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鋭利なチクワ/毎週ショートショートnote


ある日、街の片隅にある小さな食堂で、特製の『鋭利なチクワ』が密かに話題となっていた。
このチクワは見た目は普通のチクワと変わらないが、
ひとたびかじると、
その切れ味が驚くほど鋭いのだ。

このチクワを作ったのは、
伝説の料理人、片桐かたぎりだった。
片桐は、料理で人々を驚かせることが好きだった。
そして、『鋭利なチクワ』を開発した。
内側に特殊な切り方が成されていて
それがチクワの外側に鋭さを与えていた。
その鋭さは食感にだけ感じられるように出来ている。

食堂に訪れた客たちは、
恐る恐る『鋭利なチクワ』を注文した。
しかし、ひとたび口に運ぶと、
そのユニークな食感に驚き、
たちまち虜になってしまった。
チクワの噛み応えとともに、
何かで切ったかのような感覚が口の中に広がり、
普通のチクワとはまるで違う体験を味わえた。

食堂には次々に人々が押し寄せ、『鋭利なチクワ』を求める列が絶えることはなかった。

          400字

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