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Division C Directorの振り返り:広報支援 -2- 広報ワークショップ

Toastmasters clubの活動では、一定の割合でクラブでの活動を辞める会員が出てくる。理由は様々で、①当初の目的を達成した、Toastmastersでのスキルアップのお陰で仕事が増え活動の時間が無くなったなどという前向きな理由もあれば、②職場の人員削減や転勤で活動できなくなった、本人の病気や育児や介護で時間が取れなくなったという不可避な理由もあれば、③意義が感じられなくなった、人間関係のもつれなど残念な理由もある。

理由は何であれ、一定の割合で会員が減るのは宿命なのでそれを補うだけの新規の会員獲得をすることは、永続的にクラブを存続させて会員が学べる環境を守っていくためには避けて通ることのできない課題だ。

新規の会員獲得には大きく分けて2つの道がある。1つはプッシュ型で会員の友人・知人などに直接声を掛けて誘う方法。もう一つはプル型で広報活動を通してまだ見ぬ潜在的会員に知ってもらい先方から問い合わせてもらう方法。プッシュ型の方が確実ではあるが友人・知人の数は限られているので、プル型の広報を併用することはどのクラブにも必要なことだろう。

一方で、有効な広報活動ができているクラブは必ずしも多くないのが現状だった。ホームページに掲載されている次回の予定が過去の日付になったままのクラブ、そもそもホームページを持たないクラブ、ソーシャルメディアをほとんど使えていないクラブなど、情報を発信できているとは言えないクラブも少なくなかった。地域に密着したクラブを目指して会場や近所の施設に置くチラシで広報をしたいというクラブもあるが、そういうクラブ以外ではホームページやソーシャルメディアを用いたオンラインでの情報発信が欠かせない。何しろ現代はネット社会。誰もが知りたい情報をネット検索して見つける時代だから、インターネット上に情報を置いていないのは存在していないのに限りなく等しい。そこで今期が始まってすぐの7/30とその約1か月後の8/27に、広報ワークショップを行った。

1回目は「広報活動を考える上で最も大切なのは、自分たちがどういうToastmasters clubでありたいと思っているのかをはっきりと認識することだ」というポイントから始めた。どういうクラブなのかによって、どういうメディア(情報を伝える場所)が適しているかも変わるし、どんなコンテンツ(何を伝えるのか)を発信すべきなのかも変わるからだ。地域の人に集まって欲しいクラブなら紙媒体は有効だが、会場に来れる範囲の人なら居住地域に特にこだわらない代わりにパブリックスピーキングのスキルを真剣に身に着けたいと思っている人だけに集まって欲しいクラブにとっては紙媒体ではリーチできる対象者が少なすぎる。そんなクラブは圧倒的にオンラインメディアを活用すべきだ。また、英語力にあまり自信がない人が英語力アップを大きな目的として集まるクラブでは如何にToastmastersでの活動が英語力向上に役立つかを発信していくべきだが、英語でのコミュニケーションにはそれほど支障がない人たちが集まって人前で話すスキルを身に着けたいクラブではToastmastersが英語力向上に役立つというポイントは載せるべきではない。なぜなら、英語力に問題がない人に集まってほしいのに「英語力アップに役立つ」という情報を発信すると「英語力に課題があってその向上を図りたい」という「クラブが求めない人たち」に注目されてしまうリスクがあるからだ。自分たちがどういう存在で、どんな人に仲間に加わってもらいたいのかを見定めて、情報発信をする場所(メディア)と発信していく内容(コンテンツ)を決めることが、報活動として第一にすべきことなのだ。そこを考えずに広報活動はあり得ない。

2回目は、フィードバックを希望するクラブを募ってそれらのクラブのホームページを事前に参加者が見て良い点と改善した方が良いのではないかと思う点を共有する実践的な内容にした。自分たちのメディアを更新するだけでなく、他のクラブがどんな情報発信をしているのかを見ることで、外部者から見た視点を疑似体験してもらえたのではないかと思う。外部者からの視点はとても重要だ。自分たちが発信している情報が受け取り手にどう受け止められているのかを意識することは意外と意識から外れやすいが、情報を届けたい相手は外部者なのだから、彼らが理解しやすいように書かなければ意味がないからだ。

1回目の内容でも触れたが、多くのToastmasters clubの情報発信は、独りよがりになっていることが非常に多いと感じている。つまり、Toastmasters会員なら当たり前のように使っている「Toastmasters用語」を何の説明もつけずに書き散らかしてしまっているクラブがあまりにも多いのだ。例えば、「今回のTMODはTM HTさん。ミーティングテーマは「ゴールデンウィーク」でした。GrammarianはTM MAさんでした。彼女が選んだWord of the Dayは「exhausting」。ゴールデンウィークの行楽は疲れますよね」みたいな紹介記事が至る所にある。Toastmasters会員以外にTMOD、TM、Grammarian、Word of the Dayがどの程度伝わるのだろうか? それぞれ開設すると、TMODはToastmaster of the Day を略したもので、ミーティングの司会進行をする役割のことだ。Toastmasters clubの多くでは会員のことをToastmaster Hideo TemmaのようにToastmasterを敬称のように使って呼ぶ習わしがあり、多くの場合にToastmasterをTMと略記することがある。Grammarianというのは世間いパンで意味する「文法学者」という意味ではなく、Toastmastersのミーティングの中でスピーカーの言葉遣いに注目してうまく使われていた単語や表現、文法的に不適切な表現などについてフィードバックを行う役割を指す。Word of the Dayとは、語彙力強化と予定していなかった状況への柔軟な対応力の強化を目的として指定される、そのミーティングの中でスピーカーに使用を促す言葉のこと。こうしたToastmasters club内の事情を知らない外部の人にとっては、上記の紹介記事の記述は呪文のような印象だろう。

自分たちが書くときには見落としがちなこうした視点も、他のクラブのホームページで見ると見つけやすいものだ。そういう意味で、他のクラブのホームページを見て自分のクラブの情報発信の仕方を見直すきっかけにしていただきたかった。

その後、第3回、第4回と実施できればよかったのだが、秋に行う教育イベント、冬のClub Officer Training(クラブ役員研修)、冬から春にかけてのスピーチコンテストシーズンと、他にもすべきことが多くて実施できていないのが残念ではある。この辺り、もっとDistrict役員(Area DirectorやDivision Director)以外の会員を巻き込んで、役割分担ができればより良かったんだろうなと反省している。

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