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Division C Directorの振り返り:Club Officer Training(クラブ役員研修)

Division C Directorに立候補するにあたって一番やりたかったことは、Club Officer Training(クラブ役員研修、COTと略記)を早い時期に行うことだった。ここ数年、COTがオンラインになったこともあり、夏と冬に行われるCOTの半数くらいに参加してきた(日本のクラブが所属するDistrict 76では10ほどあるDivision毎にCOTを開催することが恒例になっているので、毎回10回ほどのCOTが行われる)。

そこで目にしたのは、驚くほどクラブの役員が自分たちのすべきことを理解していない現状だった。そしてその理由はCOTの質が低下していたことだったのは明白だった。Toastmasters clubには、President(会長)、Vice President Education(教育担当副会長、VPE)、Vice President Membership(会員担当副会長、VPM)、Vice President Public Relations(広報担当副会長、VPPR)、Secretary(書記)、Treasurer(会計)、Sergeant-at-Arms(会場係)の7人の役員を置くことになっている。コロナ禍前には行われていた役職ごとに集まってそれぞれの役職で果たすべき役割やその効果的なやり方を学んでいた分科会が、コロナ禍でオンラインCOTになったためにほぼ全てのCOTでなくなってしまっていたからだ。

Toastmastersのクラブ役員は毎年別の人が担当することが基本になっている。クラブ内での引き継ぎが完全に機能するわけでないというのがCOTが行われる理由だったはず。なのに役職ごとの説明がない状態では役員が自分のすべきことを正しく認識できるわけがない。このような、クラブ運営の中心になるべきクラブ役員たちが自分のすべきことを理解していない状態が多くのクラブが会員の現象、ミーティングの質低下に苦しんでいる理由としか考えられなかった。

そんな背景もあって、Division C Directorに立候補するにあたっては、役員ごとの分科会を行うこと、それもクラブ役員の任期が始まる前の6月中にCOTを行うことはどうしても実施したいことだった。(ちなみにこのことは、今年度一緒に働いてきた同僚とも言える他のDivision Directorの何人かから、直接Messengerでお褒めにあずかった)

それ以外のポイントとしては、COTの研修担当者は立場によらず語るべきコンテンツを持っている人を中心にするというものだった。過去に受講したCOTで自分が担当する内容に関して自信を持って語れていると感じられるのは少数だったことに非常に残念な思いを持っていたからだ。コロナ禍前はそれでも問題はなかった。ほとんどのクラブに20人を超える会員がいて、その中にしっかりと役員としての役割を把握している人がいたから、クラブ内で十分な引継ぎが行われていたんだと思う。また、クラブのミーティングが対面で行われていて人と人の接点が十分確保されていたこともあって、ゲスト参加者もそれなりにいて入会してくれる割合も高かったものと思う。

リハーサルも10時間以上行ったCOT

しかし、コロナ禍でクラブのミーティングがオンラインになり、会員同士の人間的なつながりが薄くなり会員が辞めやすくなりゲストも入会してもらいにくくなった状況下では、クラブ役員の研修の重要性は明らかに高まっていたと思われる。それなのにCOTの質はコロナ禍前よりも低くなっていた。上述の役職ごとの分科会がなくなったことがその最たる例だが、もう一つ、District 76での悪しき慣習とも呼ぶべき状況があった。それは、COTを「Area Directorに多数の聴衆の前でプレゼンテーションをする経験を持たせる機会」と捉える考え方だ。これは露骨にそう発言する人ばかりではなかったが、多くの人の認識としてCOTはArea DirectorとDivision Directorが実施するものという思い込みがあったと思う。受講する立場からすると、こんな失礼な話はない。今まで研修を担当したことのない人からの研修で何を学べというのか? せめてクラブ単位でのワークショップをしたことのある人、役員として工夫をし成果を上げた経験のある人にこそ研修を担当してもらいたいはずだ。(もちろん過去にもそうした経験のある人はいたはずだけれど、担当している内容に関して自信を持って話せているようには思えない人が少なくなかったのも事実だ)

Area Directorになったからと言って、その人に役員研修を行うに十分な経験があるかどうかは分からない。すべてのクラブ役員を経験してからArea Directorになる人は少数派だろう。中には会長やVPEを経験せずにArea Directorに就任している人もいる。会長やVPEを経験していたとしても、特に工夫をするわけでもなくなんとなくうまく役割を全うできたという幸運な人もいただろう。しかし、コロナ禍でクラブの運営が厳しくなっている状況では、研修をする側の経験不足は研修内容の悪化に直結する。それがDistrict 76の多くのCOTに出てみての実感でもあった。

そういう状況を打開するべく、Area Director以外にも各クラブで色んな工夫をして成果を上げた役員経験者にお願いしてAssistant Division Directorとして関わってもらい、COTの研修担当やZoomのホストとして活躍してもらった。

コロナ禍は落ち着きを見せたとはいえ、Toastmasters clubを取り巻く環境は昨年秋以降の会費の値上げもあって、まだまだ楽観視できない状況だ。これからも当面はCOTの実施時期と研修担当者の人選は非常に重要なものだと考えている。


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