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Division C Directorの振り返り:クラブ役員の役割

これまでの記事で、僕がクラブの運営の中心を担うクラブ役員、そして彼らをサポートするArea Directorに対して批判をしていると誤解を与えているかもしれないと感じたので補足をしておきたい。

そういう意図ではないのだ。どちらかというと多くのクラブやDistrict 76で行われている実際の仕組みの方に問題があると思っている。

クラブ役員がその役割を完全に把握して活躍できているわけではないことは事実だ。それは仕事でもないボランティアの団体なのだし、そもそも組織を運営したくてToastmastersに入会した人はほぼ皆無なわけで、役員が自分に求められている役割を把握しきれてないケースがあるのはある意味当然のことだと言える。しかもこんな情報もある。"More than 290,000 members comprise Toastmasters International. Each year more than one-third of these members leave the organization and are replaced by new members. Each member stays only about two years."Toastmasters Internationalが作成したTraining Club LeadersというClub Officer Trainingのプレゼンター向けのマニュアルに書かれている情報だ。平均的な会員がToastmastersの会員である期間が2年ほどだという数字。当然、クラブ役員になる人もToastmasters歴が浅い人がわんさかいることが大前提になっているわけ。(ま、日本の現状を見ていると、この数字はもう少し大きくなるんじゃないかという印象はあるが、会員の平均在籍年数が5年も10年もあるわけではなさそうだ。だからこそ、Districtが主催するClub Officer Trainingというものが年に2回開催されることになっているし、クラブ役員にも参加が求められているわけだ。役員個人が悪いというではなく、そういう仕組みなんだということ。

そして多くのクラブでの現実は役員がすべての作業を一人でやらないといけないような体制になっていることが多いと思う。もちろん協力してくれる会員がいるクラブもあるが、「これだけやってくれたらよいから引き受けて」と頼み込まれて嫌々ながら役員を引き受けている人もいると聞いたことがある。

そりゃ、しんどいよ。

『目の前にある「しないといけないこと」と使えるマンパワー(=自分だけ)と我関せずな会員』という現実に疲れ果てて、役員の任期が終わってクラブを辞めるとか出席率がガクンと減るとかいう話はそれなりに耳にするし、僕の所属するクラブで起こったことも事実。

そういう現実こそが「すべきことが正しく」行われていないと僕が感じる理由なわけだ。そもそもToastmasters clubというのは全員が運営に協力して全員で運営すべきものであるはず。入会の際のInduction Ceremony(入会式)でA Toastmaster's Promise というものを入会者に読み上げて宣誓してもらうクラブが少なくないと思うが、その中のいくつかの項目は会員にもクラブ運営の責任があることを反映していると思っている。例えばこの辺り。

  • To help the club maintain the positive, friendly environment necessary for all members to learn and grow

  • To serve my club as an officer when called upon to do so

  • To treat my fellow club members and our guests with respect and courtesy

それ以外にも、Club ConstitutionというすべてのToastmasters clubに当てはまる規約に、すべてのクラブには5つのstanding committees(常設委員会)を置くことが規定されていて、その5つは7人の役員と前期会長で組織するClub Executive Committee(関西のクラブでは役員会、officers' meetingと称されることが多いと思うが、Club Executive Committeeが正式名称、Presidentが議長を務める)、Club Education Committee(教育関連を担当、Vice President Education (VPE) が議長)、Club Membership Committee(会員関係を担当、Vice President Membership (VPM)が議長)、Club Public Relations Committee(広報関係を担当、Vice President Public Relations (VPPR)が議長)、Social and Reception Committee(受付や懇親会の担当、Sergeant-at-Arms (SaA)が議長)となっている。こういう委員会が設置されるべきと規定されているということは、それらの委員会に属する一般の会員が必要だ。つまり、会員の中の何人かは委員会のメンバーとしてクラブ運営に直接関与することが規定されていることになる。でも、このことを認識しているクラブも実践しているクラブも多くはない。役員の「アシスタント」と称して何人かが手伝っているクラブはそれなりに多いようだが、副会長3名とSaAにはそれぞれ率いるべきcommitteeメンバーがいて、彼らが役割を分担しながらクラブを運営していくのが当たり前なんだという認識を会員全員が持っているクラブは1つもないんじゃないだろうか。僕の所属するクラブでも、2、3年前に僕がこの規定をClub Constitutionで見つけて以来、committee メンバーを増やすようにして言っている段階。まだ全員に自分が運営の主体であるという自覚が浸透しているとは言えない。

クラブは全員で運営するもの、そして役員はcommitteeメンバーをまとめていく役目。作業員に成り下がってはいけないわけだ。あるいは、会員が役員に諸々の作業を押し付けてはいけないわけだ。全員がクラブがうまく機能していくために何をすべきかを認識して協力していくようでなければ「すべきことが正しく」行えているとは言えないと思う。

まぁ、そういう理想の状態に向けて会員を巻き込んでいったり意識付けをして行ったりするのは、結局、役員が頑張ってやらないといけないことなんだけどね。

とにかく、これまでクラブが運営されてきた仕組みが本来あるべき姿ではなく、役員に過度の負担を強いてきた面があることはみんなが認識すべきだろう。一方で、役員はcommitteeメンバーをリードする立場として、自分が担当する役割を如何に効果的に(効率的にではなく)行うためにどう協力していけるかを考えることが大切だと思う。

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