タンバリン湿原/毎週ショートショートnote
その湿原の名前は
『丹波林湿原』
日本の真ん中辺りに現存する、
遠い昔からある湿原だ。
此処に通う人は多い。近くに良いお湯の出る温泉があるからだ。
湿原には、木板で通路もあるが
あまり行く人はいない。温泉宿にいるのがいちばんだと云われていた。
温泉の湯の効果効用というところに
湿原から聴こえる音と、記載されている。
その日も一組の家族客がやって来た。
夕方6時、
シャンシャンシャン、と音が聞こえた。
「ほう、此れは良い音色だ」
家族は食事を楽しみ温泉に浸かった。
そして、午後9時
タンタンタンと、音色がした。
夢に誘なうような音色だった。
そして、次の朝、6時
タンタンシャンシャンと心に優しく響く音色が聴こえ、皆は目覚めた。
「なんて気持ちの良い朝でしょう」
家族は、大満足だった。
宿の女将に聞いてみた。
「此処の湿原、昔から時報のように1日3回、タンバリンのような音色が聴こえるんですよ。それがとても心地よいと、皆様、言ってくださって」
「ほう、そうなんですね」
確かにとても心地よい思いをした家族は、また来たいと思うのであった。
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