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昔の運送屋で出会った破天荒な人たち③

久しぶりにびっくりドンキーで飯を食いました。
やっぱうまいですね。
僕の好きな焼きパインが最高です。
そんなわけで今日も貞山放送始まります。
どうも鉄生です。

何の話をしようかとあれこれ考えていましたが、また昔の話をしようと思います。時効です。

昔は運送業に流れてくる人の中にはかなりの確率でアウトローが混じっていました。最近はそうでもありませんが、入れ墨が入っている人や小指の先がない人。あとは外国人もいました。まともな外国人ではなく不良外国人です。
横浜の田舎でトラックに乗っていた時、そこには南米系の外国人が多く働いていました。

車を盗んで母国に売り飛ばす商売をしていたようです。
僕が入社してから一週間くらいで逮捕されて強制送還されていました。
ある食品工場の自社トラックの仕事です。

ある日、一人の新人さんが入社してきました。
新人とは言っても当時僕は20代の若者で、その新人さんは5つほど年上の人でした。
仮にYさんとします。
ごろつきばかりのその運送屋の中でも、Yさんはぶっちぎりのアウトローでした。
身長190センチ、体重100キロの巨漢で、近くで見るとぬりかべのような男でした。
おまけにイケない薬の常用者でもありました。
当時はやりのウルトラマリンという香水を愛用していて、常用者特有の体臭をごまかしていました。

Yさんの破天荒エピソードはほとんどが犯罪です。
なので書けません。
ライトなエピソードはほとんどありません。
捕まれば初犯でも執行猶予のつかない事例も結構あります。
犯罪以外のエピソードはとにかく規格外に力持ちだったことくらいですかね。

ある日Yさんに引っ越しの手伝いを頼まれたことがありました。
一人暮らしなので大した荷物はありません。
軽トラック一台分の荷物を新しいアパートに運びました。
Yさんは小型と言っても140センチほどの高さの冷蔵庫をひょいっと肩に担ぎ、空いた手で荷物をひっつかんでアパートの外階段を上っていきました。特別無理をしている感じでもなく、涼しい顔でした。
聞けば昔から膂力が桁外れで、本気で喧嘩をしたことが無いそうです。
Yさん曰く「マジで殴ったら死んじゃう」と言ってました。
実際、手加減して殴っても相手の歯が拳に刺さって痛いそうです。
漫画のようなエピソードですが、彼の友人からも同じ話を聞いたので、誇張してるにしても相当な腕力だと思います。

そんなYさんなので世の中に怖いものなどありません。
実際に話すとちょっと子供っぽいところもあるいい人でした。
複雑な家庭環境で幼少時代を過ごしたせいか、人懐っこい部分と他人に冷たい部分が同居している人でもありました。

ごろつきばかりの田舎の運送屋であってもYさんは浮いた存在でした。
業務連絡以外は誰も口を利きません。
そんな状態にYさん自体も慣れっこだったらしく、淡々と意外と真面目に仕事をしていました。でも、この運送屋にはもう一人変わり者がいました。
そう。それが僕です。
当時の僕は完全にパンクでした。
おかしな人間や悪い人間が大好きだったんです。
喧嘩になったら秒殺されそうなYさん相手でもタメ口で話しかけました。
「お疲れ、仕事慣れた?」みたいな感じです。

Yさんは自分に拒絶反応を示さない年下の小僧を面白く感じたのでしょう。
根はやさしい人だったと思います。
会社内で唯一普通に話してくれる僕をありがたく思ったと、後日語ってくれました。彼自身は人嫌いではなく、ただ見た目が大きく怖いだけで敬遠されることに反発心があるだけでした。

ただ、Yさんが破格のアウトローであることに変わりはありません。
僕も先輩に使うような半敬語に改めました。

しばらく一緒に仕事をして打ち解けたころの話です。
何物にもビビらない「自信の塊」だったぬりかべ男Yさんが、完全に心を折られた状態で座っていました。
前置きがえらく長くなりましたが今日はその話をします。

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