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テンペ職人になるまでの話(実務編)

初回投稿からさっそく間があいてしまいました。
今日は開業前の話を書きたいと思います。

超スピード開業

テンペ屋として開業したのは、2021年7月です。
もしかして驚かれるかもしれないですが、私がテンペという食べ物を知ったのは、たしか同年の1〜2月だったと思います。
つまり、存在を知って半年後に、もう開業してしまったのです。

前例の少ないビジネス

春頃に、テンペ屋になろうと思って徐々に準備を始めたのですが、参考情報がないことと言ったらもう!ネットを検索すると論文は少し出てくるのですが、事業としてやっていくための情報なんて皆無に等しいわけです。

できることと言えば、既存メーカーさんの商品を買って味比べやパッケージや売り方、送り方を研究することくらいでしたが、なんせ国内メーカーの母数が少ない!

メーカーさんに質問したいことは山ほどあったのですが、もう開業すると決めていたので、詳しく
質問する行為は、なんだか企業秘密を聞き出すような後ろめたさがあったので、消費者として当たり障りのない範囲でしか問い合わせできませんでした。

また、何かしらの職人になりたい時、どこかで修業してから独立するのが通常の流れなんでしょうが、とうぜん修業もかなわず。
発祥国のインドネシアにツテもなく。

世界に助けられた私

どうしたものか考えた挙句、商圏の異なる海外のメーカーだったらもう少し踏み込んだ質問ができるかも!と思いつき、世界中のテンペメーカー、製造者に問い合わせしまくりました。

そうしたら、世の中親切な人はいるものです。
ある日、ハワイ・オアフ島のメーカーさんが『世界中のテンペ製造者が集まっているネットのコミュニティがあって、そこに招待するから入っておいでよ』と言ってくださいました。

実際入ってみると、北米、南米、オセアニア、ヨーロッパ、南アフリカなど、様々な国の製造者がいて、お互いの製造環境の写真を見せ合ったり、失敗作の写真をアップして原因を相談したり、調理例やテンペ関連ニュースの共有をしたり、、、

気候や設備の違いがある中、みんな経験と推測から自由に意見を交換していて、当時の私には、めちゃめちゃ参考になりました。

Tempeではなく、Tempeh

ところでテンペを英語表記すると、TempeまたはTempehとなります。最後に『h』があるかないかの違いですが、発祥国のインドネシアなどアジア圏では『h』無し、欧米では有りという傾向があります。

当店の屋号には、『h』有りを採用しています。
これは前述のとおり、開業にあたって世界中、特に欧米のテンペ屋さん達に助けてもらった感謝と敬意を表する意味で、そうしました。

国内での勉強

ひとつだけ国内で勉強したかったのは、衛生管理について。何十年も畑違いの会社員だったもので、食品製造や飲食業の知識がまるでなく、そこが少し不安でした。

そこで、開業準備と物件探しをしながら、高齢者ケアホームの給食室の早朝アルバイトを始めました。

ここで得た知識と経験は、良いことも悪いこともとても役に立っています。
本当は開業後も軌道に乗るまでしばらく続けようと思っていたのですが、残念ながらパワハラ、モラハラのストレスだらけの職場だったため、長く続けるのはやめました。
(開業後に知り合った管理栄養士さんにその話をしたら、給食室がパワハラの巣窟というのはよくある話なんだと教わりました。もちろん良い職場もたくさんあるでしょうが)

テンペ職人になるための実務(製造)についての準備は、こんな感じです。
次回は物件探しや開業手続き、保健所への営業許可申請など、事務的な準備について書こうかなと。

また、別の投稿になるかもしれませんが、ロゴやパッケージ、チラシなど、想いを込めて制作したものについても、その背景などを記したいと思っています。

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