「ファビュラス」について

おそらく15年以上も前だったと思う。ゴージャスに着飾った二人の女性がワゴン車の中でヤンキーの女の子たちの悩み相談に答えている番組があった。
そのお二人とはまさに、叶姉妹。世界のファビュラスである。

めちゃくちゃ深夜の番組、
狭い車内とはみ出んばかりの煌びやかなお洋服、
特攻服の女の子の向かいには叶姉妹。
簡易的なカメラで撮られたであろう粗い画像に、それでもくっきりと存在感を放つお二人の顔が鮮明に浮かぶ。
ものすごい異空間である。
企画当初は絵的な面白さを狙っただけだったのかも。
だがだ、その意図は知らんけれどもだ。
その番組には簡単に見過ごせない、人間の核心があったと思う。
ヤンキーの女の子たちにしっかりと向き合って、庶民的な悩みにどこまでもフラットに真摯に答える恭子さま。うなづきながらフォローする美香さん。
女の子たちの悩みを真剣に聞き淡々と整えるように答えられる姿勢に、神々しいほどの偏見のなさを感じ、私は目から鱗が落ちるようなクリアな閃きを感じた。
恭子さまにとっては世界は「自分と美香さん」と「それ以外の人」で構成されていて、それ以外の人になんの偏見も差別もないんだろうと推測される。
それって結構すごいこと。人は立場で態度が変わるし、見た目で判断してしまったりもする。そんな心理的バイアスがお二人にはマジで無いんかもしれんといたく感動してしまったんである。
以降の私は、叶姉妹のお二人の虜。大好きなんである。

今となっては、有名人にも人気のポッドキャストでお馴染みの叶姉妹のお悩み相談であるが、当時そんな番組を企画したセンスのいい人は一体誰やったんやろうなー。番組名もなんもかんも覚えてませんけど、そん時のハッとした感は今でも覚えているんよ。

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