誰や、「英語は強弱の言語」とか言うたんは?

「英語は強弱の言語」。

よく耳にする言葉だ。英語は意味的に重要な部分を「強く」発音し、それほど重要な意味を持たない部分(代名詞や助動詞、前置詞や冠詞など、一般に機能語と言われる単語)は「弱く」発音されるという意味。

この表現で面白い体験をしたことがある。それは、とある大学で「発音クリニック」という授業を受け持った時の教科書の前が気に書いてあったこと。曰く、「強弱というのは高低のことです」。つまり、「強弱」の意味するところは、重要な部分では声を「高く」し、そうでない部分では声を「低く」するということ。「強弱」と言っても吐き出す息の強弱、つまり息の量の多少の問題ではなく、音程の問題だという訳。

で、実際のところ、大事な部分を「高く」言い、そうでない部分は頑張らずに「低く」留めるというのは正しい姿勢だと思う。実際、そうなってる。まぁ、口元に手を持って行って、口から出てくる息の量を感じ取れば、重要な意味を伴う部分で息が強く出ている気がするのも事実ではある。ただ、それはあくまでも結果としてそうなってしまうだけで、話者に「強く」息を吐き出そうという意識は微塵もない。

なのに、「英語は強弱の言語だ」と信じ込まされてしまった哀れな英語学習者(特に中途半端に発音に意識を向けてしまった人たち)は、意味的に重要な部分で力いっぱいリキんで息をたくさん吐き出そうとする。そしてその結果、聞き手を疲れさイライラさせる、実に聞きにくい英語を話すことになる。

相手に伝わりやすい発音を目指して発音を意識した結果、かえって相手を疲れさせイライラさせるような話し方が身に付いてしまうというのだから気の毒な話。?

「英語は強弱の言語だ」(でも「強弱」というのは「高低」のことなんだよ)なんてややこしいことを言わずに、最初からストレートに「英語は高低の言語だ」って言えばよいのに。

誰や、「英語は強弱の言語」とか言うたんは?

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