テンペ職人になるまでの話(手続き編)
今回はテンペ屋を始めるにあたっての届け出や事務手続き関連の話をしようと思います。
物件について
私がテンペ屋になろうと思ったのは、2020年の春、物件探しは5〜6月におこないました。
まず大前提として、会社員をやめて、もう混雑する通勤電車に乗りたくなかったので、居住エリアから自転車で通えるところを探しました。
ところがその頃はちょうどコロナ騒ぎが始まったばかりの時期。みなさん覚えてますか?当時飲食店はどこも営業できず、テイクアウト店がすごく増えたことを。
居住エリアで、ただでさえめぼしい物件が少ない中、よさげな物件は軒並み、テイクアウト専門店がセントラルキッチンとしてどんどん契約して先を越される日々でした。
そんな中、ネットの物件探しサービス経由の不動産屋さんが、まだ公にされていない物件の話をもってきてくださいました。
すぐに内見したら、そこはリノベーションされたマンションの一室。
キッチンがとても小さく、希望の条件とはかけ離れていましたが、これ以上待っても見つからなさそうだし、とにかく早く製造環境がほしかったので、すぐに決めました。それが今の職場です。
普通に住民が暮らしているマンションで、深夜・早朝にガチャガチャやるとご迷惑になってしまうので、場合によっては自由に働きにくい環境ですが、自宅から近いし大家さんはいい方だし、駅近でイベントの荷物を運ぶ時は徒歩の負荷が軽減されるし(←すべて電車移動です)、あの時即決してよかったなと思っています。
融資について
物件が決まったら次にやること、それは日本政策金融公庫への融資申込みです。
勢いで始めたので、自己資金0円。
貯金や投資しているものは、生活のために取っておきたかったのです。
公庫から借りたお金は、物件契約や機材代でだいぶ減りました。
ちなみに、テンペ屋を始めてみたら、開業前の目論見は大きく外れ、まあテンペの売れないこと!認知度も低く得体の知れない食品だし、コロナ騒ぎ真っ只中のマルシェでは試食提供も禁止されていたので、どんなものか食べてみてもらうこともできず、売上はぜんぜん伸びないのです。
毎月の家賃とその他経費で借りたお金はどんどん減り、ついに1年半くらいで底をついてしまいました。そこからは個人資産を切り崩してやりくりの日々、、、考えがまったく甘かったですね。反省しています。
開業手続きについて
さて、話は開業前に戻りますが、公庫からお金を借りて、次にやることは、税務署への開業手続き。
開業届は、公庫への借入も手伝ってもらった会計士さんに代行でやってもらいましたが、当時の私は六曜をとても気にしていて、開業日はこの日、と決めていました。
担当の会計士さんにもそれを伝え、開業日はその通りになったのですが、届出をしたのはその前日だったということを事後報告されました。
それじゃあ六曜を大切にした意味が半減するんだよ!と腹が立ちましたが、伝えても暖簾に腕押しな感じだったので、もう腹を立てるのはやめました。
参考までに、、、
この会計事務所とは、私が商売初心者でわからないことが多かったため、しばらく契約関係がありましたが、何のメリットも見出せなかったので、一年で解約させてもらいました。ここに充てた費用はかなり後悔の対象ですが、過ぎてしまったことは仕方がない。これも反省して次に活かします。
営業許可申請について
さて、次にやらなくてはならないこと。それは保健所への営業許可申請。
なにせ杉並区では前例のないテンペ製造業。保健所の担当者もわからないことだらけなわけです。
該当する業種もなかったため、『そうざい製造業』で申請することになりました。
そうと決まれば、あとはその基準に合わせた製造環境を整えるだけなのですが、いちばん困ったのはトイレ内の手洗い設備。
契約した物件のトイレ内には手洗いシンクなんか無いし、私が工事代金を負担して設置しなければならないのか、ここへきて頭から血が下がる感覚を覚えました。
しかし保健所の担当者さんがとても柔軟で、手洗い付きのトイレの存在を教えてくれて、これを設置すれば手洗い設備ありと認定できる、とのこと。
手洗い付きのトイレって、上からタンクに水がジャージャー流れるあのトイレじゃないですよ!
あれは、手洗い用の水とトイレ用の水が同一なので、ダメなんです。
手洗い用とトイレ用の通水が別になるトイレ。
ご参考までにお伝えすると、パナソニックの『New アラウーノV 手洗い付きタイプ』というやつです。
金銭的負担は痛かったけど、大家さんに相談の上、トイレをこれに取り替えて、なんとか保健所の基準をおさえることができました。
保健所がらみでひとつ、ものすごく不便だったのが、食品表示ラベルについて。
あれ、項目によって担当する部門が違うんですよ!原材料表示についてはここ、栄養成分についてはここ、と分かれていて、さらに杉並区じゃなくて東京都に確認しなければならない箇所もありました。
この辺りで少しイライラはしましたが、総じて杉並保健所は、『○○だからNG』という切り捨て型ではなく、『◯◯すればOK』と、方法や代替案を提示してくれる、開業者に寄り添った担当者ばかりだったので、非常に助かったし、無惨に切り捨てられないという安心感は大きかったです。
事務手続き編で思い出に残っている山場はこんなところでしょうか。
ものすごく長くなってしまいましたが、どこかのどなたかのご参考になれば幸いです。
次回はロゴやサイト、チラシなどの制作物について書きたいと思います。
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