Creepy Nutsノススメ

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こんばんは、いい夜ですね。

12月に書いた2本の記事で、「あゝオオサカdreanin' Night」のガチガチに踏みまくるライム(韻)、その中でキャラクターの背景・文脈を大量に散りばめる手法があまりにも鮮やかである話をさせていただきました。

この曲を生み出したクリエイターであり、ずっとこの高度すぎるスタイルで曲を作っているCreepy Nutsを紹介してみます。

私もつい最近までヒップホップを全然聴かなかったのですが、Creepyのあまりの音楽性の高さに殴られ一瞬でファンになりました。ヒップホップも大好きになりました。

そういう人が増えるといいなーと思い、初心者ながらこの記事を書くことにしました。

有名な曲たち

さすがにこの曲を出さずにCreepy Nutsは語れない、という有名曲を3曲おいておきます。Creepy Nutsの才能を、キャッチーな曲調で楽しめます。

合法的トビ方ノススメ

助演男優賞

よふかしのうた

ここからは個人的に特に聴いてほしい曲を、印象的なリリックを紹介しながら挙げていきます。

みんなちがって、みんないい

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くだらない みんな同じじゃつまらない
まーまー 要するに みんなちがって、みんないい!!

R-指定さんが10以上のキャラクターのMCを演じ分けています。ヒップホップわからなくても余裕で楽しんで聴けちゃう、沼入りには最適なキャッチーさです。

各種インタビューによると、この演じ分けは、他の特定のMCへのイジリやdisではなく、いろんな個性の奴らが集まって時にはdisりあっているそんな今のヒップホップ界が好き、ということみたいです。


教祖誕生

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腹空かしては 粗探してる
タイムライン上ざわついた
徐々に増えていく賛同者
皆の反応が嬉しかった

ネットでイキる一人の男の姿を畳みかけるように韻を踏みながら描き出します。思わず見入ってしまいます。最後のオチのつけ方も最高。

「あの芸人が(自分を)ブロックした」で芸人が白旗を振っているカットになるところ、ブロックされた→言い負かした・勝ったwというリアルな思い上がりがバチバチに出ててよいです。

R-指定さんが自身を語るときによく、不良でも金持ちでもないただの冴えないダメ人間からラップ一つで成り上がってきた~ということを言うのですが、この曲に限らずCreepy Nutsの多くの曲も「そういう一流・一軍になれなかった男」の立場から書かれているので、一般庶民の我々には共感を呼ぶものが多いです。痛快な社会風刺ソングも多いですね。

紙様

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No No、プラダ No、フェンディ、 No、エルメス、No、グッチ
ヒデー男と言われても仕方ない
一応それなりに頑張っちゃいるが
こりゃちょっとした行き違い ゆうてねぇ

「紙」は紙幣、「カネ」のこと。カネについてひたすら歌われます。フック(サビ)の最後(上記)で紙幣の透かしみたいにあの3人が鮮明に浮かび上がるのがおもしろい!

曲終わりは「縁」とYenのド王道なダブルミーニングでシンプルに結んでるのも超いいです。歌い方も相まって本当に気持ちがいいです。

一応人並みに目が無いけど
昔からコレには縁が無いゆうてねぇ


犬も食わない

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主従関係?いやどうだろう?
小さいのは君らの脳かも?
ヘイブラザー!俺ら生まれつき野良
首輪のアレとは一緒にすな

人は「犬も食わない」なんて見下した言い回しを使ってるけど、犬も人のことを馬鹿にしてるからな、というテーマの曲です。それだけでも1曲書けそうなものですが、犬側に飼い犬と野良犬の2つキャラクターを用意しているおかげで相当面白いことになっています。

曲終わりの落とし方も見事です。

ちなみにトラックにいっぱい入っているワンちゃんの声はすべてR-指定さんのお声です。


かいこ

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自分の殻や繭に潜み 時代の色(カラー)に眉をひそめれば
ほら 若い子らに“かいこ“と言われる

ロッテ「キシリトールガム」発売20周年記念プロジェクトの為に書き下ろされた曲。

この曲が一番好きかもしれないです。

なんでキシリトールなのに「かいこ」なのかというと、この曲のテーマは「味」。聴けばなんとなくわかります・・・。味の残ってるガム・・・。キシリトール側もこの方向性でOK出してくれて本当にありがたい。

トラックはチップチューンで懐かしさ切なさを演出しています。松永さんマジなんでもつくれるんだな・・・。

MVの舞台は50年後の同窓会。特殊メイクで老人になったR-指定がクリーピーナッツだった頃に歌っていたこの曲を歌っている、というものです。リスナーを泣かせようとしてかかなり気合が入っていますが、ところどころ笑えます。私はメチャメチャ泣きました。


板の上の魔物

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時にどうしょうもない 不測の事態に姿変えて
時に反応もない シラけた空気に姿変えて
時に名前も無い 誹謗や中傷に姿変えて
時に生暖かい 内輪ノリに化けて

忙しい方は2:17(Youtubeは2:40)あたりから始まる高速ラップだけでも聴いてみてください。圧巻です。

忙しくない方はぜひ1曲通してこの世界を味わってほしいです。板とは「舞台」のこと。舞台上で襲い来る「魔物」をテーマにしています。

情報というか感情というか詰め込まれたものの量がすさまじい。聴いて感じてほしい。

何を書いたらいいのかわからなくなったのでキャッチーなネタを挙げておくと、Verse1の「呑まれちゃ一巻の終わり」で始まるリリックに含まれる[kan]が1から10まで見事に連番になっていると噂されています。すごい。

呑まれちゃ一巻の終わり(1)
時間はもう迫ってる(2)
参観日のガキのごとく妙な気分で待ってる(3)
何か起こりそうな予感(4)
研ぎ澄ませテメェの五感(5)
無冠の帝王じゃ終われへん(6)
成し遂げてから死ななアカン(7)
やたらヤバめ発汗作用 ナイトフライト夜間飛行(8)
ブッ倒れて急患で運ばれるほど(9)
振り絞ってこそ得られる生きてる実感(10)
客がパンパンでもスカスカでもブチカマスだけ

舞台に立ち日々自己研鑽に励むすべての役者(舞台俳優でもミュージシャンでも漫才師でも・・・)たちにこの曲が届いてほしいと思います。

・・・なのにPVはだいぶふざけています。


終わりに


いかがでしたか?

最後までお読みいただきありがとうございました。

Youtubeをご覧いただいた方は「なぜこんなに凄い2人がコメント欄でボコボコにイジられてるんだ?」と疑問を持った方もいらっしゃると思います。

ここに答えがあります↓

下手したら楽曲よりも深い沼かもしれません。



おわり。