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仏教のはなし「縁起ってなあに?」

「縁起」はお釈迦さまが悟られた仏教の基本的な教えです。「これあるゆえに、かれあり。これなきゆえに、かれなし。(これがあるから、あれがある。これがないから、あれもない)」という言葉が表すように、「縁起」とはこの世のありとあらゆるものはただそれひとつだけで存在するのではなく、お互いに関係し依存しあっているということです。さらに時を越え、過去も未来も含めて繋がりあっている。「私もあなたも、あれもこれもどれも、みんな繋がっている。それが私たちの住む世界ですよぉ~」といった感じです。「茶柱が立ったら縁起がいい」とか「○○をみたら縁起が悪い」とか、何かいいことがありそうとか悪いことが起こりそうなんて使い方は間違った使い方ですね。

 でも、そんな繋がりは目に見えないし、言葉で説明できるようなものだけではないので、中々気づくことが出来ないのが私たちではないでしょうか。

 何年か前に「引越しの片付け中の青年が窓の外を見ながら『一人暮らしを始めて、初めて一人でないと気づいた』」というようなテレビコマーシャルがありました。一人暮らしを始めることで、これからは掃除・洗濯・食事の準備・買い物など暮らしのすべてを自分がしていかないといけない、大変だなと思ったのかもしれません。それと同時にそれらのことをこれまで私でない誰かがしてくれていたんだということに気づいたのでしょう。たくさんのものに支えられている、支えられていた、つまり一人ではなかったということに気づいたということでしょう。

 「繋がり合い、支え合う」。これが無ければ、私たちは1日たりとも生きていくことはできません。「縁起」の教えは、いかに多くのものと繋がり、支え支えられているのが今の私であると気づかせていただくことでもあるのです。

指宿市 乗船寺
藤岡義尚


Image by ElisaRiva from Pixabay

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