubにedit。カットアップがめちゃうまで最高に踊れるので、DJではとてもお世話になっています

雑解説"Jersey Club":ドラムンベースやガラージ等ブレイクビーツの系譜、ドンドンドッドッドッのハウスよりちょっともたつくような特徴的なビートが有名、レーティングにひっかかりそうで書けないえっちサンプリング



インダストリアルなアンビエントでしっかりと土台を作ってから繰り出されるjersey clubのドロップは、馴染みのある人もない人も等しくダンスミュージックの虜にしてしまう、2020年一番Dopeなボカロブートです

私事ながら先日DJしたときにお借りしたのですが、やっぱりこれをかけるとフロアの雰囲気が引き締まっていいですね。お客さんも炉心融解のとこめっちゃよかったですって言ってました。ありがとうm4ttさん………



香椎モイミ - my crushを刻みliquidなlolicoreに。まさかすぎて2回ひっくり返りました。

I.W.さん追ってると何回ひっくり返ってもひっくり返り足りない(最高)のですが、他にもボカロやVのこの辺のラインをめちゃくちゃいい感じにサンプリングされてるのでとてもおすすめです。(Flowering、melty girl、ライア、深昏睡、etc...)

雑解説"lolicore":日本のアニメやゲームの、いわゆる萌え声なんかをサンプリングしたBreakcore



twitterアカウントも出てこない謎のトラックメイカー魔装少女が椎名もた - humanをサンプリング、原曲の良さを残したままより濃密なブレイクビーツの海に

初見のときなんか"まじ?"botになったんですけど、この辺漁ってるとあめふるはこにわとか、6900000000とか、Equation×**とか、ボカロリスナーが好きそうな曲も普通にサンプリングされてるので面白いです



原曲って高飛車ツンデレお嬢様みたいな感じだった気がするんですけど、こうエグめのSpeed Houseになると流行りの小悪魔ツンデレロリみたいな感じになっててとても良いですね(ニチャァ)

雑解説"Speed House":BPM140-160くらいのめちゃ速いBass Houseみたいなやつ。ハードコアほどは速くない



Honey Works - 竹取オーバーナイトセンセーションをガンガン刻みspeedhouseにアレンジ。原曲と比べるとBPMは遅いですがめちゃくちゃ踊れます



ルカルカナイトフィーバーのHardPsy、わけわからん最高ですね。
ボカロHardPsyは観測圏内だと初めて聴いたのですが、PsyTranceもHardStyleもちゃんとボカロ曲あるので、今後増えていってほしいジャンルです。踊りたい

インターネットやってるとたまに見るこのタイトル表記はLeetというやつで、見たまんま検索避けとして使われる場合が多いです

雑解説"HardPsy":Hardstyle×PsyTrance。psytrance(tranceより激しくダンサブル、ドットトドットトという独特のビートや、たまに3連符を使ったポリリズムを混ぜたりするのが特徴)にhardstyleの歪みキックが重なってくる感じ



原曲のエモさをめちゃいい感じにMakinaに昇華しており、ボカクラでかかろうものならサークル組んで爆踊り間違いなしの一曲です。ボカクラで聴いたことないですけど

マキナって正直全然詳しくないのですが、ハードコアテクノのハッピーハードコアに近いけど、よりバウンシーなイメージがあります。そんな感じ



Что за хард-бас Vocaloid. Я ждал этого времени. Море спиртного, худшая безопасность. Лучший звук в мире

そう、HardBassです。最高にふざけたBass音がピアノロールを縦横無尽に駆け巡り、酒にほぐれた脳天をカリカリに焼いていく様はピロシキそのもの

後半は大正義HardStyleでエモく仕上がってるので、こちらもジャンル移行に使っていきたいですが良すぎるのでうっかりするとイベントが終わってしまいそうです。ありがとう………



速い、強い、重いの3拍子揃った2020年で一番良いボッカデラベリタがこちらになります。曲としては4拍子のハードコアテクノなんですけど、4つ打ちキックの間にゴーストノートが入ってて純粋な4つ打ちにはなってなかったり、半テンでダブステになったり、Clubのビートが混ざってきたりと、原曲の良さでもあるジャンルレスなビート展開をより踊れる感じに仕上げてて最高です



hardcoreとかhardtek、breakcoreとかnerdcore/lolicore、speedcoreとかIDMのあの辺のトラックメイカーが作る、エグゾディアもびっくりの超絶融合悪魔合体組曲、自分だけの最強コンピレーションを作って壊そう!それがmashcoreです

素材だけで完結するmashupの延長のようなトラックもあれば、これのようにアレンジを加えているトラックもあります。ボカロが混ざる作品はいくつかあるのですがボカロ文脈メインのトラックは初めて見ました(ありがとう…………)。テンポ速いし展開も速いので脳の処理が追い付かなくなって"至れる"のが最高ですね!




以上15曲、全体から見ればほんの一部ですが、2020年にSoundCloudにて投稿されたボカロブートの紹介でした!

またどこかでお会いしましょう。できれば、ボカクラで!






以下告知

最近こちらのnoteには投稿してませんでしたが、ボカクラではおなじみproject ASTELOIDsのnoteアカウントにて展開されてます #AST_Playlists というシリーズ記事にて毎月、曲紹介をやっております。

ASTELOIDsのえんまーるさん、サルさん、FAIOさん、後藤尚さんと私でテーマに沿った楽曲を持ち寄ってSpotifyプレイリストを作る、そんな企画です

ボカロを軸に集まっている5人ですが、それぞれルーツも漁り所も違うので、ちらっと目を通すだけで一気に5人分の知見を広げられるとてもありがたい記事になってます。ぜひ一読ください!


あと12月最後の出演、デカ告知あります。気軽に見れる配信イベントなのでtwitterの方チェックしていただけると幸いです


書いた人のSoundCloud
https://soundcloud.com/temura


※記事訂正,曲紹介部分の消去等対応しますのでtwitterの方に連絡ください

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