漫画「夕凪の街 桜の国」はとても素晴らしい本です

こうの史代さんの漫画は、丁寧で、ひょうきんで、内容がしっかりしている。

「この世界の片隅に」もとてもいいが、こちらもとても素晴らしい。

この本は一度読んだことがあったが、読み込めば読み込むほど、なんとも言えない深みがあった。今回は三回読み返した。

読み返すと心情やこれから起きることを分かって読むので、更に思いが強くなる。もし辛くなっても可愛い絵やひょうきんな顔や態度を上手に書いてあるので救われる。

主人公が若い頃のおじいちゃんおばあちゃん、若い頃のお父さんお母さん、そして自分と、お話が交互に混ざっていくのもとてもいい。


毎年夏に被爆者の生の声でお話を聞きに行くのだが、被爆者の方も高齢になり、そのお子さんのお話を聞くことが増えた。
ある男性の方のお話では、娘が体調を少し崩しても、被爆の影響ではないかと考えてしまうという言葉はなんとも重かった。
この本にも近い話が出てくる。

でも、この本は辛すぎない。可愛い絵だからかもしれない。感情移入しすぎる読者にも優しい。

原爆は怖い。けれど、こうやって丁寧に分かりやすく伝えてくださると、被爆者の方たちの気持ちが少しだけだが分かる気がする。

原爆を知るだけでなく、作品としてもとても素晴らしいのでまた読み返したいと思う。

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